割り箸、よし。
ビニール袋、よし。
午前の授業終了を告げるチャイムが鳴る。
「志摩子さんお弁「ごめんなさい失礼するわ」」
桂さんへの返事をしながら教室を飛び出し、講堂裏のいつもの場所へ直行する。
乃梨子はもうきているのかしら。
「!!」
こ、これは一体!?
ハロウィンでお馴染みのジャック・オ・ランタンが辺り一面占拠しているなんて!
これは悪夢よ。
そうよ、そうに決まっているわ!
私の神聖な銀杏フィールドを荒らすクリーチャーなんて認めないわ。
目を閉じて。1、2、3。目を開いたらジャック・オ・ランタンが……消えてないわ!
これはリリアン女学園高等部に対する挑戦状?
それとも新手の呪いの儀式?
山百合会としても放置できないわ。
乃梨子に相談して火急的速やかに迎撃しなくては。
「あ、白薔薇さま」
振り向くと菜々ちゃんが近づいてきた。
「ごきげんよう」
「驚かれましたか? もうすぐハロウィンなので張り切って飾ってみたんです」
ドヤ顔の菜々ちゃん。
数日後のリリアンかわら版。
『黄薔薇のつぼみ有馬菜々さんが大怪我で入院した。第一発見者で白薔薇さまの藤堂志摩子さんは「駆けつけた時は怪我をしていた。一日も早い回復を祈っている」とコメントしている。』
そして翌日【No:3575】