私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)である……。
苦悩の2週間が遂に…、遂に!今日!終わりを告げる!!(イャッホー)
……思えば、日々、ハプニングの連続だった。セクハラを止めたり、ナンパを阻止したりと、とにかく、大変だった。その大半が成功しなかった気もするが、気にしないも〜ん。なんてったって、私の体が戻ってくるんだから☆
「あの〜、蓉子さん?喜びに浸っている最中、申し訳ないんだけど、これはどういうこと?」 柱に縛りつけられた私の姿の聖がうめいた。
「貴方は自由にさせておくと何をしでかすか分からないから、こうしておくのよ。後、数時間だから我慢しなさい。」
「ええ〜、そんなあぁ〜。」
涙目でこちらを上目づかいで見てくるが、自分自身なので何とも思わない。そのまま、私は紅茶を飲みながら、久しぶりの平穏な昼下がりを満喫していた。
「ごっきげんよー、蓉子に聖。」
「あら、江利子。久しぶりの出番ね。」
元に戻るまで後1時間という所で江利子が帰ってきた。
「……その言い方、きにくわないわね。それより、どう?調子は?」
「調子?いたって良好よ。それがどう……」
……あれ?目が霞む?…。足下もふらつてきた……。
「…ちょ、江利子…これ、どういう事よ……?」
歪む視界の中の江利子がニヤリ笑う。
「大丈夫よ。後遺症とかじゃないから。じき直るわ。」
その言葉を聞きながら、意識が遠のいていった………
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「……私は、いったい?」
目が覚めると部屋の風景がうつった。…そうだ、あの時、急に意識を失って……。
「おはよう、蓉子。」
目の前に江利子が満面の笑顔で現れた。
「どう?元に戻った気分は?」
へっ?元に戻った?確認してみると確かに私の体に戻っている。
………縛りつけられたまま。
「……どういう事よ、江利子。元に戻るのは1時間後じゃなかったの?」
だが、肝心の江利子は何やら聖と話している。
「江利子、これ、例の物よ。」
「ありがとう、聖。商談成立ね。」
売りやがった!コイツら、人身売買しやがった!!
「という分けで、蓉子ちゃん、覚悟いい?」
笑顔で近づいてくる聖。
「な、何するつもりよ。聖。」
「何、今までの仕返にちょーっとセクハラするだけだよーん」
笑顔でにじり寄ってくる聖。
「く、来るなぁぁぁぁ。」
苦悩はまだまだ続く