【2512】 君と一緒に  (沙耶 2008-01-23 23:27:52)


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(『で、断っちゃったのね?』)
『うん、だって考えた事も無かったし。祥子だって多分引っ込みがつかなかっただけだと思うんだよね。それに…』
(『それに?』)
『祥子の妹には瞳子がなるんでしょう?前にそう言ってたじゃない』
いろんなことがあった初日も漸く終わり、家に帰ってきた祐巳は瞳子に電話をかけていた。
(『そっそれは…祐巳が日本に帰って来るとは思わなかったし…そっそういえば何で一年生なのよ!祥子お姉さまと同じ二年生じゃ無かったの?』)
瞳子はだんだん声を小さくしていき、遂には怒り始めた。
実は祐巳、既に10年生(日本でいう高校1年生)の過程を修了している。。
『それがね〜、ママってば日本の新学期が四月からって忘れてたらしいのよ。6月に帰ってきてたら何とか試験で2年に編入できたらしいんだけど。』
カナダでは9月に新学期が始まり、6月に修了するため、本来ならば祐巳は高校二年生に進学するはずだった。
だが、一学期分を試験だけで取り戻すのは流石に単位が足りないらしい。
『まぁ学力的には問題無いみたいなんだけど、私の語学力も考慮した結果一年生からやり直しらしいよ。』
(『祐巳はもう少し漢字を勉強した方がいいわね。私が上げた教科書ちゃんと活用しているの?』)
やぶ蛇だった…
『いや、まぁそれはボチボチ…』
(『はぁ…まぁいいわ。それで?その後どうなったの?』)
『あ〜実は、賭けをする事になったみたい』
(『賭け!?』)
そう。あの後何故か、祐巳と祥子で勝負する事になったのだ。
学園祭までに祥子が祐巳を妹にする事が出来れば祥子の勝ち。
反対に出来なければ祐巳の勝ち。
祥子が勝てば、祐巳がシンデレラの役を代わりに演じなければならない。
(『…で?祐巳が勝った場合のメリットは?』)
『あ…』
考えていなかった。っていうより、楽しそうな薔薇さま方に囲まれてあれよあれよと言う前に決まっていったので、考える暇がなかったのだ。
瞳子はため息をつきつつ
(『馬鹿じゃない?それじゃ賭けになってないじゃない。』)
瞳子には馬鹿馬鹿言われっぱなしだ。
『あはは。私が賭けに負けなければ良いじゃない。』
(『はぁ…。諦めて祥子お姉さまの妹になったら?そのボケボケした性格じゃこの先と〜っても心配だし』)
『え〜。瞳子はそれでいいの?祥子の妹になりたかったんでしょう?』
(『お生憎様。瞳子は祐巳と違ってしっかりしているもの。お姉さまくらい自分で探すわ。まぁせいぜい頑張って、瞳子は祥子お姉さまの味方をするけれど。』)
なんだかすっごく馬鹿にされている。
『むむ〜瞳子冷たい〜。』
(『とにかく、途中経過の報告はいらないから。まぁ頑張ってね』)
そう言って、瞳子は電話を切ってしまった。
祥子と姉妹か…。
瞳子にリリアンの風習を聞いたときから、祥子と瞳子が姉妹になるのだとずっと思っていた。
日本に帰ってくる予定は無かったし、そもそも祥子とは同学年だった為、考えた事もなかったのだ。
…だけど、大好きな祥子。

その日、祐巳はなかなか眠れなかった。


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