【32】 誰にも言えないメイドさんの仏像  (琴吹 邑 2005-06-15 14:04:26)


 私の趣味は仏像鑑賞。
 これは、キリスト教系のリリアン女学院に通うものとしては、非常に珍しい趣味といえるだろう。
 でも、私には、みんなには言えないもう一つの趣味がある。
 それは仏像作りだ。

 これまで、数々の仏像を作ってきた。
 最近また新しい仏像を作った。
 それはマリア観音。

 モチーフは当然のことながら。私のお姉さまの志摩子さん。
 今のリリアンにマリア様のようなという形容詞がふさわしいのは志摩子さんしかいないだろう。
 時々、祐巳さまが祥子さまに対して、使っているようだけれど、あの祥子さまの性格を考えたら、どちらがよりマリア様にふさわしいかは、誰に聞いても明らかだろう。瞳子以外。

 まあ、それはともかくとして、今私の手元には、志摩子さんそっくりの仏像がある。
 そう、それは、仏像と言うよりは志摩子さん1/1フィギュアと言っても過言ではないくらい精巧に出来ている。
 それにその服を着せたのはほんの出来心だった。
 精神状態が、まともじゃないくらい疲れていたのだ。



 話は、一週間前に遡る。
 菫子さんが、絵馬とか言うメイドさんものに惚れこんで、何をトチ狂ったのか、メイド服をHANDSで手に入れてきた。
 菫子さんはわたしが帰ってくるなりそのメイド服を渡して、今週一週間、家にいるときはメイド服着用とのお達しをだしやがったのだ。
 私は、かなり強固に抵抗したのだが、最終的に生命線であるお小遣いを人質に取られて、THE ENDである。


 それから一週間、私は家でメイド服を着続けた。
 その報酬が、3ヶ月のお小遣いUPとこのメイド服だった。

 正直、この一週間は苦痛の連続だった。ひらひらなメイド服は私に死ぬほどにあわなかった。
 日曜日に、この服を着て買い物に行かなければならなかった時には何度、車道に身を躍らせようとしたか・・・聞くも涙。語るも涙である。


 もともと、私は、日本人形のようなと形容されているのだ。
 このひらひらメイド服は、私よりも、西洋人形のようなと形容される、志摩子さんの絶対に似合う。
 一度、志摩子さんのメイド服を見せてもらいたい。
 そして、私にご奉仕してほしい。
 そこで、ふと思い出したのだ、あのマリア観音を。


 私の趣味は仏像鑑賞。
 これは、キリスト教系のリリアン女学院に通うものとしては、非常に珍しい趣味といえるだろう。
 いま、私の中でのブームはマリア観音。
 そのマリア観音は決して一般公開される事がない仏像である。


 その仏像は、とても優しいお顔をした、メイド服を着たマリア観音である。



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