読者参加型SS『ちびっこ山百合会』シリーズ
(って、あなたが決められないだけでしょう? という突っ込みは聞かなかったことにして)
祐巳、祥子、令、由乃、志摩子、乃梨子はちびっこになってしまった【No:3275】
薔薇の館を脱出したが、手芸部にコスプレさせられ逃亡中【No:3282】
さて……
【前回の結果】
△C.大学部のキャンパスを突っ切る(聖さま登場)
△D.中等部校舎の脇を抜ける(瞳子ちゃん登場)
コメントくださった方、本当にありがとうございました。
さて、ぴったりと同数になっちゃったわけですが、今回のお話は実はこんな風になっていました。
初回 二回目 結果
A → C → ●が犯人
A → D → ◆が犯人
B → C → ★が犯人
B → D → ▲が犯人
そして、犯人が誰かを最後に皆さんに当ててもらおうと思ったのですが、こうなっては仕方がない。
★と▲のどっちが犯人になるかを皆さんに決めてもらいましょう(おいおいおいおい)
と、いうわけで、今回は。
聖 さ ま & 瞳 子 ち ゃ ん 両 方 出 し ま す (笑)
では、続きをご覧ください。
「だいがくの キャンパスを つっきろう。たしか、まだ、なつやすみだから だいじょうぶ」
「はい」
れいさまの指示でゆみたち六人は大学のキャンパスの方向に向かった。
本当に人通りは少なかった。
「どうやら、おっては こないようね」
「ゆだんしないで」
六人が音を立てないように歩いていると、茂みから急に飛び出してきた者がいた。
「うわあっ!」
「きゃあっ!」
ゆみたちも驚いたが、向こうもびっくりしていた。
「……あれ?」
のりこちゃんが思わずそう声を上げた。
見ると、飛び出してきたのは、子供で、ブカブカの高等部の制服を着ていた。足元は上履き、勝気な感じの目、きりっとした眉、髪型は耳の脇に大きな縦ロール。もしや。
「……もしかして、とうこちゃん?」
「な、なぜ そのなまえで わたしを よぶっ!?」
ゆみの呼びかけに向こうは思い切り動揺している。
「わ、わたしは とうこなんて なまえじゃないわ。とおりすがりの しょとうぶの じどうよ!」
「とうこ。もう、いいから」
のりこちゃんが、ポンポン、と、とうこちゃんの肩を叩く。
「そのせいふくで なんとなく じじょうはわかる」
「え、えらそうに! あなた……って、もしかして、のりこさん!?」
今気付いたようで、とうこちゃんはのりこちゃんの顔をしげしげと見つめて言った。
「まあ、のりこさんって こどもの ころから そのままなのね」
「とうこが いうな! ひとめで とうこって わかったよ!」
のりこちゃんは裏拳で突っ込んだ。
「ところで、なぜ コスプレを してらっしゃるの?」
「すきで きてるわけじゃないっ!」
真っ赤になってのりこちゃんが言う。
「ん?……のりこさん、いっしょに いらっしゃるのは、まさか……さちこさま!?」
親戚だけあって、小さいころの姿を知っているのか、とうこちゃんはさちこさまに気づいた。
「と、いうことは、そちらは ゆみさま、ロサ・ギガンティア、よしのさま……では、たてロールのかたは しょうきょほうで ロサ・フェティダ!?」
「『しょうきょほう』で って」
がっくりとれいさまが落ち込む。
「そりゃあ、ふだんは こんな ふざけた ヘアスタイルじゃ ないしね」
「ききずてなりません! よしのさまは、わたしの ヘアスタイルを にちじょうてきに そう にんしきして おいでだったのですかっ!?」
きー、と叫んで瞳子ちゃんは両手を振り上げる。
「ごめん ごめん」
といいながら、よしのさんの顔は笑っている。悪いよ。
「それより、とうこちゃんは どうしてここに?」
さちこさまが聞く。
「こんなすがたに なってしまったので、どうしていいのか わからず、とほうにくれて とりあえず、ひとけのない このあたりに かくれていたんです」
「なるほど」
「で、とうこは どうして こどもに なっちゃったの?」
「こころあたりが ありません」
のりこちゃんの質問にとうこちゃんはそう答えた。
「ふ〜む。それじゃあ、わたしたちと おなじ げんいんで こどもに なったのか どうかさえ わからないね」
れいさまがやれやれというように首を振った。
「で、とうこちゃんは、これから どうするつもり?」
ゆみが聞く。
「とりあえず、いえに れんらくして むかえにきてもらって かえります」
「ふーん。そう」
「では、これで」
と、とうこちゃんが制服を引きずるようにして去っていく。
(ちょっと、きになることが あるので)
と、ささやいて、のりこちゃんが後をつけるが、すぐに立ち止まった。どうしたのだろう。残りの五人も音をたてないようにして近づくと、茂みの陰にとうこちゃんがうずくまっていた。
「と──」
ぱっと、れいさまが祐巳の口を塞いでとうこちゃんを指差した。
「はあああ。それにしても、ゆみさまの こどもすがた かわいすぎて はんそくでしたわ……」
とうこちゃんは独り言を言っていた。
「とうこは だんじて ロリコンではないと おもっていたのに……
いいえ、とうこは いまだって、ちょっぴりオトナな 『おねえさまのセクシーさ』に あこがれてます。
さちこさまの『バッ・ギュ・ボン』は ロマンで、ロサ・ギガンティアの『ポユン・シュ・プリン』は のりこさんじゃなくても きけんですもの。
なのに、それを ふっとばす ちびっこ ゆみさまの エンジェルスマイル、マシュマロはだは なんという ひきょう!
ぜったいりょういきの ロマンなど とうこには いっしょう りかいふのうと おもっていたのに いっしゅん、わかりかけて あっちのせかいに いきかけましたわ。
さっきも、じょゆうとしての スキルが なければ へいじょうしんを たもった かいわが できずに とうこは ゆみさまを……
ぐふっ、はなぢが!
ああ、これも それも とうこを はんざいに はしらせる ゆみさまの かわいらしさが わるいのよっ!」
無言でのりこちゃんはとうこちゃんを取り押さえた。
「きゃああっ!! のののののののりこさん!? いったい、なぜこんな ところに?」
「なにも なぜも、ずっと きいちゃってたよ」
「ど、どのあたりから?」
「『ゆみさま、かわいすぎ』って いいながら しゃがんだ あたりから」
「って、ほとんど さいしょからじゃないのよっ!?」
「きになることが あって あとを つけたら、まさか、こんなことに なっていようとは……」
「きになること って なによっ?」
「とうこ、リボンは どうしたの?」
「え?」
とうこちゃんの頭にはリボンは付いていなかった。
「けさ、つけてたよね。ブルーのリボン」
「……きのせい ではなくって?」
「きのせい じゃなくって、こういうの」
と、のりこちゃんがとりだしたのは、しまこさんが薔薇の館から出る時にタオルをしばったブルーのリボンだった。
「そ、それは! ……なんですの?」
「とうこ、しょうじきに いって。ほんとうは、きょう、ばらのやかたに きたんでしょう?」
のりこちゃんが問い詰める。
「わ、わたしは なにもしてません!」
「ねえ、なにかを かばったり かくしたりしてない?」
「な、なんのことだか……」
「ふーん、じゃあ、こういうのは?」
と、ゆみはとうこちゃんを思い切りくすぐった。
「あっ! なにをっ! ……あン! そ、そこはあっ! クッ! クッ! クッ! や、やめ……」
すぐにのりこちゃん、よしのさんも加勢する。
とうこちゃんは真っ赤になって体を震わせ、涙を流しながら懇願してきた。
「ひいっ!! いいます! いいますから、やめてくださいっ!」
乱れてしまったダボダボな制服を直しながら、とうこちゃんは言った。
「ひるやすみ、たしかに わたしは ばらのやかたに いきました」
「なんのために?」
「そ、それは……」
とうこちゃんは口をつぐんでしまった。
「そこはいいや。で、ばらのやかたで、なにが あったの?」
とにかく何か喋ってもらおうと、ゆみは聞いた。
「ばらのやかたに つくと ロサ・フェティダに おあいしました」
「れいちゃん?」
意外だったのか、よしのさんが聞き返す。
「はい。ロサ・フェティダは いっかいの へやで 『ボルサン』を セットしていらっしゃいました」
「『ボルサン』?」
「ゴキブリ たいじの くすりのことです、おねえさま」
どうやら小笠原家はゴキブリと無縁らしく、お姉さまは『ボルサン』とは何かから聞いてきた。
「うん。ていきてきに『ボルサン』つかわないと たいへんなことに なっちゃうでしょう?」
れいさまが補足する。
ふーん、れいさまが『ボルサン』で薔薇の館を奴らから守っていたのか。知らなかった。
「それで?」
「くんえんざいを つかうから そとにでて っていわれて、そのまま。ひるやすみが おわったので、もういちど ばらのやかたに いって、こんどは だれもいなかったので まっていましたが、きゅうに からだが ちいさくなっちゃって。あとは さきほど はなした とおりです」
そのとき、一人の大学生が通りかかった。
誰あろう。佐藤聖さまだった。
「ん?」
聖さまはこっちに気付いて、とうこちゃんを取り押さえた。
「初等部のおチビちゃんがこんなところで妙な格好して何の真似かな?」
「きゃああっ!! ああああなたは せんだい ロサ・ギガンティア!?」
「おや、よく知ってるね。さすが高等部の制服を着ているだけはあるね。お姉さんでもいるのかな?」
「は、はなしてください!」
マズイ、こちらにまで飛び火したら厄介なことになる。
こういうシチュエーション、目茶苦茶食いつきそうなお方だものなあ、とゆみたちはそっと離れようとした。
「ほーれ、照れずに正直にこのお姉さまに言ってみ。悪いようにしないよ」
「あっ、どこを さわって……(そうだ!) ゆみさま! とうこが ここを ひきうけますので、いまの うちに おにげくださいっ!」
げっ、なんて事をっ! とうこちゃんは逃げられないと悟るとゆみたちを巻き込む道を選んだのだ。
「祐巳ちゃん?」
「にげろっ!」
逃げようとした時、正面に人がいた。
聖さまのお友達の加東景さんだった。
「あら、かわいい!」
そう言うと、景さんはいきなりしまこさんに抱きついた。
「西洋人形さんみたい」
景さんはうっとりした表情でしまこさんを眺める。
「志摩子? えっ? じゃあ、まさか……」
聖さまはゆみたちの正体に気付いたらしい。
「かわいいわ。こういう妹ほしかったのよ」
景さんはしまこさんを堪能してそう言った。聖さまは一瞬ムッとした表情になると、のりこちゃんを捕まえた。
「こっちだって! 日本人形みたいで、可愛い! 可愛い!」
アピールするぐらいの勢いで聖さまがのりこちゃんを抱え、愛撫するかのように可愛がる。
「よかったわね」
景さんには全く効いていなかった!
「そりゃ、私の志摩子だもの」
聖さまのつぶやきは一同に聞こえてしまったが、景さんにはスルーされた。
「乃梨子ちゃん! 君は悔しくないのか? ほらっ、君のお姉さまにあんな仕打ちが許されるのか?」
焚きつけるように聖さまが言う。
「そのまえに わたしに だきついたうえ みみのなかにまで ゆびを つっこむ せいさまの しょぎょうのほうが ゆるされるのかが ぎもんです」
クールにのりこちゃんは突っ込んだ。
「あ、いや。その辺はスルーで」
「わたしは おねえさまを だこうと おもえば いつでも だけますから」
のりこちゃん、その誤解してくださいといわんばかりの発言はわざとかな? とゆみは心の中で突っ込んだ。
「のっ、乃梨子ちゃん!?」
聖さまが動揺する。
「せいさまって、じつは しまこさんを いじられることに なれてないんですね」
「そりゃ、そうよ。しまこは せいさまと スールに なる、ならない って びみょうな じょうたいだったから、おねえさまも えりこさまも いじれなかったのよ」
「ああ、それで。さちこが ちょっと こえを かけただけで きょうしつに どなりこんで きたって わけだ」
「そりゃ、すごい」
「めんえきって だいじですね」
「さらに わたくしが いもうとを もったら その いしゅがえし とばかりに わたくしの いもうとに だきつくのだから たちが わるいわ」
「そういえば、えりこさまも いってました。ようちえんじの ころのことを こうとうぶ そつぎょうまぢかまで ひっぱりつづけてた って」
「そこっ! 変な話で盛り上がるなっ!!」
聖さまが突っ込みを入れる。
「……で、なんでみんな子供になっちゃったわけ?」
聞かれて、皆でこれまでの経緯を聖さまに説明した。
「ふーん。それで、原因は?」
「いえ、それは……」
「あれ? 調べなかったの? ふつう、それだけの異変が起きたら調べるでしょう。薔薇の館」
確かに。
「そういえば、どうして ばらのやかたを でることに なったんでしたっけ?」
「たしか、さちこさまが でようって……」
「そういえば、きょうに かぎって ロサ・キネンシスが おちゃを いれてくださいましたよね」
「しつれいなこと、いわないでちょうだい! わたくしを はんにんあつかいするき? わたくしは、みんなに おいしい おちゃを のんで もらおうと──」
「だから、さちこさまの けんは ぐうぜんで、つたこさんや しんぶんぶが きになるんだよね」
よしのさんが再び自説を主唱する。
ここまでくるともう、誰が犯人なのかさっぱりわからない。
「はは〜ん。わかった」
しかし、聖さまは何がわかったのかそう言った。
聖さまは……
E.『ボルサン』に子供になる薬を仕込んであったんだ。
F.お茶のカップに子供になる薬を塗ってあったんだ。
さて……
【ここまで読んでくださった皆さまへ】
このお話は読者参加型になっております。
続きを読みたい人だけ下のコメントにE.F.どちらの続きが読みたいかコメントしてください。コメントが多かった方の続きだけ書きます。コメントが少なかった方の続きは「ゴミ箱にでもお行き!」となります。
また、E.F.のコメントが入っていないと書きようがないので続きません。
もちろん、皆さまのコメントがないと続きません。
締め切りはうp日の一週間後です。
次回はシリーズの最終回です。
同数だったら、二人とも犯人にしてやるう(笑)
【閉め切りました。コメントありがとうございました】
結果は【No:3297】へ!