ごきげんよう、お姉さま方
×××
ここは薔薇の館。今、夏真っ盛りである。
山百合会のメンバーは気分転換に納涼と称して怪談話をする事にしたらしい。
「あ〜つ〜い〜」
「由乃さん、余計暑くなるから暑いって言わないで」
「だって暑いものは暑いんだもん、しょうがないじゃない」
ここで菜々が提案する
「怪談話でもして涼むと言うのは如何でしょう?」
すかさず由乃が
「乗った!流石は私の菜々ね!」
「え〜、止めようよ〜由乃さん」
「そうですわ、そんな子供じみたこと、瞳子出来ませんわ」
と、紅薔薇姉妹
そこへ由乃が
「さては怖いのね?2人共?怖いんでしょう」
と挑発すると
「そ、そそそそそんなことないよ?ね、ねぇ、と、ととと瞳子」
「え、ええええ、ええ、そ、そそそんなことありませんわ、お姉さま」
と、道路工事中の2人
「白薔薇姉妹はそんなことなさそうね」
「ん〜そうね、余り抵抗は無いかしら。乃梨子は?」
「私も仏像を見に寺を回っているせいか、特に抵抗はありませんね」
「よし、多数決で決まり!そうと決まれば菜々、早速カーテンを閉めてローソクの準備よ!皆も手伝って」
と、あれよあれよと準備は進んでいく。そして…
「ではトップバッターは私、由乃から。次は菜々、祐巳さん、瞳子ちゃん、乃梨子ちゃん、そしてトリは志摩子さんの順にいくわ。え〜コホン、これは令ちゃんから聞いた話何だけど……」
手を取り合って震える紅薔薇姉妹…だが無情にも怪談話は続く。
紅薔薇姉妹の話は皆、知っている話だったが、予定通りに乃梨子、志摩子へと話は続く…
菜々の話の時だったが、「失礼しま〜す」と誰かが入って来たが、皆、話に夢中らしく誰一人『彼女』に気付く者は居なかった。そして『彼女』は無視された事に腹を立てず、面白そうだったのでそのまま参加する事にした。
志摩子の話は寺の娘らしく、皆を恐怖のどん底に叩き落とした。『彼女』を除いて…紅薔薇姉妹も黄薔薇姉妹も抱き合って泣き出していた
そして…最後のローソクを…志摩子がそっと吹き消し…
「これで終わりね?」
と志摩子が言った時、それは起こった…
『彼女』は、あくまで雰囲気作りのためだったのだが…低い声でこう呟いた…
『次は私の番ね…』
薔薇の館は……その日から閉鎖されることとなった
「私、そんなに存在感ないかな?」
1人呟く桂と何かがそれを見て不気味に笑っていた…