「それで結局佐藤さんはだれが一番好きなの?」
は?
「どうしたのカトーさん。急にそんなこと言い出して」
どうしてそうなるのか分からない。
先ほどまで私と二人で課題を片付けていたはずなのに。
「だって、水野さんでしょう。鳥居さん、貴方の妹の藤堂さんに、祐巳ちゃん。ほかにも蟹名さんに久保さん。ほんと、罪な人ね」
え? 江利子はないでしょう。
百歩譲っても。
ほかのみんなはまあ分かるけどね。
うん、もちろん栞のことだって忘れられないし、蓉子はお嫁さんにしたいなあ。志摩子はどうだろう? まあなくはないかな、可愛いし。そこ重要ね!
祐巳ちゃんはペットにしたいなあ。静もそばにおいておきたいし…。
「本当に、駄目な人ね貴方は」
「だって、みんなが魅力的なんだもん。凸除いて」
しっかりと凸のあたりを強調する。
「そんな魅力的な人をそろいもそろって魅了してしまっている貴方はもっと魅力的だって気が付かない訳?」
「そんなことないって。カトーさんの方がずっと魅力的だと思うけど」
「自覚がないのが一番の罪かしら」
「そうよ聖。はっきりしなさい」
よ、蓉子が何でここに?
「聖、はっきりしないでうじうじしてる貴方も好きだけどやっぱり一人を決めて欲しいわ」
なんで、栞まで? っていうか何で普通に私と会ってるの?
「お姉さま。もちろん私ですよね?」
笑顔がどうしてこんなに怖いのかな志摩子?
「聖さま。いつも私のこと抱きしめて下さったじゃないですか?」
泣きそうな顔も可愛いね祐巳ちゃん。
「聖さま、私はずっと聖さまのことばかり見てきました。選んでくれたら…なんでもします!」
し、静がなんでもしてくれる? あーんなこともこーんなことも?
「で、佐藤さん。だれが一番? なんなら愛人でも我慢するわ」
そ、そんな。だれが一番なんて私には決められない。
「い、いっそハーレムで…」
ごちん!
いたい、おやじにもぶたれ(以下略)。
「あら、なぐって何が悪いのかしら?」
この凸ちん!
「何よアメリカ人!」
じたばたじたばた
ぎゃーすぎゃーす
ひいふうぜえはあ
「そんな激しい貴方も好きよ私」
頬をなぜか紅く染める凸ちん。
まあ確かに、江利子も見れない顔じゃないけど。ねえ?
だってさ、幼稚舎のころからの付き合いだしねえ…。
「って。ほおおおおおーーーーっ!!!」
「どうしたのよ聖。そんな奇声をあげて…」
奇声を上げたくもなりますってば!
「なんでみんな脱ぎだしてるのさ!」
「なんでって、聖さまがハーレムがいいって…」
「せっかくイタリアから帰ってきたのに…」
「聖、あなたが言い出したことなんだからあなたが責任を取りなさい」
などと皆がいってる間にもどんどん服が減っていくわけで…
「な、ななな……」
もはや私は開いた口がふさがらない。
というよりなんで私はこの流れに抵抗しているんだろう。
そんなのは佐藤聖じゃない!
「と、いうことで頂きます」
えへへ〜、楽園ゲット…。
ごちん…
「い、ったい・・・」
「いつまで寝てるのよ、まったく…」
「あれ? 楽園は? ハーレムは?」
「ハーレム? まったく佐藤さん、貴方って人は夢もロクでもないことしかみないのかしら…」
ゆ、夢?
そんなはずはない。
「か、返せーーーー!!!」
「っていきなりなによ…」
「私の楽園!」
だって、この手に残るカトーさんのぬくもり…
ごちん…!
殴られた…。
「カトーさんは私の愛人になってくれるっていったのに!!!」
「な、何言ってるのよ! なんで私があなたの愛人にならなくちゃいけないわけ?」
「私のまえで服まで脱いで誘惑したくせに…」
「ちょっと、佐藤さん。あなた正気?」
「蓉子は正妻で、栞は恋人で、志摩子は妹で、祐巳ちゃんはペットで、静はメイドで、江利子は凸で、カトーさんは愛人なのに!!!」
「佐藤さん。悪いことはいわないから病院にいったほうがいいと思うわよ…」
「返せえええええ!!!!!!」
「誰か助けて……」
そのあと蓉子がやってきて錯乱した聖が「蓉子は私の奥さんだよね」と蓉子に迫って、蓉子にしばかれたとかそのままやられちゃったかどうかは、現実逃避しようと
した加藤景にしかわからない…。