【2544】 衝撃告白  (通行人A 2008-02-12 05:08:29)


マリア様のなく頃に
〜時始編〜

ひぐらしのなく頃にのクロスシリーズです。
【No:2477】→【No:2479】→【No:2481】→【No:2482】→【No:2484】→【No:2487】→【No:2488】→【No:2490】→【No:2492】→【No:2499】→【No:2503】→【No:2505】→【No:2506】→【No:2507】→【No:2527】の続編です。
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第2部 夏


第2章〜綿流し1日目〜中





第4話 到着雛見沢(祐巳視点)



高速を降り興宮に着いたら、花屋の前で車が止まった。
それから梨花だけ車から降り、花屋の店員と二言三言話し花束を受け取って、車に戻ってきた。
それから、10分ぐらい車で移動すると、周りの時代を感じる古めかしい純和風な民家の中に、1つだけ目立つお姉さまの家ほどじゃないが、とても大きな洋風の家が建っていた。
その家の前に4人の女の子が立って、こっちに手を振っていた。
車はその家の前で止まり、私たちは車を降りた。
どうやらここに泊まるらしい。
すると、白い服を着たの少女とポニーテールの少女が

?1「圭一くん・梨花ちゃんお帰りだよ・だよ。」

?2「いやー、それにしてもずいぶんと大人数で帰ってきたね〜
   おじさんビックリだよ。」

祐巳(おじさん?その体形はどうみても女の子だよね?)

そんなことを考えてると、4人の少女は、私を見てくすくすと、笑っていた。

祐巳「なっ、、、」

文句を言おうとしたら、ポニーテールの子にそっくりのストレートの髪の少女と、黄色い髪の少女の発する言葉に遮られた。

?4「申し訳ありませんですわ。考えてること丸分かりのコロコロ変わる表情があまりに
も雛見沢に来たばかりの頃の圭一さんにそっくりだったものですから。」

?3「ええ、なんだか懐かしくって。」

梨花「お姉さま、魅ぃたちもまずは家に入らない?」

?1・2・3・4「お姉さま!!!?」

?4「ていうか、梨花、その喋り方はどうしたんですの?」

梨花「そのことも含めて中で話しましょう」

そうして、私たちは前原邸に入った。



梨花「まずはお互い、自己紹介にしましょう。
まずはお姉さまから、」

祐巳「初めまして、リリアンにはスール制度がありまして、スール制度とは(中略)
というもので、梨花とスールを結んでます、福沢祐巳です。
よろしくお願いします。」

それから、どんどん進んでいき、リリアン側最後に、

乃梨子「梨花のクラスメートで、先ほどの藤堂志摩子の妹の二条乃梨子と申します。
よろしくお願いします。」

梨花「ちなみにリコは圭一の従兄弟よ。」

圭一「それじゃあ次は、地元側だな。」

?1「じゃあまずは、私からだね。私の名前は園崎魅音。圭ちゃんがこっちに引っ越して
来る。1年前に発足した部活の初代部長だよ。」

それから、沙都子ちゃん(黄色い髪の子)、レナさん(白い服の人)と続き、

?3「私は、お姉の、園崎魅音の妹の園崎詩音です。部活には、圭ちゃんと同じ一年遅 れで入りました。
よろしくお願いしますね。」

お互いの自己紹介が終わると、梨花が

梨花「今日と明日は、このメンバーで過ごすので、部活には出来るだけ、皆さんも参加してください。」

私は1つの疑問を聞いてみた。

祐巳「さきほどから出てる部活って何部なんですか?」

魅音「雛見沢には、部活っていうと1つしかないから名前ついてないんだよね。」

由乃「じゃあ、どういう部活なんですか?」

魅音「わが部はだな、複雑化する社会に対応するため、活動毎に提案されるさまざまな条件下、
・・・・時には順境。あるいは逆境からいかにして・・・!!」

レナ「・・・レナは弱いから・・・いじめないでほしいな、ほしいな。仲良くやろうね。」

沙都子「レナさんは甘えてますわ!弱いものは食い尽くされるのが世の常でございますわー!」

瞳子「なんだか物騒ですわね。結局どういった部活なんですの?」

梨花「・・・つまり、皆でゲームして遊ぶ部活よ。」

圭一「簡単に言えば、この『部活』は、ゲーセンや、テレビゲームのような電子ゲームの類は一切使わず、
   トランプやマージャン、といった室内競技から、野球やサバゲ−、ちゃんばら勝負といった、屋外競技まで
   順位が着くものなら何でもやるんだよ。」

祥子「別に参加しなくてもいいのでしょう、なら私は参加しないわ。」

その一言をきっかけに、お姉さま、令さま、瞳子ちゃん、蔦子さんの不参加派と私たち参加派に分かれた。
すると、梨花が何やら不参加派に耳打ちすると不参加派の面々は、鼻血を出して、蔦子さん以外、参加派に加わった。
蔦子さんいわく、参加するより撮影して回ったほうがいいだそうだ。
それを見ていた、蓉子さまと聖さまが、梨花ちゃんを見て、『祥子を乗りこなせる1年生が居るなんて』と驚いていた。
魅音「じゃあさっそく、」

梨花「魅ぃ」

魅音さんが喋ろうとしたら梨花がストップをかけた。

魅音「なに?梨花ちゃん。」

梨花「明日は忙しくて行けないと思うので、鬼ヶ淵に行きたいんだけど。」

梨花が、さっき買った、菊の花束を持って言った。

レナ「そうだよね、明日だもんね。じゃあ皆で行こうか。」

祐巳「梨花、鬼ヶ淵って?」

梨花「雛見沢にある底無し沼です。理由は向こうについてから説明します。」



私たちは、それから20分ぐらい歩き、薄暗い森の中にある、沼の隣にポツンとあるお墓の前に立っていた。

梨花「お姉さま、ここは私の父と母のお墓なんです。
   今回お姉さまを誘ったのは、お祭りをいっしょに楽しみたいのもありますが、
   一番の理由は、両親の墓に報告したかったからなんです。」

そういうと、梨花はお墓に向き直り、

梨花「父さん、母さん紹介します。こちらの方々が、向こうで出来たお姉さまや先輩、友達の方々です。」

祐巳「初めまして、梨花さんのお姉さまをしております。福沢祐巳です。よろしくお願いします。」

私は、相手はもう亡くなっているとはいえ、出来るだけ、礼儀正しく挨拶をした。

帰り道、志摩子さんが、

志摩子「じゃあそんなに前亡くなったの?
    大変だったでしょ。」

梨花「ええ、でもその次の年から沙都子と二人暮らしをしてましたから、そんなには、」

祐巳「沙都子ちゃんのご両親は?」

沙都子「家の両親は9年前、梨花の両親の亡くなる1年前の綿流しから数日後事故で亡くなりましたのよ。
その後叔父夫婦に引き取られましたのよ。その叔母も7年前の綿流しの日に亡くなって、
叔父は興宮の愛人のところに行っちゃいまして、そんな時、誰も引き取り手の無かった私に、
梨花がいっしょに住もうと手を差し伸べてくれたのですわ。」

瞳子「村の人は何もおっしゃいませんでしたの?梨花さんのときは誘いがあったのでしょう?」

魅音「雛見沢を好きになって帰ってもらいたいわたしとしては、
その辺はあまり話したくないんだけど、梨花ちゃんと沙都子は立場がちがったからね。」

蓉子「立場・・・ですか?」

魅音「15年前から10年前までの間雛見沢をダムの底に沈める計画があってね、
そのダム計画誘致派のリーダーが沙都子ちゃんの両親で、計画が廃止になってからというもの今はもうないけど、
北条家は村八分だったから、引き取ったら自分たちまで村八分にされるんじゃないかってのことなんだよ。」

圭一「それで、梨花ちゃんの場合は、リリアンは紅薔薇・黄薔薇・白薔薇の3頭政治だろ?」

蓉子「ええ、それが?」

圭一「雛見沢も園崎・古手・君由の3頭政治なんだ。
   梨花ちゃんは、古手家それも宗家の現当主、当時は次期当主だったからな。」

レナ「それだけじゃないよ。
   古手家は村の守り神『オヤシロさま』の血を引く一族。
   それも梨花ちゃんは『オヤシロさまの生まれ変わり』で、未来を見通す予見の力まで持ってるとまで言われてたからね。」

祐巳「予見?」

私が梨花のほうを向いてそう聞くと、

梨花「そんな力、今は持ってないですよ。」

聖「今はってことは、昔は持ってたの?」

聖さまがそう聞くと梨花は、しまったといった顔をした。
それをきっかけに回りは誰もが言葉を失った。

 『カナカナカナ』とひぐらしの声があたりを包み込む。

?「正確には、少し違うのです。」

 何も無いところから女の人の声が、聞こえた。その声のほうを向くと、
 私と同じか、少し下くらいの歳の少女が立っていた。
 ただ私たちと違うのはその子の頭に角が生えていた。
 偽物とは違う、どう見ても本物の角が
 すると、さっきまで黙っていた梨花が、

梨花「羽入!!あんたの姿、普通の人に見えないんじゃなかったの!?」

羽入「それは、そうなのですが、6年前の惨劇を乗り越えてから、
   自分の意思で姿や声を出したり消したり出来るようになったのです。
   ただ、姿や声を出してると、お腹が減るし、疲れるから内緒にしてたのです。
   それに、この姿を見たら皆怖がってしまうのです。」

 登場したときの威圧感は嘘のように、羽入と呼ばれた少女は、いじいじとしだした。
 すると、レナさんが突然、

レナ「はう〜〜!!かぁいいよ〜〜〜!!お〜もちかえり〜〜〜!!!」

 と言って、羽入さん(?)に飛びついた。
 私たちが呆然とする中、蔦子さんだけが、その光景を、写真に取っていた。
 それから、我に返った圭一さん、魅音さん、詩音さんの3人がかりで止めようと近寄ったが、
 3人とも7・8メートルぐらい殴り飛ばされた。
 それを見ながら、人間ってパンチだけであんなに飛ぶんだなどと、現実逃避をしていた。

蓉子「レ、レナさんが壊れた。」

 それを見ながら、蓉子さまがそう呟いた。
 20分後レナさんが正気に戻ったので、いったん前原邸に帰ってから話し合いをすることになった。


前原邸に着いたとたん、真美さんが、新聞部の本領発揮とばかりに質問攻めをした。

真美「あなた誰?梨花さんとどういう関係?その角本物?
   さっき言ってた少し違うってどういうこと?6年前の惨劇って?」

と質問を浴びせられて、少し戸惑ったが、やがて平常心を取り戻し、登場したときとは比べ物にならない威圧感と鋭い目つきで、

羽入「1つ、1つ答えていきますです。答えに対する質問は話した後で」

 そう言うとあたりがシンとなった。

羽入「まず最初の質問、我の名前は羽入、人間たちには、『オヤシロさま』と呼ばれる存在。
   2つ目の質問、我と梨花の関係は、我が梨花の1000年前の先祖であり、友で、家族。
   3つ目の質問、触ってみればわかるが、我の角は本物。
   4つ目と5つ目の質問は、我ではなく、梨花にするべきです。我はそのことに関してはただの傍観者ですから。」

そう言い終わると、さっきまでレナさんとじゃれあってた雰囲気で、

羽入「ボクの話しはこれで終わりますです。それでは梨花説明お願いしますのです。」

 と言って説明を終わらせた。それを引継ぎ梨花が喋る。

梨花「さっき羽入が違うと言ったのは、私にあるのは、予知の力でわなく、過去の記憶という意味。」

祐巳「過去の記憶?」

梨花「羽入を見て、信じる・信じないは自由ですよ。
   
人は死ぬとどうなると思いますか?

   天国?地獄?

   それとも別の生き物として、生まれ変わる?

   どれでもないわ、人は死んだら、同じ人物として繰り返すの。

   その世界ごとにその人が選ぶ選択肢によって状況が変わるの、

   たいがい人は、前の世界が終わり次の世界に行くと記憶を失うけれど、

   私はもってる。その記憶を元に注意や対策をしただけ、それが過去の記憶という意味であり、

   未来を知っていてそれを話すのであり、未来を予測したわけではありません。

   この2つは酷似しているものの、まったく違う。だから、羽入は少し違うと言ったのです。」

梨花の目はその突拍子のない話をその場にいる誰もが、信じ疑おうとすら、考えられないくらい真剣だった。

聖「いや〜でも、いろいろ便利そうでいいね。私もそういう力がほしいね〜」

と軽口をたたくと、

梨花「普通の人にも、わずかに覚えてることがあるんですよ。夢で見ることもあれば、
   一般的にデジャヴと呼ばれるものもそうですね。世間では、前に見た別のものと錯覚してしまうものといわれていますが、
   それも、立派な過去の記憶なのですよ。
   それに、毎回生まれたときから記憶があるのではなく、
   回を重ねる毎に、記憶を思い出すのに時間がかかるようになった。
   この世界では、6年前の綿流しの2週間前に思い出した。
   それから、5つ目の質問、6年前の惨劇というのは、さっき私が今は未来がまったく分からないと言ったのは、
   私が、今まで何百何千と繰り返した中でこの歳まで生きていた世界は1つもなかったから。」

 惨劇というくらいだから、想像は着くが私は、出来ればそうであってほしいと思いながら聞いた、

祐巳「病気か事故?」

梨花「いいえ、私は、ここ以外ほぼすべての世界で、6年前の綿流しの夜もしくは、その数日後、私は殺された。
   最初のうちは殺されないよう逃げ回ったけど、それでも、最長でその年の8月までしか生きられず、
   私は助かろうと努力することをあきらめたわ。」

祥子「あきらめるだなんて、運命なんて金魚すくいの網より簡単に破れるって、
   無謀なことにも全力な梨花ちゃんらしくないじゃない。」

梨花「その言葉は、前の世界で圭一がそう言って、結局死んじゃったけどそれでも、
   最悪とも呼べるシナリオを奇跡を何度も起こして、
   突破し、今までずっと分からなかった私を殺した犯人までわかったのだもの。
   それでこの世界で終わりにするつもりでがんばって、今があるのよ。」

そう言うと、梨花の表情は可愛らしいいつものものに戻っていた。

沙都子「それはそうと、わたくしお腹がすきましたの。早くお昼にしませんこと?」

 それを聞いて時計を見ると1時を回っていて、雛見沢に着いてもうすでに3時間が過ぎていた。

魅音「そういや腹減ったね。圭ちゃんお昼どうする予定だったの?」

圭一「興宮のお店に食べに行こうかと思ってるんだが、」

魅音「なら、皆でエンジェルモート行かない?」

詩音「そうしましょう。店の子達も圭ちゃんが店に来なくなってから、
   また変なのが増えてきたので何とかしてほしいそうですよ。」

圭一「このメンツでエンジェルモートってまずくないか?」

 圭一さんは、最初渋っていたが、園崎姉妹に押し切られ、お昼は、エンジェルモートで食べることになった。

梨花「思いっきりスルーされたけど、皆私のこと怖くないの?」

沙都子「梨花、あなたまだそんなこと気にしてたんですの?
    あまりわたしくたちを見くびらないでくださいませ。梨花が、親友ということに変わりありませんでございますわ。」

 誰も何も声を発しないが、その場の全員が目で同意した。
 それを見て、梨花の涙が零れ落ちた。
 私がそっと抱きしめてあげると、ダムが決壊したようにわんわんと泣き出した。
 その姿は、見た目通り16歳の少女の泣き顔だった。
 梨花が泣き止むと、一同はエンジェルモートに出発した。


【No:2578】へ続く


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