【2655】 パニック山百合会  (アリとキリギリスのキリギリス 2008-06-18 00:29:27)


スーパー祐巳ちゃん  科学者編

【No:2646】→【No:2647】→【No:2652】の続き


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水曜日の物思い



「最悪・・・」

祐巳は自身を罵った。

昨日の惨劇に恐れをなした祐巳。
今日は学校にはYU-MIxx2TIPEに行かせていた。
にもかかわらず祐巳は今、薔薇の館の前にいた。



それは今から約30分前の出来事であった。

山百合会メンバー+祐巳、もといYU-MIxx2TYPEは、劇の練習を始める前に軽く仕事を片付けようとしていた。
そんな時。


「祐巳ちゃん!」

蓉子のただならぬ声に、聖と江利子は駆け寄った。

「蓉子?!」

「祐巳ちゃんが倒れたの!保健室に運ぶから、江利子!手伝って。
聖は保健室と祐巳ちゃんの家に連絡」

「わかった」

さすが薔薇さまと呼ばれる者。三人はテキパキと動いていた。
が、しかし。

「え!?重っ!」

「ちょっと、祐巳ちゃんって一体何キロあるのよ?!」

二人がかりでもビクともしない祐巳の身体。

そりゃそうだろう。
いくら人間ぽいとは言え、ロボットなのだから。重くて当然である。
丁度その時、用事で出ていた妹たちが帰ってきた。

「祐巳(さん・ちゃん)!」

倒れている祐巳を見て、祥子、令、志摩子、由乃が声を上げた。

「お姉さま!どうしたのですか?!」

「急に祐巳ちゃんが倒れたのよ。それで今、江利子と一緒に保健室まで運ぼうとしていたんだけれど・・・」

「どうかしまして?」

「重くて動かせないのよ」

言いよどむ蓉子に、不思議がる祥子。
正直に言う江利子。

「お姉さま、私がおぶって行きます」

剣道で鍛えている令が、運ぶ役を買って出る。

「令。あなたでも無理よ。この重さ、尋常じゃないわ」

江利子のあまりの言い分に、重さを知らない4人は苦笑いを浮かべた。

「お姉さま、それは祐巳ちゃんに失礼ですよ」

そう言って、令が祐巳を持ち上げようとするものの・・・

「えぇ!?重っ!」

ビクともしない。
だから、そりゃそうだって。機械だもん。



「蓉子」

「あぁ、聖!連絡はついたの?」

「ついたことはついたんだけど・・・」

祐巳の重さにどうしようか考えあぐねていた時、連絡をしに行っていた聖が戻ってきた。
しかし。なぜか珍しく、聖まで困惑の表情をしていた。

「どうかしたの?」

「それが・・・ご家族の方が、ね。
今すぐ迎えに行くから保健室には行かないで。っていうか誰も触らないで、って」

「それ、どういう意味?」

「私にもわからないわよ」

「それって、祐巳ちゃんの体重に関係あるのかしら?」

「江利子、どいう意味?」

事情を知らない聖は訝しげに尋ねた。

「祐巳ちゃん、物凄く重いのよ。私と蓉子の二人係でも運べなかったの」

「嘘でしょう?!祐巳ちゃん小さいし、そんなに重いわけないじゃん」

「白薔薇さま。本当です。私も運ぼうとしたんですが・・・」

令が申し訳なさそうに言った。



その頃。
薔薇の館の前に、祐巳は到着していた。
聖から電話でYU-MIxx2TYPEが倒れたと聞いて、慌てて家を飛び出してきたのだ。

「どうして充電を忘れたのよ・・・」

祐巳は一人呟いていた。

「しかたがない・・・よし!行こう!」

自分を勇気付けるかのようにそう言うと、薔薇の館のドアに手をかけた。


ガチャリ―――

「福沢祐巳を迎えに来ました」


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