「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
そしてここに
ここは、リリアン女学園の中庭に在る花壇、
よく知る少女を見つけ
「ごきげん・・・・?」
花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・
白薔薇こと、藤堂志摩子
志摩子さんは、花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・
よく知る少女、見間違えるはずなどない、親友の1人であり山百合会の仲間
紅薔薇こと、福沢祐巳である。
リリアン生がリリアンの花壇に水を撒く、別段不思議な光景ではない・・・
それが紅薔薇、祐巳であっても、それ自体は・・・
リリアンの制服と違う制服、モスグリーンのハイソックス、
白系のブラウスに黄色系の大き目なリボン、
赤色系のジャンパースカートとその上に同色のボレロ
胸元には、、夕日に映える鹿縞山をイメージした校章が付いている。
藤堂志摩子は、花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・
花壇の前には、水を撒く祐巳さんがいた・・・
祐巳さん、そして頭上を・・・楽しそうに飛び回る、祐巳さんによく似た少女
「オネニーサマ♪オネニーサマ♪」と・・・
志摩子に気づいた祐巳が
志摩子に向かって駆け出しながら
「志摩子さん〜・・・あのね!・・・」