【242】 白薔薇の蕾までも若気の至りなんて  (くま一号 2005-07-20 08:01:17)


【No:132】 → 【No:152】 → 【No:156】 → 【No:160】 → 【No:194】 → 【No:224】 → (【No:239】) → 【No:227】
なんと9本目の長編になりつつあるがちゃSレイニーシリーズ。

 3時間目くらいまで、授業そっちのけでシナリオをまとめ、10分の休憩時間でダッシュでみんなに見せて回り……はーはーぜーぜー。友情です。友情なんです。決してリベンジが目的ではありませんが、ありませんが、瞳子が『乃梨子ー!!!』とわめくところは見てみた……、いやなんでもないんです。

 そして、昼休み。

 3.2.1.アクション。

「瞳子。昼ご飯一緒に食べない。」
「あ、乃梨子さん。昨日はごめんなさい。ありがとう。」
「うん、そのこともね、話したいのよ。今、薔薇の館には行きたくないでしょ。」
「そうですわね。ご一緒しますわ。」
「いい天気よ。そんなに寒くないわ。中庭に行きましょうよ。」
「いいですわね。」

「ねえ、瞳子。お姉さまのこと、どう思う?」
「え? 白薔薇さまですか? えーとやさしくて包容力があって、ご自分のことでは迷うことがあっても人の心は何でも見通していて、美しくてマリア様みたいで……。」
「祐巳さまの評価と全然違うわね。」やや冷たく言う。
「あの人は・・・・・もういいです。女優なんて自称の仮面をかぶり続けてきたわたくしの自業自得ですわ。」
「ならさあ、今だけお姉さま貸してあげるよ。瞳子には今甘えられる相手が必要なんだよ。」
「乃梨子さん、いいの? 昨日はちょっとびっくりしましたわ。」
「いいのいいの。事情が分かっていればね。私は大丈夫。だって紅薔薇さまになぐさめてもらいにいけば、ますます祐巳さまに誤解されるだろうし。」
「あの人はもういいんですってば。」
「はいはい。」

「瞳子ちゃん、乃梨子、ごきげんよう。」
「白薔薇さま。ごきげんよう」
「志摩子さん、ありがとう。ね、瞳子。言いたいことお姉さまにぶつけちゃえ。いいづらかったら、私は消えるわ。食べおわったし。」

「ね、瞳子ちゃん。」肩を抱き寄せる。本当に祐巳さんのことが好きなのね。ちょっと荒療治だけど、わたしたちもそれでうまくいったのだもの。祐巳さんや瞳子ちゃんの役にたちたいわ。
「私をお姉さまだと思ってごらんなさい。いつものあまのじゃくは消して。」




 ふふふ。蚊帳の外になんかならないわよ。祐巳さんの考えていることなんか後ろ姿でもわかる由乃がいなければ、この一幕はできないもの。

「祐巳さん、なーんて暗い顔してんのよ。中庭でお弁当食べましょ。」
「うん、昨日のことがね。ことがことだから祥子さまにも話せなくて。」
パシャリ。
「憂いのつぽみたち。いただき。」
「蔦子さん。ねえ、蔦子さん、笙子ちゃんまだ妹にしないの?」
「お、直球の質問ね。じゃあ瞳子ちゃんまだ妹にしないの?」
「ぐ、それ、簡単に答えられない。」
「じゃ、複雑に答えられるようにしましょうか。ほら、こういう日は中庭へ行く。」
「ほれほれ。」
蔦子さんが手を引っ張り、由乃が背中を押す。ギャラリーは多くもなく少なくもなく。
真美さんと日出実ちゃんが廊下でスタンバイ。笙子ちゃんは? あ、二階の手すりか。いいポジションだわ。紅薔薇さまと令ちゃんはまだ出番はない。第1幕立ち位置確認完了。

3.2.1.アクション。

「志摩子さんから聞いたんだけどね。」
「なあに?」
「昨日、古い温室でひともめあったらしいわ。」
「ひと揉めって、どういうこと?」
「志摩子さんが瞳子ちゃんをなぐさめて、泣きじゃくる瞳子ちゃんを抱きしめてたらしいんだけど、そこに乃梨子ちゃんが来合わせて。」
「え?」
「乃梨子ちゃん激怒、志摩子さんは困ったけれど、わんわん泣いてる瞳子ちゃんを離すわけにもいかず、なんか気まずくなってるらしいわ。志摩子さんに相談されて。」
「うー。まずいなそれ。乃梨子ちゃん昨日の話は聞いてたんだからわかってるはずなのに。」
「志摩子さんはわかってなかったはずね。なのに黙って瞳子ちゃんを抱きしめてた。乃梨子ちゃんにも見せないような優しい顔で・・・ってのは想像。」
「はあ。気が重いわ。」
「私が『令ちゃんの馬鹿ーーー。』をやったあとどうやってフォローしてるかって真顔で聞くのよ。」
「由乃さん、フォローなんてしないじゃない。」
「そうよ。令ちゃんがあやまってくるまで放っておくもの。」
「私も気が重いのよ。これ、今朝の乃梨子ちゃん。」蔦子さんが差し出す写真。
「う・そ・これ、乃梨子ちゃんなの?」
マリア様の前で思い詰めた乃梨子ちゃん。この写真撮るのに、わさび小さじ半分食わせたのだ。蔦子さんてば悪魔。

「あれ? 乃梨子ちゃんじゃない?」
向こうのベンチから身を翻して駆け去る乃梨子。両手で顔を覆っている。笑ってるなあれは。残されたのは志摩子さんと瞳子ちゃん。
「あ、あ、あ、志摩子さん、まずいよそれ。」素直な祐巳さん。うんうん。

パシャ。瞳子を抱きかかえる志摩子にシャッターを切る蔦子。
「つ・蔦子さんっ?」
「よく見てみ。瞳子ちゃん、安心したいい顔してる。」
「私に、あんな顔見せたことない・・・・・・。」
「志摩子さんもマリア様の顔、ね。」
「・・・・・・・・・。」

 さて、この辺で第1幕はクライマックスである。前振りは長くてはいけない。あんまり引っ張ってもいけないのである。
「瞳子〜。昨日の今日でそれかいっ。」だんっ。と立ち上がる。
「よ、由乃さん、何する気?」


一つ戻る   一つ進む