興味を持っていただきありがとうございます。
注意点として書きます。
一部、自分で設定を作りました。ご容赦下さい。
これで、この連載物は完です。
【No:3532】【No:3533】【No:3535】【No:3536】【これでラスト】
〜続き〜
大学敷地内に入る手前で、私は志摩子さん達と別れた。
これも江利子様の指示らしい。
カフェテラスには人が全く居ないため、遠くからでも直ぐに見つけることが出来た。
江利子様の手前で、私に背を向けて座っているのが菜々か。
それにしても、菜々のためにっていうのが良く分からない。
普通に考えたら、菜々が江利子様に苛められている…?
でも、そんな現場に私を招いたらどうなるか分からない江利子様ではないだろう。
それとも‥私に菜々に加勢してあげなさいって事かしら。
だけど、そうなる理由がないか。
いや…菜々のためにっていうのは嘘で、2人して私をからかおうとしているのだろうか。
嫌な可能性だけど、そっちの方が現実的か。
「ごきげんよう、江利子様」
「はい、ごきげんよう。由乃ちゃん」
「菜々ちゃん、由乃ちゃんが来たから私はもう行くわ」
「あっ、はい」
「えっ‥ちょっと‥」
「じゃあ、由乃ちゃん菜々ちゃん、ごきげんよう」
そう言って江利子様はそそくさと帰ってしまった。
「あっ、ちょっと〜!!…菜々、もう抱きついてなくていいわよ。追いかけるのは止めとくから」
「すいません。…江利子様は悪くありません。悪いのは‥私です!!」
「ごめん、菜々。江利子様が悪いかどうかとか、事情が分からないから何とも言えないんだけど、苛められてた?」
「いえ、そんな事は‥」
「じゃあ、江利子様は何してたの?」
「お姉さま!!」
「何?急に。大きな声で。びっくりするじゃないの」
「リリアンかわら板の件ですが‥」
「あっ!忘れてた。菜々〜、あのタイトルはどういう事かしら?」
「ごめんなさい」
私は拍子抜けしてしまった。
だって、こんなに素直に謝られるなんて初めてだった。
「ど、どうしたのよ。本当に」
「…江利子様が仰いました。私がお姉さまに甘えていると」
「‥そう、江利子様がそんな事を」
「はい。私‥お姉さま…」
「菜々、そんな顔しないで。私も甘えてたのよ、きっと。いつか言えばいいやとか、菜々は賢い子だから自発的に分かってくれるとか、どこかでそんな風に考えてた。
それにね、菜々と一緒に居ることが楽しすぎて、私‥姉だって事を忘れてたわ。」
「……」
「祐巳さんから前に聞いたの。姉は包み込むもの、妹は支えってね。
私にとって、菜々が傍に居てくれる事が支え。でも、包み込めてるかって言うと全然ダメだったわね。
包み込むどころか、菜々だけじゃなく皆に甘えて包んでもらってたんだ」
「お姉さま‥」
「だから、菜々はこのままでいいの。変わらなきゃいけないのは私。
これからは、菜々がとんでもない事やったって、私がビシバシ教育していくんだから!!」
「あの‥何を想定されているかは分かりませんが、いくら私でも、とんでもない事はやらないですよ?」
「何よ、例えよ。たーとーえー。」
「・・ぷっ。分かりました。私、どんどん暴れます!!」
「ちょっ、待ちなさい!!私、そんな事まで言ってないわよ!!」
「暴れて暴れて、それで、それで、お姉さまから、い〜っぱい怒られます!!」
「‥ふふっ。そうね。覚悟しなさいよ?」
「はい!!」
癪だけど‥今度、江利子様に令ちゃんを貸してあげよう。
加筆。
由乃と別れた後の志摩子たち。
私たちが由乃さん達を待っていると、懐かしい声が聞こえた。
「皆の衆、ちゅうも〜く!!」
「ぎゃう!!」
私たちが振り向くと、ギリシア彫刻‥もとい、聖様が居た。
聖様は、何か楽しそうだ。
ちなみに、油断していた私は久しぶりに怪獣の子どもになっていた。
「せ、聖様!!」
「は〜い、皆さんごきげんよう。相変わらず、祐巳ちゃんの抱き心地は良いね〜。志摩子もどう?」
「ごきげんよう、お姉さま。私は、大丈夫です」
「そう?ノリリン、目が怖いよ?スマイル、スマ〜イル」
「ごきげんよう、聖様」
「ああ、ドリルちゃん。祐巳ちゃんとは上手くいってる?何なら色々手伝おうか?」
「あの、色々とは‥?」
「聞いちゃうの?そ・れ・は・ね、「スト〜ップ!!聖様、ご用件をお聞きします」
瞳子が何を想像して聞いたのか分からないけど、何だか残念そうだ。
「ああ、そうそう。江利子の目的知りたいでしょ?代表して・・祐巳ちゃん!!何でも聞いてちょうだいな。
祐巳ちゃんは、特に色々聞きたいでしょ?」
「はい、その通りですが‥あれ、聖様何で…もしかして!!」
「その顔だと、だいたい分かってくれたみたいね。じゃあ、本題。江利子の目的はね、単なる“お節介”よ」
「お節介?‥ですか」
「何よ〜、祐巳ちゃん。言いだしっぺは、祐巳ちゃんなのよ」
「へっ?」
「先日会ったとき、由乃ちゃんの苦戦模様を教えてくれたじゃないの」
「そう‥でしたね。ですが、それだけでは江利子様の“お節介に”直接繋がりませんよね?」
「おっ、祐巳ちゃん、お利口さんになったね〜」
「聖様。私、どんな扱いなんですか〜」
「ごめん、ごめん。言いだしっぺは、祐巳ちゃんで、けしかけたのは私って事。ああ、ちなみに、祐巳ちゃんに黙っていたのは私の案よ。」
「そんな〜、益々酷いじゃないですか〜」
「ごめん、ごめん。この通り」
「・・・ふぅ。分かりました。でも、よく江利子様が動かれましたね。」
「でしょう?けしかけたとは言ったけど、私は単に、祐巳ちゃんから聞いた事をそのまんま喋って、
“お節介”でもしてみれば蓉子の気持ちが分かるかもよ?と言っただけなの。ああ、あと、お節介も案外面白いかもよ?とも言ったっけ」
「そうだったんですか」
「そう、そういった事があったのですよ」
「でも、それだけで江利子様は動かないですよね?」
「そうね、本当の理由は祐巳ちゃん達が思っている通りだと思うわ」
「という事で、皆でニヤニヤして江利子たちを迎えてあげましょ」
「はい!!」
由乃さん、菜々ちゃん良かったね。
でも、どうしよう。ニヤニヤが止まらないや。