ごきげんよう、藤堂志摩子です。今回出番が無いので、前回までのあらすじ【No:3272】【No:3276】を紹介したいと思います。
ある日の朝、紅薔薇である水野蓉子さまにネコミミしっぽが生えました。
原因は言うまでもなく、黄薔薇こと鳥居江利子さまと私の姉であり白薔薇でもある佐藤聖さま。
お馴染みのコンビが巻き起こすらんちき騒ぎ。それに対して蓉子さまは諦め半分。
だけど今回に限り、なにやらいつもと様子が違うみたいなのです。
なんと! ネコミミが感染してしまうという異常事態に。
普段なら被害は紅薔薇姉妹だけで済むのですが、一般生徒にまで広まってしまいました。
流石にこれは洒落にならず、お怒りの蓉子さまは騒ぎを収める為、原因であるところのお姉さま方が居らっしゃる薔薇の館へと。
そんな訳で、殴りこ…… 話し合いをするから手伝ってくれないか?
途中、妹の小笠原祥子さまを仲間に引き入れて、この事態を治めようと全力を尽くすのでした。
紅薔薇姉妹 vs 白黄連盟
火花飛び散る両者。今まさに、闘いの火蓋が切って落とされようとしたのです……
『鍋パーティは蓉子萌えに目覚める!? 良い意味で。』
「で、私になにか言うことがあるんじゃにゃいかしら? ん?」
「「ごめんなさい」」
かくして、紅薔薇姉妹と白黄連盟の闘いは、私のお姉さまの圧勝に終わりましたとさ。
終わるの早っ! 私の出番はどこっ!
これじゃあ、脅迫されてまで此処に来た意味が無いですわ!?
「脅迫? にゃんて失礼な。私はただ、ついて来にゃいなら祐巳ちゃんに祥子が撮った写真を見せると言っただけよ」
世界はそれを脅迫と呼ぶのです。
「姉の可愛らしいお願いを脅迫と呼ぶにゃんて…… 世知辛いにゃあ……」
正座させられて説教を受ける、白薔薇さまと黄薔薇さまの図。
姉からそんなものを見せ付けられている今、この状況を世知辛いと言うのです。
私にどう反応しろと?
「でも、祥子はこの状況を見にゃれてるでしょ?」
ええ、これを見るの何度目かしらとうんざりするくらいは。
白薔薇さまと黄薔薇さまもいい加減懲りたらいいのに、毎度の事ながらそう思っていますわ。
「ふっふっふ…… 甘い、甘いわ、祥子!」
「面白い事には率先して身体を張る、それが薔薇さまクオリティ!」
……ああ、この人達はアレなのね。
「というか、そこに私を含めにゃいで欲しいのですが」
☆
「……まぁ良いわ。じゃあさっさと教えてくれにゃいかしらね」
「祐巳ちゃんのスリーサイズ?」
それは知ってる。
「違う! ネコミミを消す方法に決まっているでしょ!」
「えー」
「とてつもなく良く似合ってるのにぃ」
ですよねー。
「そんにゃ事言っている場合じゃないのよ! 山百合会の外にまで被害が出ているんにゃから!!」
「あ、それはねぇ……」
「私達にとっても誤算だった。ね、聖?」
誤算?
「そう、誤算。まさかここまで被害が広がるとは思いもよらなんだ」
「一般生徒にまで手を出しておいて、にゃんて無責任な事を」
確かに。今回の騒動、お二人の仕業にしては杜撰なところが目立ちますもの。
「この二人はね、元からダメダメにゃのよ」
「蓉子はホントに酷いな。あと誤解を招くから手を出したとかゆうなや」
お二人がダメダメなのは十分に理解していますから。
で、どの辺を計算違いしたのですか?
「……最近の紅薔薇姉妹、私達に対して冷たくないですかね?」
自業自得とだけ言っときましょう。
で、どの辺を(略
「いや、まさか紅薔薇さまのネコミミに触ろうとする生徒が居るなんて、想像付く訳無いでしょうに」
「それに加えて、蓉子の近くに居れば居る程、ネコミミ率が高くなっているのですよ?」
「「あんたのクラスメイト、アグレッシブ過ぎ」」
「ぐぬぬぬ…… 当たっているだけに言い返せにゃい……」
☆
「ん? だったら感染する機能に必要性が無いんじゃにゃいの?」
「あぁ、それはね」
「本来のターゲットである祐巳ちゃんに使うから必要なのよ」
!?
「祐巳ちゃんのネコミミ姿がどうしようもなく見たい。だけど最近の祐巳ちゃん、私達に警戒しちゃってね」
「だから直接狙うでなく、こうやって間接的に攻めていこうかなと思った訳で」
何度も言っていますが、私の祐巳を勝手に弄繰り回すのは辞めて頂きたいですわ!
大体ですね、祐巳のネコミミ姿が見たいなら見たいで、私に仰ってくだされば良かったのに。
「「なんで?」」
なんでって…… 良いですか、白薔薇さまと黄薔薇さま!
私と祐巳はですね、運命という名の赤い糸で結ばれたベストカッ…… じゃなくて、ベストスールなのです!
だからこそ姉である私の命令は絶対。私の事を敬愛して止まない祐巳は、私の言うことをなんでも聞く素直な良い妹なのです!!
「「「ないわー」」」
ちょ、それはどういう意味ですかっ!!
というかなんでお姉さまも一緒になって否定なさるんです!?
「最近、祥子やりすぎ。身に覚えにゃい?」
むぅ、覚えがないこともない……
「うふふ、貴方も祐巳ちゃんに警戒されてるのよ」
そ、そんな事ありませんわ。私が祐巳を愛している様に、祐巳もまた私を愛しているのですから。
「ようこそ! こちら側の世界へ」
嫌っ! それだけは絶対に嫌っ!!
「とゆーわけで、役に立たない祥子よりも、蓉子さんにネコミミを生やして貰ったのです」
「蓉子のネコミミ姿も見たかったし、まさに一石二鳥かしら」
なんでそこでお姉さまの名前が……
「あれま、祥子ったらもしかして知らない?」
「蓉子と祐巳ちゃん、最近とっても仲が良いのよね」
なっ!? 「にゃっ!?」
「蓉子ったら、上っ面だけは良いから祐巳ちゃんも警戒しないのよねー」
「昨日も二人っきりでいちゃいちゃしてさー」
……お姉さま?
「ち、違うのよ祥子! そ、そうよ、これは二人が私を貶めようとする陰謀かにゃんかで……」
「まったく失礼な。ほら、カメラちゃん作の証拠写真がここに」
……この祐巳に膝枕されている写真はいったい?
「い、いつの間にこんにゃ写真をっ!?」
「カメラちゃんを舐めたらあかん」
それよりもお姉さま……?
昨日は確か、用事があるからと言って会議をお休みになりましたよね。
「「休んでた」」
それはつまり、祐巳といちゃいちゃする為に……?
「さ、祥子、これには深いわけが……」
問答無用! 昨日、祐巳に逢えなかった私の悲しみをお姉さまも味わうが良いっ!!
「たった一日逢えなかったくらいでなにを…… ギャーーーッ!!!」
「「あっははは、こいつ等馬鹿だー」」
……あ、やばい。とうとう祐巳分がゼロになってしまった。
どうしましょう! このままだと私、どうにかなってしまうんじゃないかしら!
「「既になっとるがな」」
祐巳ーーーっ! 祐巳はどこーーーっ!! ねぇ、ゆーーーみーーー!!!
...To be Continued