【3282】 迷える子羊メラメラとしてるコスプレ大会  (bqex 2010-09-10 00:23:55)


インタラクティブSS『ちびっこ山百合会』シリーズ
(片仮名語使えばかっこよくなるだなんて思うなよ、手抜きなだけだろ、という大合唱が聞こえるがスルーして)


祐巳、祥子、令、由乃、志摩子、乃梨子はちびっこになってしまった【No:3275】
さて……

【前回の結果】
×A.とにかく薔薇の館にあるものを調べることにした
○B.とりあえず薔薇の館から脱出することにした

コメントくださった方、本当にありがとうございました。
というわけで、薔薇の館から脱出する続きをお届けいたします。





「とりあえず、ここから でましょう」

 さちこさまはそう言った。

「ここから でて だいじょうぶ? あては あるの?」

 れいさまが聞く。

「また だれかが たずねてきて ここで わたくしたちが すがたを あらわすまで まつことにしたら もう みうごきが とれなくってよ。そうなるまえに ひなんして あらためて たいさくを ねりましょう」

 なるほど、と全員が頷いた。

「おまちください。ここから でるまえに したくを させてください」

 しまこさんはそう言うと、必要そうなものをいくつか取り出し、それをタオルで包んだ。その辺にあったブルーのリボンで留めて持ちやすくする。

「バッグ みたいですね」

 器用にしまこさんが作った包みを見てのりこちゃんが感心する。

「ふろしきの おうようよ」

「さあ、したくが できたなら いきましょう」

 脱出作戦にとりかかる。
 まず、さちこさまが窓から人通りがないことを確認し、階段のところに控えるゆみに合図する。
 ゆみの合図で階下のれいさまがそっと玄関扉を開け、本当に人通りがないことを確認してから外の茂みに向かってダッシュ、隠れる。
 れいさまが人通りがないことを確認し、OKというように両手で輪を作り、さちこさまも窓から人通りがないことを確認し、次々と脱出する。
 ゆみの番になり、さちこさまの合図で玄関に向かい、れいさまの合図で脱出。
 同時にさちこさまが階下に向かう。

「うわあっ!」

 人が近づいてきた。やってきたのは新聞部のルーキーさんだった。

「ごきげんよう、失礼します」

 ルーキーさんはそう言うと中に入った。

「なんなのよ〜? きょうに かぎって しんぶんぶまで」

 よしのさんが頭を抱える。

「しずかに!」

 れいさまがよしのさんの口を塞いだ後、小声でゆみに指示する。

「かのじょが でていったら、ゆみちゃんは さちこを つれだして」

「わかりました」

 中に誰もいないと認めたのであろう。ルーキーさんは出てきて、去っていった。
 ゆみはダッシュで薔薇の館に向かって玄関から呼びかける。

「おねえさま」

「ここよ」

 さちこさまは一階の納戸のような部屋から出てきた。

「いそぎましょう」

 ゆみはさちこさまと手を握って一気に脱出した。

「よしっ!」

「でようとしたときに こえが きこえて おどろいたわ」

「みているほうも おどろきました」

 一同はほっと息をつく。

「とにかく ばらのやかたを はなれよう。ひとめのないところで たいさくかいぎだ」

 れいさまの言葉に頷き、校庭の隅に移動した。

「さて、これから どうしよう?」

「この じょうたいは いつまで つづくのかしら? じかんが たてば しぜんと もとに もどるのであれば、かくれていても よいでしょうけど、そうでないとしたら……はやく はんにんを さがさなくては ならないわね」

 さちこさまが自身の身体を眺めながら言う。

「はんにんか……いったいだれが? どうやって? なんのために?」

 れいさまが自問するかのように呟く。

「さっきから、つたこさんが きたり、しんぶんぶが きたりして、きになるのよね」

 よしのさんが言う。

「もしかして、よしのは しんぶんぶが わたしたちが こうなったことを しっていて、それを つたこさんが かぎつけた。といいたいの?」

 れいさまが聞く。

「しょうこは ないけどね」

「ぐうぜん、ということは ないのかしら? たいいくさい ちょくぜんだから、べつの ようが あったのかもしれないわ」

 しまこさんがよしのさんの意見に反対するように言う。

「それだったら、たいいくさい じっこういいんかいの ほうに いくんじゃない?」

 現役体育祭実行委員のよしのさんはそう言い張る。

「もし、しんぶんぶが はんにんだとしても メリットは ひくいんじゃない? いまは ぎょうじが おおいから きじには ことかかないし、わたしたちの しゃしんを とったところで たにんのそらにって いいはられたら それまででしょう」

「それに、はんにんが しんぶんぶだって バレたら かつどうていしも あります。そんな リスクの たかいことを わざわざ やるのでしょうか」

 れいさまとのりこちゃんの考察を聞いて由乃さんは黙った。

「ほかに やまゆりかいに いたずらしたり このなかの だれかを うらんでいたり、にくんでいたりしている ひとに こころあたりは ない?」

 ゆみは可南子ちゃんを思い浮かべてすぐに打ち消した。
 たしかに、可南子ちゃんとは花寺の学園祭の直前に揉めて、体育祭で賭けをすることになった。
 だが、可南子ちゃんは祐巳のことを嫌いになったとしてもこんな方法で仕返しをしたりするような人物ではなく、それだからこそ、賭けに応じたのだと思う。

「ゆみちゃん?」

 異変を察したのか、れいさまがゆみの名を呼んだ。

「あ、いえ。こころあたりが ありません」

「だよねえ」

 れいさまはそれだけ言ったが、さちこさまと目が合った。
 百面相の異名を持つゆみの考えなど手に取るようにわかるようだ。

「ねえ、君たち」

「うわっ!」

 不意に声をかけられ、六人は驚いた。
 そこには一人の高等部の生徒が立っていた。

「君たち、もしかして初等部の生徒?」

 顔を見合わせ、正体がばれるよりは、と思って全員が頷く。

「こんなところにいるなんて、もしかして、迷子になった?」

 代表するように、さちこさまとれいさまが頷いた。

「そう。それは大変だったわね。さあ、こっちへいらっしゃい」

 と、生徒がれいさまの手を取った。

「あ、あの。どっちに いけば いいのか おしえてくだされば、だいじょうぶですから」

 れいさまは必死で手を振りほどこうとしている。

「まあ、そう言わないで」

 別の生徒が別の方向から現れて、ゆみの肩をつかんだ。

「ひっ」

「ゆみっ!」

「別に、取って食うわけじゃないから安心して」

 さちこさまはしっかりと別の生徒に抱え込まれていた。

「なにをするの? はなしなさい!」

「お姉さんたちと一緒に来よう。美味しいお茶とお菓子もあるよ」

「いい子だから、大人しくついてきて」

 どこに潜んでいたのか、十人前後の生徒が現れて、次々と捕まえられる。

(このひとたちが、はんにん!?)

 ゆみたち六人を捕まえた生徒たちは高等部の校舎に向かった。そして、本拠地に六人を連れ込んだ。

『被服室』

(どこかで みたことあると おもったら、しゅげいぶの ひとかあ)

(しゅげいぶが わたくしたちに なんのようかしら? がくえんさい かんけいでは ないようだけど)

(とにかく、だっしゅつほうほうを かんがえないと)

 手芸部の生徒たちはゆみたち六人を座らせて言った。

「可愛い可愛いお姫さまたちにお願いがあるのよ」

「おことわりします」

 さちこさまが「ワタクシ、フユカイデス」という表情で言った。

「まあ、聞くだけ聞いてよ。手芸部では学園祭の展示にと子供服を作ってみたのだけど、実際に着てくれるモデルがいなくって。探していたら、あなたたちを見かけたの。で、ちょっとお願いしようと思って」

「じょうだんじゃないわ。なぜ、わたくしたちが そのようなことを しなくては ならないのかしら?」

 怒ってさちこさまが聞き返す。

「あら、高等部に勝手に入り込んだら叱られるのはあなたたちの方でしょう? 私たちと一緒なら、叱られないようにうまく言ってあげるわ」

 そんなことを言われても、こっちは元々高等部の生徒なのだからちっとも怖くない。

「あなたは、この衣装着てみたいと思わない? きっと似合うわよ」

 さちこさまは無理と判断したのか、れいさまにフリフリレースの衣装を差し出す部員。マズい、れいさまはそういうの大好きだから、これは落ちるかも。

「い、いらないっ!」

 耐えられたのは、隣でよしのさんがギロリとれいさまを睨んでいたから。

「いらないの? 似合いそうなのに」

 残念そうに言っているが、全然諦めてはいないようだ。

「あなたはこういうの着たいと思わない?」

「おもいません」

 今のは部員のチョイスミス。しまこさんに頼んだが、素気なく即断られた。──と思ったら。

「そうかな? ねえ、似合うと思うよね?」

 と、すかさず部員はのりこちゃんに振った。この人、本当はゆみたちの正体を知ってるんじゃないかって、この時思った。

「えっ、ええ……と……だめです」

 のりこちゃんは一瞬頷きそうになったが、さちこさま、よしのさんに睨まれ、れいさまに駄目駄目というように首を振られたことでギリギリで踏み留まった。

「きせかえゴッコなんて やりたくないわ。わたくしたちを かいほうしなさい」

 ぷうっと祥子さまは河豚のようにほっぺたを膨らませて抗議する。

「これはゴッコ遊びじゃなくて、真剣なお願いなのよ。私たちを助けると思って引き受けてくれないかな? それに、あなたはこの子にこういう服を着せたいとは思わない?」

 そう言って、部員はゆみの前にロリータ全開の衣装を持ってきて合わせて見せた。

「おもうわ」

 さちこさま、陥落。

「おっ、おねえさまーっ!!」

「ゆみ。このかたたち、こまっているようだから、ちょっとだけ たすけてあげましょう」

「なに いってるんですか、おねえさま! けいりゃくに ひっかからないでください!」

「そ、そうだよ、さちこ。それに、それをOKしちゃったら、わたしたちも──」

 はっとしたようにゆみたち六人が見渡すと、肉食獣と化した手芸部の部員たちは早くも体操着に手をかけていた。

「な、なにを するのっ!? わたくしは ゆみに いしょうを きせることには どういしても、わたくしじしんが いしょうを きるとは ──あ、ああん!」

「ああん、やめてえ! かってに ぬがさないでよおっ!!」

「らめえ〜! パンツはらめえ〜!!」

「ひっぱらないで! どこ さわってるの!? へんたーい!」

「ひいぃ! わいせつこういで、うったえてやるう!」

「……」

 手芸部部員たちはあっという間にゆみたちを裸にしてしまうと、慣れた手つきで衣装を着せ始めた。もしかして、日常的にやってる?
 靴やアクセサリーなど小物にも抜かりなく、六人は完全に生きた着せ替え人形として手芸部の趣味の世界に連れていかれてしまった。

「似合う似合う」

 パチパチと手を叩いて自分たちの仕事ぶりを讃えあう手芸部部員たち。
 西ヨーロッパの民族衣装風ドレスにボンネット姿のさちこさま。
 パニエがのぞくジャンパースカートにニーオーバーソックスで甘くまとめられたゆみ。
 黒を基調としたゴスロリ衣装に縦ロールのウィッグを被せられたれいさま。
 メイド風のエプロンドレスにネコミミ付きのヘッドドレスを着けられたよしのさん。
 襟、裾、袖口にレースのついた着物を着せられたのりこちゃん。
 十字架とレースをあしらったケープとビレタが特徴的な衣装に身を包むしまこさん。

「……」

 子供姿だから、さちこさまを始め皆似合っている。しかし、元に戻った時のことを考えるとぞっとする。
 体操着はきちんと畳まれて、台の上にあるし、部員達に囲まれているし、もう、どうしたらいいのだろう。
 複雑な表情をしたゆみたち六人を恐怖のどん底に叩き落とすようなひと言が部員から発せられた。

「ねえ、記念写真撮ろうよ」

 写真撮影といえば次にここに誰が呼ばれてどうなるかわかりすぎる展開にゆみたちは戦慄する。
 だが、六人の中に一人だけ、冷静な人がいた。

「あの、すみません」

 それまで大人しかった志摩子さんが手芸部の部長に話しかけた。

「あら、どうしたの?」

「おてあらいに いきたくなって しまいました」

「あら、大変。じゃあ、誰かついていってあげて」

「でも、なれてない おようふくなので よごしてしまいそうなので もとのふくに きがえても いいでしょうか?」

 どうする? というように部員たちが相談する。

「あ、わたしも いきたいです」

「わたしも」

「いってもいいですか?」

 と六人全員でトイレに行きたいので着替えさせろと要求する。

「汚しちゃったら、新しい服に着替えさせてあげるから、そのまま行ってらっしゃい」

 六人全員で騒いだのは失敗だったか。
 監視一人を従えて、被服室を出てトイレに向かう。
 個室で用を済ませ、出てきて戻ろうとした時にしまこさんが叫んだ。

「あっ、ゴキブリ!」

「えっ!?」

 部員が叫んだ瞬間、しまこさんが黒い何かを地面すれすれに投げたのが見えた。

「うわあああっ!!」

「きゃあああっ!!」

 よしのさんが叫び、しまこさんが投げた黒い何かを部員は勝手にゴキブリと勘違いして悲鳴を上げる。後で聞いたのだが、黒い何かは薔薇の館から持ってきた消しゴムを黒く塗ったものだったらしい。
 素早くれいさまがよしのさんの手を取り、六人はダッシュで逃げた。

「あっ! 待ちなさい!」

 階段に出ると、さちこさまにしまこさんは持っていた紐の端を渡す。
 パッと両端に分れて屈むと部員が追いかけてきて、ゆみたちに飛びかかる。

「さちこさま!」「わかっていてよ!」

 二人が紐を引き、部員は派手に転んで階段を転げ落ちていった。
 非常階段に出て、一気に駆け降りた。

「しまこさん、だいかつやくだったね。きがえさせられても おちついていたし」

 とゆみが聞くと、しまこさんは涼しい顔で言った。

「ああいうの、なれてるから」

 どんな過去があったのやら……しまこさんの現在が不安になりました。

「こうとうぶは きけんすぎるわ。はやく ここを はなれましょう」

「どこへ いく つもり?」

「しょとうぶと ようちしゃの こうしゃのあたり。あのばしょなら こどもが いても ふしぜんじゃないでしょう」

「なるほど」

「でも、どうやって いきますか?」

 この場所から幼稚舎に向かうには二つのルートがあった。
 一つはリリアン女子大のキャンパス内を突っ切っていくルート。近道だが、大学部の状態によっては人目につく。
 もう一つは中等部の校舎の脇を抜けるルート。遠回りだが、人目はない。
 相談した結果……。

C.大学部のキャンパスを突っ切る(聖さま登場)
D.中等部校舎の脇を抜ける(瞳子ちゃん登場)

 さて……。

【ここまで読んでくださった皆さまへ】
 このお話はインタラクティブになっております。
 続きを読みたい人だけ下のコメントにC.D.どちらの続きが読みたいかコメントしてください。コメントが多かった方の続きだけ書きます。コメントが少なかった方の続きは忘却の彼方に消えます。
 また、C.D.のコメントが入っていないと書きようがないので続きません。
 もちろん、皆さまのコメントがないと続きません。
 締め切りはうp日の一週間後です。
 ちびっこになってしまった山百合会の面々を導くのはキミだ! ……というか、マジでコメントお願いします。m(_ _)m

【閉め切りました。コメントありがとうございました】
結果は【No:3290】へ!


一つ戻る   一つ進む