【29】 黒薔薇静超ハイテク  (くま一号 2005-06-15 01:20:09)


「静さま、ほんとうにお姉さまの小笠原家の情報網に対抗できるのですか?」
「ふふふ、図書委員をなめちゃいけないわよ、祐巳ちゃん」
そう言うと静さまは図書検索端末へ祐巳を連れて行った。

「この端末から、リリアン女学園内の幼稚舎から大学院まですべての図書、文献が検索できるのは知ってるわね」
「はい、中等部の時に教わりました」
「それじゃあ、大学図書館から全国の図書館の蔵書検索ネットにつなげるのもわかるわね」
「ええ、お姉さまが花寺大学の図書館から本を取り寄せていたのを知ってます」
「それなら話は早いわ。見ていてね」

 静は手慣れた操作で国会図書館にログイン。そこで公文書の検索に入り、ほとんど見えないような小さなアイコンをクリックするとなにかパスワード入力画面が出てきて・・・え?首相官邸?
 静がパスワードを二つとなんだか乱数表を見ながら数字を打ち込むと、首相の今日の予定が・・・
「し、静さま、なぜこんなパスワードを・・・」
「ふふふふ、祐巳ちゃん、そんなことを聞いてはいけないわ」
「あ・あの・・・」
たしかに聞いてはいけないような気がする。

「ここからが大変なのよ」
「って首相官邸は大変じゃないんですかああ」
「そうよ、これから防衛庁経由でペンタゴンに侵入するの」
「あ・あ・あの・・・・」
「いいからみててちょうだい。今時の図書委員はね、これくらいできて当たり前なの」
「うそだああああ」

「ほら防衛庁」
「・・・・・・」
「ペンタゴンはちょっとやっかいね。最近テロに対する警戒が厳しいのよ」
「どうやって侵入するんですか?」
「聞きたい?」
「・・・・聞きたくない」
「じゃあ聞かせてあげるけど」
「あのおおおおお」

「こっちのもう一つの端末から陽動作戦を使うわ」
「どこへつなぐんです?」
「イラクのテロ組織」
「ああああのののののののおおおおお」
「で、あっちから侵入するふりをして、もういっぺんこっちからちょいちょいと、ほらはいれた」
「って世界の平和はどうなっているのよおおえぐえぐえぐ」
「泣かなくてもいいじゃない。で、目標は東京と、今上空の軍事衛星はというと・・・あ、いたいた。画像を出すわよ」

「お姉さま!」
「ふむ、祥子さん、水色ニットのサマーセーターにビンテージのジーパンか。祐巳ちゃん、そのオーガンジーひらひらはちょっとはずしてるわよ」
「はいっ、急いで着替えてきますっ。っって、ただデートに着ていくものを決めるのになんでここまでするんですかあああ」
「おもしろいから」
「やっぱり」

「がんばってねー。ごきげんよう」
「ごきげんよう。静さま、ばれないようにしてくださいね、命危ないですよ」

「そうそう祐巳ちゃん」
「へ?」
「回線使用料は祥子さんにつけとくから」
「あああああああああ」


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