『マリア様の野球娘。』(『マリア様がみてる』×『大正野球娘。』のクロスオーバー)
【No:3146】【No:3173】【No:3176】【No:3182】【これ】【No:3200】【No:3211】
(試合開始)【No:3219】【No:3224】【No:3230】【No:3235】(【No:3236】)【No:3240】【No:3242】【No:3254】(完結)
※今回は『大正野球娘。4』のネタバレとまではいきませんが、微妙にかすった内容になっております。ご注意ください。
【ここまでのあらすじ】
福沢祐巳は大正時代に連れて行かれ、十日ほど桜花会とともに野球をし、巻き込まれた松平瞳子とともに平成に帰ろうとするが、取り残される。
祐巳の日記と瞳子の証言からそれを知った小笠原祥子は山百合会を巻き込み救出のために動き始めた。
平成。
祐巳さまが行方不明になったと告げられた翌日、乃梨子は姉で白薔薇さまの志摩子さんや黄薔薇姉妹とともに薔薇の館に呼び出された。
何故か薔薇の館には瞳子が現れて、続いて祐巳さまのお姉さまである紅薔薇さまこと祥子さまがちょっと興奮した様子でやってきた。
「祐巳の居場所が分かったわ」
紅薔薇さまが言うと、全員が「えっ」っという驚きと安堵の声を上げた。
「どこにいるんですか?」
由乃さまが聞く。
「大正時代よ」
「……あの、おっしゃっている意味がわかりませんが」
志摩子さんが聞く。
「信じられないかもしれないけれど、過去の世界、大正時代に祐巳はいるのよ」
紅薔薇さま以外の全員が急展開についていけないようでキョトン、ポカンという顔で聞いているが、一人だけ、瞳子だけは平然としている。
「まず、これを見て」
紅薔薇さまが生徒手帳をテーブルの上に置いた。
「これ、祐巳の生徒手帳よ。我が家の蔵から出てきたの」
由乃さまが生徒手帳を取ると中を見る。
「本当に祐巳さんのだ」
そう言って黄薔薇さまこと令さまに手渡すと、黄薔薇さまから志摩子さんに回される。
乃梨子がのぞきこむと、確かに祐巳さまの学生証が見えた。
「そこに書かれている日記を読んでいくと祐巳が大正時代にいるということがわかるわ」
紅薔薇さまはそういうが、乃梨子は信じられなかった。
誰かが祐巳さまの生徒手帳を手に入れておいて、祐巳さま、もしくは祐巳さまに筆跡が似ている誰かが書いた小説の類と考える方が自然で、大正時代にいるなんて、その発想はぶっ飛んでいるとしか言いようがない。
「そして、瞳子ちゃんは祐巳が大正時代に連れて行かれたところを目撃して──」
「えっ!?」
初耳だった乃梨子は思わず声を上げる。
「その後、大正時代に行って、戻ってきたのだけど、そこで祐巳と会ったんですって」
瞳子が頷く。
「……祥子、本気で言ってるの?」
黄薔薇さまが呆れたように聞く。
「もちろんよ」
紅薔薇さまの返事に四人は顔を見合わせた。
「それで、みんなにも協力してほしいの。時空を超える能力を持つありさという人物を探してちょうだい」
時空を超えるなんていうことは無理に決まっている。
たぶん、落ち込む紅薔薇さまを元気づけようと瞳子が、もしかしたら、提案したのは親族の誰かかもしれないが、とにかく一芝居打ったのだろう。
それにしても、ちょっとやりすぎじゃなかろうか。
手の込んだ嘘を信じてしまった紅薔薇さまが真実に気づいて落ち込むのは目に見えている。
「どんな細かいことでもいいし、この際時空を超えられる人物でもいいの。とにかく探して」
どうしよう、と四人は顔をつきあわせる。
「あの、いろいろと質問してもよろしいでしょうか?」
乃梨子は授業中のように手を上げて紅薔薇さまに尋ねることにした。
「何か?」
「まず、一つ目なんですが、なぜ、小笠原家の蔵に祐巳さまの生徒手帳があったんでしょう?」
行方不明になる前ならともかく、行方不明になった後に生徒手帳が蔵にあったのであれば、祐巳さまは小笠原家に関係する何者かによって拉致・監禁されている可能性だってあるのだ。
「確証はないのだけど、昔から我が家の蔵に眠っていたのかもしれない、そんな気がするの」
そんな話、警察に事情を聞かれた時に怪しまれやしませんか、と四人は思った。
「では、その生徒手帳は大正時代の何かと一緒に出てきたのですか?」
「これを見つけたのは母だから、詳しくはわからないわ。でも、ひょっとしたら何か一緒にあるのかもしれないわね。そうね、家に帰ったらもっと何かあるかもしれないから探してみるわ」
生徒手帳以外にも? 小笠原家で証拠を捏造する気じゃないでしょうね。と頭をよぎったが、それは絶対に言ってはいけないと心得ている。
「生徒手帳の件はわかりました。では、瞳子にも質問を」
ちらり、と紅薔薇さまが瞳子を見ると、瞳子はうなずく。
「乃梨子さんが言いたいことはなんとなくわかります。大正時代にタイムトリップなんてことは起こるはずない。手の込んだいたずらと考えた方がつじつまが合う。体験しなければ私だって否定すると思いますもの」
瞳子は乃梨子に、というより、四人に向かってそう言った。
「じゃあ、何か証拠はある?」
由乃さまが聞く。
「証拠になるかどうかはわかりませんが」
と、言って瞳子が出したのは十銭硬貨と赤いリボンだった。
「……何、これ?」
手に取りながら由乃さまが尋ねる。
「大正時代のお金と、祐巳さまが大正時代で身につけていたリボンです」
「……」
何か言いたげに由乃さまは瞳子の顔を見たが、紅薔薇さまの手前、どうつっこんでいいのか考えてしまったようだ。
乃梨子は由乃さまに同情した。硬貨は古い家の仏壇の引き出しなんかにたまに入っているし、リボンは祐巳さまのものかどうかなんてわからない。仮に祐巳さまのものだとしても、いつ手に入れたのかがはっきりしない。
「質問の続きなんだけど、瞳子は向こうで祐巳さまと会ったんだよね?」
沈黙を破って乃梨子は尋問を再会した。
「ええ」
「どうして祐巳さまは帰ってこなかったの?」
「帰れなくなったんです」
「帰れなくなった?」
聞き返すと瞳子が説明する。
大正時代に飛ばされたこと、向こうの東邦星華女学院で十日ほど過ごした祐巳さまに出会ったこと、帰ろうとして弾かれてしまい、祐巳さまの提案で瞳子だけが返されてしまったこと。
祐巳さまが残ると言いだしたことを説明するあたりから、瞳子は無念そうにときどき唇をかんだり、眉間にしわを寄せたりしていた。
「ん? 瞳子が大正時代に行ったのは……」
メモを取りながら乃梨子が聞く。
「祐巳さまが行方不明になった日です」
「で、帰ってきたのが?」
「その当日。時空を超えたときに酔ってしまったので具合が悪くなってしまって。あの日、早退したでしょう?」
「ああ」
確かにあの日、瞳子は授業を受けずに早退した。
「ねえ、他には? たとえば、写真とかないの?」
由乃さまが聞く。
「ありません」
「じゃあ、祐巳さんが何かやってたって聞いてない?」
「向こうではなんて言ったか、ええと……山百合会ではありませんが、そんな感じの何かに入っていて、仲間がいるからもう少しなら頑張れると言っていました」
瞳子は必死に言う。
「いたのは東邦星華だっけ……たしか、うちと似たような学校だったよね?」
記憶を手繰るように由乃さまがこめかみに指を当てて言う。
「確か、そうだったような気がします」
乃梨子は相槌を打つ。
「他には?」
「他に、ですか?」
由乃さまの問いに瞳子が熟考する。
「何でもいいよ。どんな細かいことでもいいから。覚えてることを言ってみて」
黄薔薇さまが優しく促すと、瞳子は言った。
「……下着がないと言っていました。ズロースを着用してるらしいです」
全員が脱力した。
「……何考えてるのよ、祐巳さん」
「最も必要ない情報ですね」
どんよりとした空気が流れる。
「すぐに帰れると思ったから特に何も言わなかったのかもしれないわ。まずは祥子さまに言ってからみんなにと思っていたのかもしれないし。もしも、こんなことになるとわかっていたらもっと違うことを言うはずよ」
志摩子さんがフォローする。
「ああ、そう考えれば、そう取れない事もないけど。……ズロースって」
低い声で由乃さまが呟く。
「ちなみに、ブラジャーは『ご想像にお任せします』と言っていました」
「あんまり想像したくないわ」
もういい、というように由乃さまは手を振った。
「……で、ありささんとやらの写真なり似顔絵なりはあるの?」
黄薔薇さまが聞く。
「写真はありませんが、顔は覚えています。今、似顔絵を描きますから」
というと、瞳子は薔薇の館にあった紙に似顔絵を描き始めたが、その沈黙の間、紅薔薇さまと瞳子以外の四人は困惑していた。
本当に大正時代に飛ばされて瞳子だけが帰ってきたのであれば、それは大変なことだけど。もう、どうすればいいんだ、この痛い茶番劇。
ため息をつくと、同じタイミングで由乃さまがため息をついていた。
似顔絵が出来上がるころに守衛さんが現れて、全員が帰宅することになった。
紅薔薇さまと瞳子は迎えの車に乗り、黄薔薇姉妹は徒歩で、乃梨子と志摩子さんはいつものバスに乗っての帰宅になった。
「志摩子さん、どう思う?」
二人になった時、乃梨子は聞いた。
「信じられないわ。でも、花寺のこともあるから、祥子さまは何かを感じていらっしゃるような気がするの」
花寺のこと、とは、お隣の花寺学院の文化祭にみんなで手伝いに行ったとき、一時的にイベントを抜けていた祐巳さまが、あり得ない姿で戻ってきたにもかかわらず、紅薔薇さまは一目で祐巳さまだと見抜いたことがあったのだ。
「それを言われると……もし、私たちのどちらかが過去に行ってしまったとしたら、あんな風になっちゃうのかな?」
乃梨子は独り言のように呟いた。
「たぶんすぐには信じられないでしょうし、なかなかたどり着けないかもしれない。でも、最後にはきっとお互いの手を取り合うことが出来ると信じているわ」
志摩子さんはそう言って乃梨子の手を握った。
「え?」
「間違っても、すれ違っても、お互いのことを信じて手を伸ばす事を諦めなければ、私たちならきっと届くはずよ。私たちは姉妹なのだから」
手を握ったまま志摩子さんは微笑む。
「志摩子さん……」
乃梨子は握られていた手を握り返した。
ただ、手を握っているだけなのに、乃梨子は落ち着いてきた。
大正時代とか、時空を超えるとか、あり得ない展開に乃梨子は冷静さを失って、どんどん嫌な方に考えがいってしまった。が、そのあり得ないものから祐巳さまの何かを感じた紅薔薇さまはそれに向かって必死に手を伸ばしている。その紅薔薇さまを少しは信じて見守ることが、今の乃梨子たちに出来ることではないだろうか。
(そうだ。東邦星華っていってたな。ネットで調べてみよう)
バスがM駅に到着するまで乃梨子は志摩子さんとずっと手を握っていた。
翌日。
令はいつものように由乃と登校してきた。
由乃は昨日の薔薇の館での祥子の話が信じられず、昨日から何度も令に祥子を諌めるようにと言ってくる。
「そりゃあ、私だって普段なら時代逆行だの、タイムワープだのって話に食いつくかもしれないけどさ。祐巳さんがあんなことになってるのに、祥子さまったら。そこまで来ちゃってるわけ? 祥子さまのあんな姿見てられないよ」
由乃は、はあ〜っ、とわざとらしく大きなため息をつく。
「もう、昨日から言ってるでしょう? 少しの間、祥子の好きにさせてあげようって。もうすぐ試験休みだし」
「だから、どうせやるなら駅前で祐巳さんの顔写真の入ったチラシ配るぐらいにしてって……」
「そういうことは警察と相談して──」
その時、令は不自然な光景を見た。
着物に袴姿、まるで大正時代のハイカラさんのような格好をした女性と、クラスメイトがマリア像の前から連れ立って歩いていく。
「……あれ、令ちゃん?」
令がハイカラさんが気になってそっと二人の後をつけると、彼女たちはは古い温室の側で対峙している。
「あなたにお願い出来る義理じゃないのはわかってる。でも、もう私にできることはやりつくしてしまって」
ハイカラさんがそう言う。
「身勝手な話ね」
ハイカラさんの言葉をクラスメイトが一蹴する。
「そんな! 話だけでも聞いてよ」
「私はあなたの話を聞くためにここにいるのよ。どうぞお話しになって」
クラスメイトの口調に令はちょっと驚く。
「令ちゃん、あれって」
「しっ」
口に指を立てて黙るように合図すると、由乃は令に倣って隠れた。
「祐巳さんってご存知?」
令と由乃はドキリとする。
「祐巳さん? 山百合会の?」
「ええ。福沢祐巳さん。彼女を大正時代に連れて行って、こっちに戻そうとしたら、静電気みたいなのが起きて、戻ってこれなくなって」
昨日の瞳子ちゃんの証言通り、ということは──。
「え!? 待って、あなたなんて事を──」
「今までこんな事なくて、もう、どうしていいかわからなくて」
泣きそうな声でハイカラさんが言う。
「祐巳さんを許可なく過去の世界に連れていくなんて、そんなことしたら、歴史は変わるかもしれないし、祐巳さんも戻れないかもしれないじゃないの」
「えええええええっ!」
思わず声を上げた由乃の口を慌てて令は塞いだが、すでに遅く、二人はこちらを見ている。
「あ……」
「その……」
こうなっては仕方がない。
「話は聞かせてもらった。山百合会は祐巳ちゃんが大正時代にいる事も、瞳子ちゃんが大正時代に行って戻ってきたことも把握している。詳しい話を薔薇の館で聞かせて」
強気に令は言った。
ハイカラさんは顔に手を当てて、あちゃーという表情になり、クラスメイトはピクリと眉を吊り上げるとハイカラさんに向かって言った。
「あなた、瞳子って……もしかして、松平瞳子さんまで?」
「あ、いや、それは不慮の出来事というか、不測の事故というか──」
ハイカラさんはそういうと後ろにじりじりと下がり始める。
令はとっさに近くの花壇に刺さっていた植物の添え木を抜くと構えた。
「ぼ、暴力はやめて!」
逃げ出そうとしたハイカラさんの前に由乃が飛び出す。
「ひっ!」
令が花壇の添え木を見つけた時にハイカラさんが逃げることを予測してそっと回り込んでいたのだ。
ハイカラさんの周りの空間がゆがみ始めた瞬間、クラスメイトはがっし、とハイカラさんの両肩をつかんだ。
「チェックメイトね。ご同行願いましょうか」
令の言葉にハイカラさんは力なく、クラスメイトはやれやれと言った表情で頷いた。
由乃に先導され、薔薇の館に着く。
階段を上ってサロン兼会議室に入ると祥子、志摩子、乃梨子ちゃん、瞳子ちゃんが何か話し合っていた。
「ごきげんよう。あの」
令たちが連れてきた二人を「誰?」というように見る祥子と白薔薇姉妹。
瞳子ちゃんだけはハイカラさんの顔を見るなり言った
「ありささま!」
やはり、と令は思ったが、部屋にいた他の三人はえっ、と驚きの声を上げる。
「ありささん、とおっしゃったわね。ちょっとお話をうかがってもよろしいかしら?」
祥子がそう聞いた。
二人を席に座らせお茶を出す。令は二人のすぐ横に座った。添え木はそのまま持ち込んでしまったが、万が一のことを考えてそのまま持っていることにした。
ありささんは昨日の瞳子ちゃんと似たような説明をした後にこう言った。
「……祐巳さんをそのまま大正時代においておくわけには行かないので、瞳子さんを戻した後、何度か試したんです。でも、うまくいかなくて。もう、私の手には負えないので、彼女に相談しようと思ったんです。そうしたら令さんに見つかってしまって」
そこで部屋の視線がもう一人のゲストに向く。
「ええと、あなたは?」
祥子がクラスメイトに聞くと、優雅に微笑んで彼女は名乗った。
「令さんのクラスの三田今日子です」
「今日子さんね。それで、あなたはこの件にどう関わっていらっしゃるのかしら?」
「関わったのはついさっき、彼女──ここではありさと名乗っているようだけど──の話を聞いてからね。でも、だからと言ってもう無関係では済まなくなってしまったわ」
今日子さんは言った。
「他言無用でお願いしたいのだけど、私はありささんと同じく時空を超える能力を持っているの。そして、それを使えば祐巳さんを平成に戻す事も可能よ」
部屋にいた者は驚きと感動の交じったような声にならない声を上げた。しかし、次の今日子さんの言葉で大人しくなる。
「ただし、今は難しいかもしれないわ」
「どうして?」
「ありささんの話にもあった静電気よ。その話をわかってもらうには……そうね……パンストを一度イメージしてもらえるかしら?」
「パ、パンスト?」
全員が思わず聞き返す。
「そう。時空というのはパンストによく似ているの。いろいろな形に変化したり、伸びたり、縮んだりするのだけど、ちょっとしたことで伝線したり、破れたりするわけ。で、現在の祐巳さんの状況というのは、そのパンストにくっついてしまったガムのような状況だと思ってくれればいい」
なんだかなあ、と思いつつもなんとなくわかってきた。
「ええと、もし、無理にそのガムをはがそうとしたら」
「ひどい時にはパンスト自体が使い物にならなくなるでしょうね」
「それって、時空なら……」
「全部消えてなくなるでしょうね。体験したことはないけれど」
さらりと今日子さんは言うが、他の者は驚く。
「無理にはがそうとしたら、ね」
今日子さんは話を続ける。
「基本的に他の時代から来た人はその時代にとっては『異物』だから、普通はすぐに戻れるのだけど、例外的に戻れない人がいるのよ。それは、過去に行った時、意識、無意識に関わらず、『何か』をしてしまい、それがきっかけで歴史を変えてしまった人よ」
「じゃ、じゃあっ、祐巳さんは戻ってこられないんですかっ!?」
由乃が声を荒げて聞く。
「いいえ。その『何か』を打ち消すような『何か』をやって歴史を戻せば元の時代に戻れるわ」
「『何か』って、何ですか?」
乃梨子ちゃんが聞く。
「祐巳さんが何をやったかはわからないから何とも言えないのだけど、他の人のケースでは、歴史にその名を刻むほどのことを成し遂げなくてはならなくなった人もいれば、些細なことで戻ってこられる人もいて、プロバンスのハーブ屋さんでカモミールを1ポンド買うことが帰還の条件だった人もいたし、そういえば、テニスの試合に出た人もいたわね」
「あ」
「まさか」
祥子と乃梨子ちゃんが声を上げる。
「どうしたの?」
令は尋ねた。
「昨日、東邦星華って言っていたんで、帰ってから東邦星華についてネットで調べたんです。そうしたら、こんなものが──」
乃梨子ちゃんが出したのはホームページを印刷したらしい紙だった。
「これは現在の東邦星華のホームページを印刷したものです。このページ、『桜花会』という東邦星華の組織のもので、これはその歴史について書かれたページなんです」
「あっ」
令と覗き込んだ由乃は思わず声を上げた。
「そんな、まさか」
「こんなことって」
乃梨子ちゃんがプリントしてきたホームページに載っていた写真に写っていたのは私たち山百合会の面々だった。
説明では大正十四年に行われた試合の後に写されたものだということだった。
「私の方でもわかったことがあったのだけど、東邦星華に小笠原の祖母が通っていたのよ」
写真を覗き込んでいた由乃と令に祥子はそう言った。
「この写真にも写っている彼女が祖母の晶子。そして、祐巳の日記。これから考えると、祐巳はおそらく祖母と一緒に野球をしていた。8/1と8/9のところ、これは私に危機が迫っているのではなく、私の祖母と祖父の間に何かが起きていて、祐巳が過去に行ったことで歴史が変わってしまった。そうよね、ありささん?」
祥子が聞くと、ありささんは気まずそうに目を伏せた。それは肯定に他ならなかった。
「この写真はおそらく、大正時代という過去の時間軸にあるけれど、少しだけ未来の私たちよ。少しだけ未来の私たちは祐巳を救うため桜花会と試合をするのではなくって?」
今日子さんは納得したように頷いた。
「たしかに、これが祐巳さんの帰還条件かもしれないわね。……ありささん」
「は、はいっ」
不意に今日子さんに名前を呼ばれて、ありささんは慌てて返事をした。
「私たちはこれから期末試験を受けなくてはならないけど、あなたは『この時代では』必要ないでしょう? 現在の東邦星華に行って、祐巳さんに関する記録があるかどうか確認してきて」
「わ、わかったわ」
ありささんはそういうと出て行った。
「ありささん、大丈夫なんですか?」
不安そうに乃梨子ちゃんが聞く。
「大丈夫よ。彼女には彼女の『理由』があるから」
今日子さんは席を立った。
「そろそろ教室に戻らなくては朝拝には間に合わないわ」
「待って」
祥子が聞く。
「今日子さん、あなたはいったい何者なの?」
「ごめんなさい、『禁則事項』でこれ以上は答えられないのよ」
ふふふ、と今日子さんは微笑んだ。
「瞳子」
教室の前まで来たところで、乃梨子は瞳子を呼びとめた。瞳子が振り返る。
「ごめん」
乃梨子は頭を下げた。
「私、昨日あのホームページの写真を見つけるまで、全然信じてなかった。瞳子のこと、わかってあげられなかった」
目から涙があふれ出てきた。
「あ、いや。苦しいとか辛いとかじゃなくって、きっと気が抜けちゃっただけ」
乃梨子は涙をぬぐった。瞳子はたぶん、祐巳さまが戻ってこられない原因は自分じゃないかとずっと自分を責めていたのだろう。それにどうして気付かなかったのか。
「馬鹿ね。どうしてあなたが泣くのよ」
瞳子が乃梨子を慰めるように抱きしめてきた。
泣いているのは乃梨子のはずなのに、実際は瞳子の方が激しく泣いているような気がした。
先生が来るまで、二人でそのまま廊下にいた。
◆◇◆
大正十四年八月十二日。
学校で合宿をしていた桜花会の面々はそれぞれの夏休みを過ごしていた。
小梅は家にいたが、巴から電話がかかってきて、皆と話がしたいのだが、寮以外の場所で会えないかという。
「じゃあ、『すず川』は? うちは女学生同士が大勢できても大丈夫よ。それとも都合が悪い?」
「いや、その方がいいわね」
時間を決めて『すず川』に向かうと祐巳を除いた桜花会の面々が集まった。
昼食時も終わった昼下がり、店の片隅に九人で陣取る。
父の洋一郎が作ってくれたソーダ水で口を潤すと、巴が切り出した。
「実は祐巳のことなのだけど、一昨日から様子がおかしくなって」
「え? 一昨日なら、祐巳は私の留守の間にここにきたって話だったけど?」
小梅が言う。帰り際にわざわざ母の八重に「小梅さんによろしく」と言って帰ったそうだ。
「じゃあ、その後何かあったのかしら?」
巴は口元に手を置いてしばし考える。
「祐巳は今どんな様子なの?」
お嬢が促すと巴は続ける。
「なんだかとてもひどく落ち込んだ様子で、食欲もなくて、それで気になって静が聞きだしたのよ」
巴が静の方を見ると静が言った。
「祐巳さんは騙されてここに連れてこられたんですって。本当はすぐに戻るという話だったのだけど、それが叶わなくなって、それで落ち込んでいるようなんですの」
「騙された?」
怪訝そうに小梅が聞く。
「どういうことなんだろう。人買いに連れてこられたのであれば、行先は東邦星華ではないだろうし」
環がブツブツと呟く。
「騙し討ちにして結婚でもさせるつもりだったのかしら?」
雪が言う。
「祐巳は海外から来たって言ってたじゃない」
乃枝が言う。
「ああ、そういえば」
巴が思い出したように呟く。
「もしかして、別に想い人がいて、その者と別れさせるために強引に帰国されられたなんて安っぽい小説みたいな話じゃないだろうな」
環が想像して言う。
「そうだとしたら、見合い──いや、見合いすらなしに相手と結婚させられるのかもしれない」
巴が推測でものを言う。
「そんなことが許されていいの?」
お嬢が眉を吊り上げて言う。
「たとえば、ご父兄に不都合があって、急にお金が必要になって、たまたま金持ちからいい条件の縁談があったら、そんな流れになってもおかしくないわね」
雪がたとえ話を持ち出す。
「じゃあ、祐巳はお金でどこの馬の骨とも知らない金持ちに売られてしまうの?」
バシン、とお嬢がテーブルを叩く。
「お嬢、小笠原家のような家柄の家ならばともかく、格式がない家などは皆そうだぞ」
環が言う。
「お嬢だって、たまたま家柄が釣り合った家の御子息があの方だっただけで、そうじゃなかったらどうなっていたか」
乃枝が言う。
「へ、変なことおっしゃらないでよ!」
こうして、祐巳は大正時代の乙女の妄想により『お金目当ての父兄によって想い人と引き裂かれどこぞのお金持ちと結婚させられる悲運の乙女』になってしまった。
「何とか出来ないものかしら」
「あのっ」
それまで黙っていた、というより話に入りこめなかった小梅が口を開いた。
「とにかく祐巳を励まそうよ。巴が気にしてこうしてみんなを集めるぐらい落ち込んでるんでしょう?」
一同が顔を見合わせる。
「そうね。小梅の言うとおりだわ」
お嬢が言う。
「じゃあ、善は急げよ。今日、寮に集まれる?」
「ええ」
「小梅、料理は任せたわよ」
「もちろん」
「私たちも手伝います」
こうして、桜花会は急遽祐巳を励ますための夕食会を開くことになった。
みんなで学校に向かうと、校門をはさんで向こう側から黒っぽい制服を着た少女たちがやってくるのが見えた。
「失礼ですがちょっと伺ってもよろしいでしょうか?」
ちょうど校門の前で、その中の一人が進み出て尋ねてきた。お嬢と雪を足したくらいの美人だった。
「何でしょうか?」
前を歩いていた巴が聞き返す。
「私、リリアン女学園山百合会の小笠原祥子と申します。皆さまは東邦星華女学院の方ですか?」
優雅に微笑んで祥子さんは聞いてきた。
「ええ」
「こちらに通っておられる、小笠原晶子さんに連絡を取りたいのですが、どちらにいらっしゃるかお分かりになりませんでしょうか?」
えっ、と全員が驚く。
「私がそうですが」
お嬢が前に進み出た。
「ああ、あなたが」
何故か納得したように頷くと、祥子さんは優雅に微笑んでこう言った。
「福沢祐巳を迎えに来ました」
その言葉で先程の『すず川』での会話を思い出す。
「どういうことでしょうか?」
「私たちは祐巳を連れて帰るためにここに来たのです。祐巳はあなたのところにいるのでしょう?」
極めて『友好的に』祥子さんは言う。
「あなた、何者なの?」
慎重にお嬢が尋ねる。
「私は祐巳の姉です。姉と言っても血のつながりの姉ではなく、姉妹の契りを交わした仲です。おわかりにはならないかもしれませんが」
「いえ、おおよそはわかります」
吉屋信子の『花物語』など少女小説に出てくる女学生同士の恋物語に出てくる姉妹の契りを交わす二人。そういう小説を読んではいたが、実際にそういう人にお目にかかったのは初めてだったので、小梅はちょっと感動した。
「おわかりいただけたのであれば、祐巳に会わせていただけないかしら?」
「いいえ」
お嬢が言うと、祥子さんの笑顔が凍った。
「あら、お分かりいただけたのではなくって?」
「祐巳はここに騙されて連れて来られて、帰るのが叶わなくなったと言っていました。誰が祐巳を騙したのかは知りませんが、祐巳の関係者に祐巳を騙すような人がいる以上、どんな人物であろうともむやみに信じることはできません」
「疑り深いのね。では、祐巳に聞いてきていただける? 『平成から祥子が来た』それだけで結構よ」
お嬢が振り返る。
聞くだけなら、と全員が頷き、静が寮に向かう。
「ここで立ち話も何ですから、お茶でも」
と雪が提案し、旧寮の食堂に席を設けた。
胡蝶と鏡子が客人たちにお茶を出す。先方は五人。机を並べて向かい合う。
バタバタと走るような足音がして祐巳が現れた。
「……お姉さま?」
祐巳は真っすぐ祥子さんに駆け寄ると、そのまま祥子さんに抱きついた。
「お姉さまっ!」
「祐巳……」
祥子さんが祐巳を抱き返す。
「お姉さま、瞳子ちゃんは?」
祥子さんはとても複雑そうな顔をした。
「瞳子ちゃんにおおよその事情を聞いたからここにいるのよ」
「瞳子ちゃん、帰れたんですね。私のせいでどうにかなっちゃったらどうしようかと……」
祐巳は祥子さんの胸に顔をうずめて泣きじゃくり、祥子さんはハンカチを出して涙を拭いている。
「あの……そろそろよろしいでしょうか?」
少し祐巳が落ち着いたのを見計らって、雪が声をかけた。
「ええ、そうね。祐巳。こちらに座りなさい」
祥子さんは近くにあった椅子を引っ張って、自分の席の隣に置いた。
「祐巳、こっちよ」
お嬢が隣の空いている席をさす。
「あら、祐巳はこちらの席よ。さあ、いらっしゃい」
祥子さんは祐巳の肩を抱いて自分の席の方に連れていこうとする。
「そういうわけにはいきませんわ。祐巳は桜花会の一員なんですから」
お嬢は祐巳の手を取る。二人の間の空気がピリピリと張り詰めてくる。
「祐巳、選びなさい。あなたがどちらの仲間なのかはっきりこの人たちに見せておやりなさい」
祥子さんがいう。
「祐巳、わかっているわよね?」
お嬢がいうと、困ったように祐巳は二人を交互に見る。
「あの──」
「祐巳、何を迷っているの? あなたは私の妹でしょう」
グイッ、と祥子さんは祐巳を抱き寄せる。
「祐巳、何をしているの? あなたはこの人とどんな関係だとしても、私たちの仲間でしょう」
負けじとグイッとお嬢は祐巳を引っ張る。バチバチと火花が飛び散りそうな二人のにらみ合いが続く。
「この人に何か脅されているの? 怖がらないで私のところに来なさい」
苛立ったように祥子さんが言うが、この言葉に黙っているようなお嬢ではない。
「祐巳、こんな無礼な人を姉と慕うだなんておよしなさい。あなたには相応しくないわ」
「無礼なのはどちらかしら? あなたなんかに私の何がわかるというの?」
「さあ? いちいち武蔵野の田舎娘の事なんか気にかけたこともないから知らないわ」
「そうね、あなたは何にも知らない世間知らずなお嬢さまみたいですものね。何も知らずに親の命令で軽薄な浮気者に嫁がされて泣くのがせいぜいでしょう」
「おっ、お姉さま──」
不穏な空気を察した祐巳が止めようとしたが遅かった。
まずい、と小梅も思った。お嬢の口が、岩崎さんのことまで、と動いたのが見えたのだ。
「あなたのようなじゃじゃ馬娘こそ、その歪んだ性格を直さないと、男色家とか、奇妙な性癖の持ち主とか、ロクな相手しか見つからないでしょうね」
「なんですってえっ」
ビリビリ、と異常な音がするので見ると、祥子さんはその手に握っていたハンカチを破り捨てていた。
ハンカチはぼろぼろになっていたが、抱き寄せた祐巳さんには全く危害が及んでいないのはある意味見事である。
ハンカチはいつものようにズタズタに切り裂かれていたが、祐巳さんには全く危害が及んでいない。祥子さまは冷静を保っている。まだ目的を達成していないのだからそうでなくては困るのだけど。
私たちの目的、それは桜花会に野球の試合を申し込むことだった。
放課後、今日子さまとありささまの協力を得て、三薔薇さまと由乃と乃梨子ちゃんの五人で大正時代に乗り込んできたのだが、祥子さまと晶子さまのペースで話が進んでいき、祐巳さんですら口をはさむ余裕がない。
「こうなったら勝負よ!」
祥子さまと晶子さまが綺麗にハモった。
「勝負? 一体何をする気ですか?」
祐巳さんが絶妙のタイミングで二人に尋ねる。
「野球に決まってるでしょう!?」
これまた二人で綺麗にハモる。
「まあ、あなた、野球が何なのか知っているのかしら?」
挑発するように祥子さまが言う。
「あなたたち田舎者にはわからないでしょうが、私たちは本場アメリカのベースボールをやっているのよ」
勝ち誇ったように晶子さまが言う。
「箱入りの世間知らずが何を言っているのかしら? あなたたちの野球はどうせ箱の中のお座敷野球でしょう?」
「私たちは、あなたたちみたいに田んぼの案山子を相手にしないでちゃんと男子と試合をしたのよ」
「まあ! それはさぞ、手加減してもらったことにすら気付かないようなおめでたい試合だったのでしょうね」
「あなたたちこそ、野球のことをご存知なのかしら? 野球は鍬だの鎌だのは使わないのよ」
バチバチバチバチと激しく火花を散らす二人。
「具体的な日取りを決めましょう。次の日曜日の十時からはどうですか?」
令ちゃんが祥子さまに代わって言う。
「私たちは構いません」
眼鏡をかけた少女がそう答えた。
「グラウンドはこちらのものをお借りすることはできるでしょうか?」
「ええ、先日試合をしたばかりですから」
「それは有難い。では、審判はどうしましょう」
「知り合いの野球部の男子にお願いすることが出来ますが、それでよろしくて?」
「公平に行われるのであればまったく問題はありません」
「もちろん、これは乙女の意地と意地がかかった試合になるのですから、妙な事にはなりませんわ」
ちらり、と二人は祥子さまと晶子さまを見る。
「では、そういうことで。行こう、祥子」
祥子さまは祐巳さんをそのまま連れて行こうとしたが、晶子さまはしっかりと祐巳さんの手を握って離さない。
ここで妙なことになってはダブル小笠原火山は確実に祐巳さんを巻き込んで噴火する。さて、どうしたものか。
「あの、このままでは埒が明かないのでこうしてはいかがでしょうか?」
ソフトな口調で別の少女が前に出て言った。
「山百合会の皆さんは今日のところはそのままお帰りになって、私たち桜花会が祐巳さんをお預かりする。そして、試合が終わって山百合会が勝ったら祐巳さんは山百合会と一緒に帰り、負けたらそのまま桜花会に残る」
実は今日は祐巳さんを回収せずに試合の申し込みだけということになっていたのだから、今日祐巳さんを置いて帰るのには問題はない。
「ちょ、ちょっと、雪さん! 私は──」
「祐巳、これはもうあなた一人の問題ではないのよ」
言いかけた祐巳さんを遮るようにショートカットの少女が言う。
「いいから任せて。悪いようにはしないわ」
ソフトな少女が微笑む。
「いえ、そうではなく──」
ちらり、と祐巳さんは祥子さまの顔を見る。
「祐巳、仮にもあなたのことを仲間だと思っいるのであれば酷く不当な扱いは受けないはずよ。さり気なく祐巳を試合の賭けの対象にするような腹黒い人たちの中に残していくのは多少の不安があるけれど、今日から試合の日まで我慢なさい」
「ええっ、お姉さま!?」
祐巳さんは一緒に帰るつもりだったようだ。そうだよね。
こうなる前に祐巳さんには事情を説明するつもりだったのだけど、まさかこんな展開になるとはこっちだって思わなかったもの。
「今日のところは引いてあげるわ。でも、試合で徹底的にたたきのめして、私は必ず祐巳を堂々と連れ帰るのだから、せいぜい思い出でもお作りになったら? それでは、ごきげんようっ!!」
そういうと祥子さまは祐巳さんを解放してとっとと出口に向かった。
由乃は祐巳さんに駆け寄って手を握った。
「ごめん、祐巳さん。もうちょっと頑張って」
由乃は祐巳さんの手に差し入れの入った紙袋を持たせると、みんなの後に続いた。
校門を出て、少し行ったところで待っていた今日子さまとありささまと落ち合う。
「忘れ物はない? では、平成に戻るわよ」
「あっ」
祥子さまが微かに顔をしかめる。
「どうしたの?」
「私としたことが、すっかり頭に血が上ったせいで、あの腹立たしい小娘に『ユニフォームを着こなせない前時代娘』と罵るのを忘れてしまったわ」
あれ、もしかして、さっきの罵りあいは演技ではなかったのですか?
「それにしても祐巳ったら、私の顔を見て真っ先に瞳子ちゃんのことを聞くこともないでしょうに」
何だ、不機嫌の原因はそこか。
それでは、と七人は平成に戻った。
【No:3200】へ続く
【マリア様がみてる派へのフォロー】
『すず川』(すずかわ)
小梅の実家の洋食屋。麻布十番にある。どこに出しても恥ずかしくないちゃんとした洋食屋で、女同士で外食しても大丈夫な店である。本格的なデミグラスソースが自慢。店主は小梅の父、鈴川洋一郎。
鈴川洋一郎(すずかわよういちろう):小梅の父。洋食屋『すず川』を営んでいる。娘には寛容で、桜花会で野球をやっていることなどを優しく見守っており、桜花会のパーティーなどにも協力してくれた。最新刊で意外な(後付け?)設定が明らかになった。
鈴川八重(すずかわやえ):小梅の母。娘のお転婆を許してくれる寛容な母だと思ったら、最新刊で意外な(後付け?)設定が明らかになった。
《お知らせ》
『大正野球娘。4』発売中です。アニメと原作のブレを補正するため原作がアニメに歩み寄り(そこは毅然と原作は原作という態度を貫いてほしかった……)、かつ、超展開になっております。ただし、野球の試合はしていません。練習はちょっとしてますが。余裕のある人はご覧ください。
【大正野球娘。派へのフォロー】
三田今日子(みたきょうこ):『マリア様がみてる バラエティギフト』収録の『降誕祭の奇跡』に登場した時空を超えたと考えたくなるような描写のある一人目のキャラクターである。原作ではそれ以降全く出番がないが、今回は当初から朝比奈みくる(長門有希?)ポジションでの導入を予定していたが、某ARIAクロスとかぶらないかうp主をやきもきさせてくれたが、まあ、解決って事で(笑)
朝比奈みくると長門有希が何なのかわからない人は『涼宮ハルヒ』シリーズで調べてください(そこまでフォローできないわ)
《お知らせ》
『映画原作 マリア様がみてる』発売中です。本文の内容は無印(1巻目)と何ら変わりないのですが、ひびき玲音先生のイラストがすべてなくなり、映画キャストの写真が代わりに挿入されているので、そちらのファンの方はどうぞご覧ください。
『お釈迦様もみてる スクール フェスティバルズ』発売中です。1巻目の裏話です。ついにBL本に登場するわ、微妙な頃の柏木さんとのツーショットだわ、祐巳はロザリオ受け取ってくれないわで切なそうな表情の祥子が表紙に登場しています。1期ファンは買い、ですよ(たぶん)。