私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)である……。
「ねえ、聖。」
「………」
「聖ってば。」
「………」
「どうして……、どうして何も答えてくれないの!?」
「………」
「私は……私がこんなにも貴方の事を想ってるのに……」
「………」
「それなのに、貴方はナンパばかりして……」
「………」
「ねえ、答えてよ、聖。私は貴方を愛してるのよ……?」
「ええぃ、うっとうしい!さっきから何をやってるのよ!?聖!!」
私にすがりつく『私』の姿の聖を思いっきりひっぺがす。
「ちぇー、せっかくいい雰囲気だったのに。」
ひっぺがされた聖は、ふてくされてる。
「いい雰囲気、じゃないわよ。大体、なんなの?その『私』は。」
「何って、蓉子の本心をありのままに再現したんだけど。」
「ありのままって、誰が、誰を愛してるのよ!」
「蓉子が、私を。」
「んな分けあるかぁー!!」
手近にあったハリセンくん1号狼(紙製)を聖に向かって投げつけた。見事、コメカミに直撃する。
「痛っーい。蓉子、それ結構痛いんだよ?」
「大丈夫よ。その体は私のなんだから手加減はするわよ。」
「私(本体時)の時も手加減してくれてもいいのに……。」
ぶつぶつと呟きながら、更にふてくされる聖。
「でもさあ、本当に蓉子は私の事どう思ってるの?」
不機嫌な聖が尋ねてくる。
「どうって…、三賢者の仲間、だと思ってるわよ。」
私の答えに更に不機嫌になる聖。
「ええ〜(ガックシ)、本当に、それだけなの?」
「………三賢者の仲間兼親友よ。」
私の答えに聖の機嫌が良くなる。
「〜♪、って事は私を愛してるって事だよね〜。」
「だからっ!何でそうなるのよ!!」
私は手近にあったテディベア1号(手編み製)を聖に投げつける。今度は直撃せず、受け止められる。
「だって、蓉子ってば、私がナンパするたびに烈火の如く怒り狂うじゃない。あれは少し異常だよ。」
言われてみると、少しやり過ぎかな、と思う。
「蓉子は、自分で気が付いて無いだけで、嫉妬してるんじゃ無い?」
聖に問い詰められて、混乱してくる。……本当に私は嫉妬してるの?
と、突如前方から笑い声が聞こえてくる。
「くっくっく、蓉子ってば、少しからかっかただけでオロオロしちゃって、可愛いんだから♪」
「言いたい事はそれだけ……?」
そして審判が下された。
元に戻るまで後三日……