【251】 グロ志摩子  (いぬいぬ 2005-07-23 12:34:45)


※このSSには、一部グロテスクな表現が含まれています。お食事中の方や、文中の情景をリアルに脳内で再現できてしまう方、また、志摩子の汚れ役(?)が許せない方は読まないほうが良いかも知れません。まじで。


「志摩子さん、こんにちは」
「いらっしゃい、乃梨子。さあ、上がってちょうだい」
私、二条乃梨子は本日、志摩子さんの家に招待されています。何度来ても、出迎えてくれる志摩子さんにドキドキする自分が少し恥ずかしいなあ・・・
でも、仕方ないよね?だって着物の志摩子って、妙に色っぽいんだもの。髪を結い上げてるから、うなじの白さがまた・・・
「乃梨子?」
「!な・・・何?志摩子さん」
「お昼御飯はまだ食べてないわよね?」
「うん」
・・・あー、びっくりした。うなじのラインに見とれてたのがバレたのかと思った。
「良かった。今からお昼御飯を作ろうとしていた所なのよ。乃梨子も食べるわよね?」
「いただきます。・・・あ、私も手伝うよ」
「そお?悪いわね」
「そんなこと無いよ。是非手伝わせて」
本当は、少しでも志摩子さんと一緒に居たいだけなんだけどなぁ。なんて、私もだいぶリリアンに染まってきたかな?
「じゃあ、台所へ行きましょうか?」
「はーい」
私は足取りも軽く、志摩子さんの後についていった。


やっぱり、この家の台所は広いなぁ。志摩子さんに聞いたら、檀家のお客さんが多いから、このくらいは必要らしいけど、やっぱり広いよね。私もこんな台所のある家に産まれていたら、志摩子さんみたいに料理上手になれたのかな?
「乃梨子、鶏肉は平気よね?」
「うん、むしろ大好き」
「そう、良かった」
そう言って微笑む志摩子さんに、何やら妖しげな魅力を感じたりして・・・ 私ってもしかして和服フェチなんだろうか?
「じゃあ、さっそく始めましょうか」
そう言って、志摩子さんは台所の隅に歩いて行く。
・・・?あのでっかいカゴは何だろう?そう思っていたら、志摩子さんに声を掛けられた。
「乃梨子、このカゴを、そ〜っと傾けてくれる? そうね・・・カゴの下面が、床から20cmくらい開くように」
「?解かった」
なんで少しだけ開けるんだろう?そう思いつつ言われたとおりにしていると、志摩子さんがカゴの下から素早く手を入れた。

コケ───ッ!!ケ───ッ!!!(バタタタタッ!)

に!鶏!?・・・って、生きてんじゃん!何してんの志摩子さん何してんの何で素手で鶏の首つかんでんの!何処持ってくの何処持ってくの流しに鶏押さえつけて何するの!
「乃梨子、包丁を取ってくれない?」
「うえ?あ、は、はい!」
あ、思わず素直に渡しちゃった。

ダンッ!!(プシュ──ッ)バタタタタタタ!!!

首飛んだ首飛んだ!なんか血まで飛び出した!何してんの何してんの!なんで首無いのにバタバタしてんの!うわ首無くても元気だっつーかいつまで羽ばたいてんの何で志摩子さん無表情でいられるの何冷静に流しにうまいこと血を流してんの!

パタッ・・・パタタッ・・・・・・・・・パタッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)

うわ息絶えた!こえー!死んじゃったよこえー!!

ブチブチブチッ!ブチブチブチッ!!

うわやめて毟らないで鳥肌見えてる鳥肌スゴイハッキリ見えてる!志摩子さん以外と握力ある?いやそーでなくてうわ裏返して股間まで毟ってる!ああっ何か肉屋の軒先で見た事ある形になってキタ─────!!!!
「乃梨子?」
「ふぁい!!!」
「? そこのバーナーを取ってくれる?」
志摩子さんが(片手に鶏をぶら下げながら)指差した所には、携帯式の小型ガスバーナーがあった。っつーか何でこんなもんが台所に?!
「そこのマッチで火を点けてね?上のダイヤルを回すとガスが出るから、シューって音がし始めたら、マッチで点火してね」
「は、はい」
やけに手馴れた感じの指示を出す志摩子さんに言われるまま、私は火の点いたバーナーを渡した。

シュゴ─────!!(パチパチパチ・・・)

炙ってる炙ってる何か鳥肌のつぶつぶの先端が黒く焦げて無数の黒点に見えてメッチャ気持ち悪い!でも何か香ばしい匂いもしてきてる!
「こうすると、毟り切れなかった毛も綺麗に取れるのよ?」
「あぁ・・・そうなんだ・・・」
微笑んでる微笑んでるメッチャ嬉しそうに微笑んでる!何で嬉しそうなのってゆーか何生活の知恵みたいに軽く語りながら鶏のワキの下までバーナーで炙ってるの!!
私は何だか、鶏が気持ち悪いのか志摩子さんが怖いのか解からなくなってきて、思わず目をそらした。

でも目が合った。さっき飛んでった鶏の頭の目と。

やばい、膝が震えてきた。もう立ってられないかも
「あら、こんなところに飛んでたのね」
志摩子さんが、野原で花でも摘むかのように、ヒョイと鶏の頭を持ち上げた。そしてオモムロにバーナー攻撃。
うわぁぁぁぁぁあ!!なんかマブタが焼けて縮んでくぅぅぅっ!!
もはや吐きそうな私の目の前に、無造作に鶏の頭を置き、志摩子さんは何やら紐を用意している。
あ、何か予想付いちゃった♪(崩壊寸前)
予想通り、志摩子さんは、鶏の足を天井から下がっていたフックに紐で縛り始めた。ああ、次の展開が予想できる自分がイヤ・・・
そして、イヤな予想のとおりに、志摩子さんは、包丁で鶏の腹をさばき始める。
もうダメもうイヤ何でそんなに鮮やかな色の内臓が入ってるの!!おわ!理科室にある人体模型みたいにキレイに内臓が配列されてる!!ちょ待て!待ちやがれ!何手ぇ入れてんだよ志摩子!(呼び捨て)オマエ入れた手で何する気イヤァァァ!!何か引きずり出したァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!!!
「うふふ♪ほら乃梨子、立派な砂肝。後で炒めて・・・乃梨子?!」
ああ、気絶って、何かスーっとして気持ち良いかも・・・


「・・・・・・あれ?」
「乃梨子!良かった・・・気が付いたのね」
「志摩子さん。私・・・・・・」
あれ?私なんで布団で寝てるんだろう?
・・・確か、志摩子さんの家に招待されて、それで・・・

思い出した。思い出しちまったよ全部。

「御免なさい乃梨子。私、あなたの体調が悪いのに気付かずに、料理の手伝いなんかさせてしまって・・・」
やばい!志摩子さん泣きそうだ。
「大丈夫だよ、志摩子さん!もう平気だから!」
さすがにアンタがグロい物を見せてくれたおかげだよなんて言えない・・・ そんな事言ったら、志摩子さん余計気にするだろうし。
「本当に大丈夫なのね?」
「うん、本当だって。私が志摩子さんに嘘吐く訳無いじゃない!」
「良かった」
ああ良かった。志摩子さんも安心してくれたみたいだ。
それにしても、私どのくらい倒れてたんだろう?何か薄暗くなってるみたいだし。
もう夕方なのかな?それなら、あの鶏に再会せずに済むかも・・・いくらなんでも、さばく途中の鶏を放置はしないだろう、うん。
「乃梨子、夕御飯は食べられそう?」
「え?うん、大丈夫だよ」
あの惨殺シーンを思い浮かべなけりゃあ、大丈夫だろう。これ以上、志摩子さんに心配かける訳にはいかないしね。
「良かった!じゃあ、食べられなかったお昼御飯の分まで腕を振るうわね?今度は私に用意させてちょうだいね」
「うん、ありがとう」
本当にありがとう。正直、今あの台所に戻ったら、記憶がフラッシュバックして、また倒れかねないから。
「それでね?乃梨子」
「うん?」
「お父様の知人が、猟で猪を獲ってきてくださってね?」
「・・・うん?」
「これから、さばこうと思うのだけど、乃梨子は鍋と焼き物とどっちが・・・乃梨子!?」
想像しちまったよ志摩子さん・・・ さっきの数十倍の迫力で猪をかっさばく志摩子さんを・・・
あ、やっぱり気絶ってスーってなるなぁ・・・

薄れ逝く意識の中、私は志摩子さんのお父さんに、土下座してでも宗旨替えしてもらおうと、硬く決意した。
宗派は何でも良いから、殺生禁止のヤツに。


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