【3212】 私の目はごまかせない憑き物を見かけた方は  (福沢家の人々 2010-07-20 11:12:29)


「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

さわやかな挨拶が、澄みきった青空にこだまする。

マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。

スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。

もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。










そしてここに










ここは、リリアン女学園の中庭に在る花壇、

よく知る少女を見つけ

「ごきげん・・・・?」

花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・

白薔薇こと、藤堂志摩子











志摩子さんは、花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・

よく知る少女、見間違えるはずなどない、親友の1人であり山百合会の仲間

紅薔薇こと、福沢祐巳である。










リリアン生がリリアンの花壇に水を撒く、別段不思議な光景ではない・・・

それが紅薔薇、祐巳であっても、それ自体は・・・










リリアンの制服と違う制服、モスグリーンのハイソックス、

白系のブラウスに黄色系の大き目なリボン、

赤色系のジャンパースカートとその上に同色のボレロ

胸元には、、夕日に映える鹿縞山をイメージした校章が付いている。










藤堂志摩子は、花壇に水を撒く少女と周りを飛び回る何か?を見詰て固まっていた・・・・

花壇の前には、水を撒く祐巳さんがいた・・・










祐巳さん、そして頭上を・・・楽しそうに飛び回る、祐巳さんによく似た少女

「オネニーサマ♪オネニーサマ♪」と・・・









志摩子に気づいた祐巳が

志摩子に向かって駆け出しながら









「志摩子さん〜・・・あのね!・・・」






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