【No:3574】の翌日。
乃梨子が薔薇の館に向かっていると謎の人物が現れた。
制服と同じ緑がかった黒の着流しに雪駄、木刀を腰に差し、頭部には時代劇でたまに見る頭巾を被っているが、三つ編みのおさげがはみ出ていた。
「あの」
先方は先回りして答えた。
「私は知り合いではない! 呼び名に困るのであれば『美少女剣士由乃』とでも呼んでもらおう!」
「背格好と三つ編みでわかってましたけど『やっぱり』じゃないですか。顔隠してるのに名乗っちゃったらバレバレですよ。どうせ名乗るのであれば顔出ししてください。それとご自分で美少女っていうのは恥ずかしさに追い討ちかけてませんか。そもそもその装束はどうやって手に入れたんです? もう突っ込み所過積載にも程があります」
「やかましい! 魔法少女志摩子に討ち果たされた菜々の無念を知りなさい!」
「いくら志摩子さんがお寺の娘だからって『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』理論で意趣返しするのは――あああああっ!!」
数日後のリリアンかわら版。
『白薔薇のつぼみ二条乃梨子さんが大怪我で入院した。第一発見者で黄薔薇さまの島津由乃さんは「菜々に続き犠牲者がでてしまった。犯人と思われる魔法少女志摩子は必ず成敗する」とコメントしている。』
翌日【No:3577】