【2159】 いくらなんでも始めの一歩  (藤崎 2007-02-16 20:07:18)


家を出てから何かしらの違和感は感じていたのだ
そう、それがなんの違和感か分からなかったのだが……

「なんだろう?」
そんな事を考えながら祐巳はマリア像にあわせていた。
「ごきげんよう。お姉さま」
後ろの方でそんな言葉を聞いて、
私にも、妹が出来るか少し不安になりながらも祐巳はいいなと思っていた。
「お姉さま」
言われたいなーと心の中で祐巳は呟きながら両手を離して校舎に向かおうと動こうとしたが、
「お姉さま」
と、後ろでまだ言っているので、ここはお姉さまのようにビシッと山百合会の一員として、言った方が良いと思い、自分のことは棚に上げて振り返ったが、言葉が出なかった。
「聖さま」
そう、後ろに立っていたのは去年卒業したはずの聖さまだったの。
「っえ、なに言ってるんですか?お姉さま」
「っへ!私がお姉さま?」
意味が分かっていない顔で聖さまは返してきて、よく分かっていない祐巳もなんだか分からない言葉を返すことになった。
「そうですよ!お姉さまです。」
「でも、卒業してますよね???」
言いながら祐巳は混乱していた。だが、答えはすぐ返ってきた。
「何言ってるんですか!私はまだ、1年生ですよ。」
「まさか、私が嫌いになったんですか?」
「そ、そんなことないよ。」
と、すごく不安そうに聖さまもとい聖ちゃんに見つめられ、祐巳の頭は混乱しながらも聖ちゃんを安心させるため少し引きつりながらも微笑んだ。
少しは安心した聖ちゃんと別れクラスへ向かっている時に、混乱している頭の片隅で聖ちゃんのキャラが変わってないか、と気になった。


そう、祐巳が感じていた違和感とは着替えの時ロザリオを身に付けていないことだった。


クラスの席について少し冷静になった祐巳は、さっきの出来事を思い返しいくつか不思議に思えることがあることに気づいたのです。
あの、1年生は聖さまか。
本当に妹か。
でも、どうすれば良いのだろうと、悩んだ末誰かに聞いてみることにした。まあ、変だと思われない程度にだが。
「ごきげんよう。由乃さん、少し良い?」
そこで、今ちょうど入ってきた親友のはずの由乃さんにあたることにした。
「ごきげんよう。祐巳さん、いいけど、どうしたの?」
「私たち親友だよね」
「う、うん。親友だよ。」
もう、無理かも。変だと思われてるよ。
「あのね、私の妹知ってる?」
「っへ。何言ってるの祐巳さん。大丈夫?」
「ちょっとね」
本気で由乃さんに心配されちゃった。ごめんね。
「聖ちゃんでしょ。そりゃ、紅薔薇の蕾の妹だからねー」
「ちょっと確認だけど黄薔薇は令さまと由乃さんで紅薔薇は祥子さまと私と聖ちゃんだよね」
「そうだけど、ホントに大丈夫?風邪でも引いた? もしかして、別次元の祐巳さんとか。なんて」
うっ否定できない。現在似たような状況だから。
「うん。今、すこしおかしいかもしれない」
「少しではないのは確かだね」
ズバッと斬り返された。酷いの由乃さん。もう少し言いようってものがあるんじゃないですか。と、思いながら考えていたら
ふとあることに気づいた。
「由乃さん白薔薇は志摩子さん?」
「何言ってるの?志摩子さんは妹でしょ。白薔薇さまは静さまでしょ。」
「っえ。静さま!」
「そうだよ。いや本当に大丈夫?保健室行く?それとも病院にする?」
いや、そこまでは。でも、私の妹が聖さまだとすると志摩子さんはどうなるかと思ったけど静さまの妹になったか。あれ、だったら、静さまのお姉さまは?
「じゃあ、」
「いや。もういいから、保健室行こう」
「あ、わ、分かった。大丈夫だから、いや、ホント」
そう言いながら席を立った由乃さんを止めながらこれ以上聞くと本当に保健室に連れて行かれてしまうことが必至なので、ここで諦めなければならなくなってしまった。


続く?


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