【No:3606】の続き
事態の収拾を図り令は江利子にきてもらった。
「お運びいただいてありがとうございますお姉さま」
「いいのよ。一度宇宙人と会話してみたいと思ってたから」
和ませるためなのか本気なのかわからない。
「あら、金ダライが六つも。これ以上増やさないようにしなくてはね」
部屋の隅に積まれた金ダライを見つけ江利子は目と額を輝かせた。
待っていると窓の外がオレンジに光ってUFOが現れドアを家の壁に当てる。
「今日もかよ馬鹿野郎!」
「すいません!」
「お約束はいいから!」
ツッコミが終わるのを待ちヤマダ登場。
「ごきげんよう。おやこちらは?」
「初めまして、鳥居江利子です」
「こちらこそ初めまして。私、秘密偵察船船長のヤマダです」
「秘密偵察なのに堂々と名乗っていいものなの?」
「こいつはうっかりだ」
今日のヤマダの感触はよさそうだ。
「笑いを取る前に質問してよろしいかしら?」
「答えられる範囲であれば」
「あの金ダライ見たところアルマイト製よね。コントではトタン製の方がポピュラーなのにどうしてあれを選んだの?」
「お姉さま、なぜ金ダライ事情に詳しいんです?」
「そういうものだったのですか。てっきりアルマイトだと思ったのでAmazonで購入したのですが、勉強になりました」
「Amazonはどうやって届けてるの?」
令の疑問に答える者はいない。
「しかしそれはそれ、これはこれ。笑いを取らなければ武力行使は変わりませんよ」
「あ、ごめん。ネタ忘れた」
「お姉さまーっ!」
泣きながらツッコむ令。
「いや、来年辰年だから年賀状に何描こうか考えてたら再来年が巳年で祐巳ちゃんなら一年前は祥子だからチャイナ服姿で、更に一年前は蓉子で卯年だからバニーガールちょっとボンデージとかは考えたんだけど」
「それ、全然関係ないですよね、お姉さま!」
「『ボンデージがないならプラグスーツを着ればいいじゃない』って言うじゃない」
「誰も言いませんよ。【No:3607】とか拾わなくていいですから!」
「今日は自力で落とせそうもないからヤマダさん、お願いします」
ドカッ!!×2
「……また明日きます」
痛恨の人選ミスに令は涙した。
【No:3610】へ続く