【3591】 独走態勢にクオリティ高かった我奇襲ニ成功セリ  (HORUS 2011-11-18 23:36:41)


タイトル:【プロメテウスの火】

ギリシャ神話の神“プロメテウス”は、自然の前に無力な“人間”のために“火”を与えることを、“ゼウス”へ申し出た。
“ゼウス”は言った。「“人間”に“火”を与えることは、いづれこのオリュンポスの脅威となる」と。
だが、“プロメテウス”は“ゼウス”に背き、あえて“ヘパイストス”の作業炉の中より“火”を取り出し“人間”に“火”を与えた。
それは、“ゼウス”の怒りに触れ、捕らえられた“プロメテウス”は、カウカソス山の山頂に張り付けにされた。
不死身の“プロメテウス”は、生きたまま毎日肝臓をハゲタカについばまれる責め苦を強いられることになった。
しかし、“プロメテウス”の“火”は、“松明で夜を照らすこと”を、“食べ物を調理して温かくすること”を、
“鉄を鋳て造った鍬で農地を耕すこと”を“人間”へもたらした。
“火”は“力”だ。“火”は“文明”だ。“火”は“人間”だ。
現代の今日でさえ、“プロメテウス”のもたらした“火”は、“人間”に“英知”を与え続け、“人間”の“進歩”は止まることはない。


祥子はゆっくりと車を人の歩くスピードまで落とした。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「ハ、ハンバーガーを一つ。……あ、あとポテトの、ポテトのMも一つ頂けるかしら!!」
「ご注文を繰り返します。ハンバーガーお1つとポテトのMがお1つですね」
「ええ……」
「それでは、車を進めて代金のお支払いをお願いします」
「よ、よくってよ……。ふうーっ……」
祥子は深呼吸をして、車を前へ進めた。
そのとき、突然祥子の顔色が真っ青になった。
「しまった! 私としたことが! ハンバーガーショップって“セルフサービス”ではなくって!」
祥子は車のドアを開け、店内へと急いだ。
「おい、何で前の車がこんなところで詰まってるんだ!!」
「ドライバーはどこへ行った!!」
ハンバーガーショップの外では苛立ちのクラクションが鳴り響いた。


「――というわけで、祐巳。私すっかり“ドライブスルー”を制覇したのよ」
「すごいです、お姉さま。今日の帰り、お姉さまと“ドライブスルー”に行きたいです!」
「まあ、祐巳ったら。食いしん坊さんね。うふふ」
「えへへへへ」

仲睦まじく微笑み合う祥子と祐巳の姿をシラケた目で見ていた“ドリル”が一人……。


一つ戻る   一つ進む