【358】 封印指定ブギーポップ  (joker 2005-08-12 22:24:09)


 蒼い空、白い雲、降り注ぐのは太陽の光。
 喉かなとある日の昼休みの薔薇の館。
 祐巳と志摩子がのんびりと食後のお茶を楽しんでいた。
 ふと、志摩子がカップを置きながら、窓の外へ目を向ける。つられて祐巳も窓の外に目を向ける。
「ねえ、祐巳さん」
「何?志摩子さん」
「空は何で青いのかしら?」
 ほのぼのした感じの志摩子さんが祐巳に問いかける。
「確か、オゾンの色か何かだったと思うよ?」
 雰囲気ぶち壊しである。
 しかしそこは志摩子。全く気にせず、「そうなのね」と言って再びカップのハーブティーに口をつける。

 そして再び、志摩子がカップを置きながら、遥か空の彼方を見つめる。祐巳もつられて空に目を向ける。
「ねえ、祐巳さん」
「何?志摩子さん」
「アクシズって何かしら?」
 志摩子の一言に祐巳が一瞬で氷つく。
「し、志摩子さん?今なんて……?」
 祐巳が必死に震えを抑えながら声を何とか絞りだす。
「頭の中にいきなり浮かんだ言葉だったのだけれど、何かいけなかったかしら?」
 震える祐巳に首を傾げながら言う。
「字はね、中央って書いてアクシズって読むのだけ――「志摩子さん!」」
 いきなりの祐巳の叫び声に、びっくりして祐巳を見る。祐巳はと言うと、何やら耳を澄ませて周りを探っている。
「……ふう、良かった。マイスタージンガーは聞こえてこないわね。」
 祐巳は安堵のため息をつくと同時にドット脱力する。
「あの、祐巳さん?」
 そんな祐巳に恐る々と志摩子が問いかける。しかし、祐巳はその問掛けを無視して、志摩子の肩をがっちりと掴む。
「いい、志摩子さん。今言った事は直ぐに忘れるのよ。いいね?」「え、ええ。分かったわ」
 祐巳の表情には危機迫る物があった。




「………世界の…敵…?」
「乃梨子さん?」
 昼休み、教室で一緒に昼食を取っていた親友の異変に瞳子は少し戸惑った。
「……気配が消えた…?」
「あ、あの、乃梨子さん?」
 遠くを見つめながら独り言をいう乃梨子の表情はいつもより無表情で中性的な感じがする。さすがの瞳子も戸惑いを隠せない。
「ちょっと、乃梨子さんってば!」
「……ん?ああ、何?」
 必死の瞳子の問掛けに乃梨子は我に帰る。
「何?じゃ、ありませんわ!一体どうなさったのですか?」
「どうって、ただ、ぼーっとしてただけだよ。」
 さっきと違い明るい表情の乃梨子に、瞳子はさっきの見間違いだろうと思うことにした。


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