【3342】 ウサギガンティア仰天ため息が深かった  (くま一号 2010-10-26 21:00:41)


  がちゃがちゃ。それは時に、人の運命さえも狂わせる。……何を言っているかわからないだろうが、私も何が起こったかわからなかった。
ウサギガンティア一発ツモ。
こうなってはしかたがないので【No:3338】【No:3340】からさらに勝手につなげてみた。

 †  †  †


 そういうわけで、薔薇の館の一階、扉の内側で待ち受ける謎のコスプレチームがパーティを組んだ。

 チャイナ服の祥子さま、くの一の令さま、なんちゃって武士の由乃さま、着ぐるみ狸の祐巳さま。そして。

 バニーガールの志摩子さん! 美しい! 妖艶! エロい! 奇跡がいまここに、うぷぷ、うごっ。

 志摩子さんを巫女にしなかった私ぐっじょぶ。

祥子さま、志摩子さんと「その他」で、この衣装の差はなんだ、というかbqexさまのところの胸囲の格差社会が見えるような気もするけれど。弥生さまのドラ○エ風味も消えたような気がするけど、気にしないんだ。志摩子さんのバニーガールの前では理屈もひっこむ。ぐっじょぶ。

「乃梨子ちゃん、鼻血は最小限におさえてね。はい、ティッシュ」 と由乃さま。

「うん、巫女服が山梨の祝部神社の借り物なんだよ。血のシミをつけちゃうとちょっとまずいかなあ」
タヌキネンシスのつぼみ、チャイナ服の祥子さまを前にしてずいぶん冷静ですね。。
「あははは、前が見えないよー」
はあ、そうですか。

「乃梨子……やっぱり私が巫女服の方がよかったかしら?」
「い、いいえ!! そんなことはありません!! ぜっったいにお姉さまはバニーの方がいいですっ! ふごっ」
「そう? そうねえ、この露出の多い服を乃梨子に着せるのはかわいそうだけど、ちょっときわどいわねえ」

 くぅーっ。この恥ずかしげな志摩子さん、いいっ!


 この天の恵みのような、いや棚からぼた餅のような、いやあの、こういうことになったのには、とっても浅いわけがある。
 この前の茶話会で、妹候補をひとりも見つけられずに爆死したダメブゥトン二人。ハロウィンといえば、もう十月末ですよ。もう一度チャンスを作るんだか追い詰めるんだかわかんないけど、放課後にみんな仮装して薔薇の館へいらっしゃい、というイベントなのです。
 茶話会で、つぼみへのあこがれだけじゃ妹にはなれないってわかったので、今度は一般生徒をみんな薔薇の館へ呼んで網ですくって一網打尽、という作戦。
 祐巳さまと由乃さまは例によって抵抗してたけど、『薔薇の館の敷居を低くするには継続が大事なの』と言われれば祐巳さまは寝返るしかなくて、由乃さまはあっさりあきらめました。
 そのおかげで、バニー志摩子さんが見られたんだからいいんだけど、肝心のブゥトン二人の仮装がちょっとアレじゃないか?

「祐巳、せっかくの衣装が見えてないですって? ちょっとこっちへいらっしゃい」
「はい、お姉さま」よろよろよろ。
「えーと、目はどこにあるのかしら、パンダの時みたいに突然巨大化したりしないでしょうね」
 ぐりぐりぐり、ずぼっ。
「あ、見えました。わーーーー」
「ど、どうしたの、祐巳」
「なんでもありません、なんでもありませんけど、由乃さーん、さっきのティッシュは〜?」

「ゆーみ、ほーら」
 片足を椅子に乗せたりすると、チャイナ服のスリットがですね、紅薔薇さま。
「きゃあーーー」

 この紅薔薇さまノリノリなのですわ。
「し、志摩子さんもやって。あれやって」
「え、こ、これでいいかしら?」
「う゛わふーー」
 幸せです。鼻血を吹きそうな瞬間に、由乃さまにばふっとかぶせられたのが雑巾だったような気がするけど、そんなこと気にならないくらい幸せです。


「おのれ、忍びの者を使うとは卑怯なり支倉令之進。正義は必ず勝つ!」
「武士とは思えぬ油断が命取り。行くぞ、島津由乃介」
 なにやってんですか、この黄色。

「祐巳。あなたもとってもかわいいわ」
「お、お姉さま、ありがとうございます」

 まて。祐巳さま、顔も見えてないんですけど。
たとえ包帯でぐるぐる巻きのミイラみたいになっていても、きっと、み〜つ〜け〜ら〜れる〜♪ なんて、祥子さま、あなただけです。

「さあ、みんな準備はできたわね。扉を開けますわよ」
祥子さまがようやく起動した。


 †  †  †


 薔薇の館の前、中庭には、思い思いの仮装をした生徒達が集まっていた。
扉が開いたとたん、うわーっ、という歓声が上がった。それはそうだろう、祥子さまや志摩子さんがこんな衣装を着るとは思わないって。
 おまえら、あんまり私の志摩子さんを見るな。減る。

 目の前に仮装集団がいるんだけど、うわー、カボチャとか骸骨とかは定番として、ドラキュラとか天使とかいるし。さっき見たホイミスライムとかキラーマシンとか、近くで見てもどうやってるんだかわからないよ。

あの魔法少女かわいいな。あっちの猫耳しっぽの子もかわいいなあ。あ、バニーガールがいるけど、勝ったな。あっちのエルフはスタイルいいなあ。ぐふぐふふ。
「乃梨子」
「はひ?」
「声に出てるわよ。ふふふ」
「わ、あ、あの志摩子さんが一番だから」

 ここで、タヌキネンシス アン ブゥトンから、開会宣言。
「今日は、みなさんお集まりいただいてありがとうございます。ハロウィン記念、仮装お茶会を開催します」
 わーっと拍手。
「まず、グループごとに薔薇の館入り口まで来て、お菓子を受け取ってください。あとで仮装人気投票もありますので、よく見ていてくださいね」


「さあ、近くの方からいらっしゃい」紅薔薇さまが声をかけた。

 ここで、コミケの入場みたいに、わっと人が押しかけないところがリリアンのいいところ。一番近くにいた一年生らしいハリーポッターと仲間達が祥子さまの前にやってきた。『トリック オア トリート! お菓子をくれないと、い、いたずらさせてください』
「いたずらさせてくださいって、そんなに硬くならなくても大丈夫よ」
 ……チャイナ服絶好調の祥子さま相手にそんなこと言われても、一年生には無理だと思います。

 薔薇の館のメンバーが答える。
「ハッピーハロウィン!」
令さまと由乃さんが、用意してあったクッキーを渡す。

 みんなで作ったクッキーを、配る。中庭では、お菓子同好会のメンバーが、お茶やお菓子を準備していた。
薔薇の館の2階ではとても人数が入れないので、中庭で仮装お茶会をしましょう、というのが今日の企画。

『トリック オア トリート!』
 ふえ? ぱんつじゃないから恥ずかしくない戦隊かよ? 紅薔薇さまが一瞬震えて柳眉を逆立てそうになったけれど……。

「はい、クッキーをどうぞ」
 志摩子さんが、ささっと祥子さまの前へ出てお菓子を渡した。そーですよ、このバニーガールの衣装をむりやり着せたのは誰あろう紅薔薇さまですから。


……無駄に長くなってきたので、一度休憩。
ごめんなさい。


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