「ごきげんよう」「ごきげんよう」 爽やかな挨拶が澄み切った青空にこだまする。 マリア様のお庭に集う乙女達が、今日も天使のような大胆さと悪魔のような繊細さで、背の高い門を潜り抜けてゆく。 その門に書かれている漆黒の文字を見上げてその文章を心に刻むのがここでのたしなみ。 『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ』 ここはリリアン女学園。余人にはうかがい知ることのできない世界である。