【3607】 萌え要素テンコ盛り骨は拾ってくださいお礼参り  (くま一号 2011-12-24 10:41:20)


「祐巳でーす!」
「瞳子でーす!」

「コスチュームは華麗に黒のレオタード!」
「テーマソングは杏里! 決してTMネットワークじゃありませんのよ」

「中身は全部メタとネタ」
「時事ネタ内輪ウケも容赦なく使う」
「読者放置で投稿者仲間をいぢる」
「盗むものはカタチも重さもないものばかり」
「それはあなたのココロです」

『怪盗紅薔薇 ただいま参上!!』
「しゃきーん」

『ごっきげんよ−−』


「決まりましたね、お姉さま」
「決まったわね、瞳子」
「でも、ずいぶん説明的なセリフでしたけれど?」
「うん。だれかに招喚されたんじゃなくてほんとに怪盗紅薔薇で登場するのって、実は三年ぶりか四年ぶり」
「本人にもわからないのです」
「そこで、ちょっと自己紹介などをしてみたのよ」

「なんか言い訳めいた解説でしたわね。今回は、そんなにも先に謝っておかなければいけないようなネタをやらかす、という事なのですわね、わねわねわね? お姉さま?」
「……それを言ってしまっては元も子もないのに……」
「いっそのこと、一番言いにくいことから先に言ってしまいませ」
「えーーー。しょうがないなあ。 つまりぃ、短編祭参加作品の【No:3554】が、あとづけで参加資格を失ってしまうのよ、という告知なの」
「『短編』なのですから、当然、単独の投稿でなければいけませんのに」
「続きのネタが降臨してしまったの」
「ということで、近々続きを投下してしまいまーーす。瞳子のせいじゃありませんからね。お姉さまがすべていけないのですわ」

「えーーー。わたしのせいなの? ねえ瞳子、わたしのせい?」
「当然です! 『降誕祭の奇跡』のお話なんですよ? いくら当時ネタも何もなかったとはいえ、鹿取先生パートがあって三田・黒須パートなしに済むはずがないじゃありませんか。わ・か・り・き・っ・て・い・ま・し・た・よ・ね? お姉さま?」
「うっく」
「そういうわけで、いまさらながら短編祭参加は取り下げです」
「でも、一度、参加ということで出してしまいましたので、祭り参加のタグは残させていただいてあとから続きを書いたことを注釈として入れておきたいのですが、お許しいただけますでしょうか」

「主催のbqexさま、投稿者読者のみなさま」
『ごめんなさい』


「と、いうような事情を踏まえましてっ」
「次回は『パラエティギフト』緒雪さまあとがきの『読者への挑戦』に挑戦!」
「時空管理局テラ19〜21世紀担当兼べえすぼぉる普及協会会長、三田今日子さまのタイムパラドックス破りアリバイ崩し!」
「題して『わたくしの妹《プティ・スール》がこんなに可愛いわけがありませんわ♪』」
「略して『わたぷてぃ♪』」
『乞う、ご期待!』


 †  †  †


「終わったー」
「ああ、なんかものすごく仕事しましたねー、お姉さま」
「また今回もなんにも盗んでないけどね」
「今日はこれだけのために出てきたんですから、いいじゃありませんか」
「うーん、でもこの季節にレオタード姿で外へ出るのはバカよ? はい、瞳子のコート」
「あ、お姉さまありがとうございます♪ でも、そういう設定ですから。元祖怪盗三姉妹も季節関係なくレオタードですから」
「そうだよねえ……」
「でも、次回は本当に↑のタイトルでやるんですの?」
「それはがちゃがちゃの神様に聞いてよ」
「出るわけないじゃないですかあああああ。キーワード3つの字数限界も越えてますよ?」
「ふふふ、まあまあ。帰ろうか瞳子♪」

「お姉さま、試験休みなんですからあの……」
「なあに瞳子?」
「あの、お、お、おお……」
「大石内蔵助?」
「者ども、討ち入りじゃ!! って、なにをやらすんですか」
「乃梨つっこみしておいて、言う?」
「だってお姉さま。馬鹿なことを書いてるうちに十四日はだいぶ過ぎてしまって、ネタにもならないじゃありませんか」
「一ヶ月もたてばそんなこと誰も気にしないわ」
「おい」

「おいって、瞳子、なにかお願いがあるんじゃないの?」
「は、はひっ、去年の今頃、お姉さまのお部屋におうかがいしたあと、ずーっと……」
「あー、そっかあ、瞳子がご両親と喧嘩しちゃったとき以来、うちに来てなかったっけ」
「はい、それであの」
「来る?」
「はいっ!!」

「考えてみれば、ちょうど今頃、三田今日子さまが退院したのね↑投稿日参照、と思ったら日付変わったorz」
「お姉さまは、祥子お姉さまがフランスへ行かれたことも知らずに、その上電話もかけられずに部屋で床にのの字を書いてごろごろうにうにねちゃねちゃしていたのですわ」
「へ、へんな言い方しないでよ、瞳子。そういえば釈迦みての(ネタバレ禁止期間ってどうなってたっけ)新刊『超難解問題集』はこの地点をすでに通過してマリみての『長き夜に』の裏まで行ってしまったのね」
「ええ。今回は後半が祐麒さん視点のマリみてって感じでなかなかよかったですよ。もう見られないと思っていた現役時代の聖さまも、つぼみ時代の祥子お姉さまも出てきますから」
「うん。これなら、物語内時間で来年の夏休みになっちゃえば舞台そのものがリリアンに移るだろうし、そうなると瞳子がぶんむくれてた頃の裏視点もきっと書かれちゃうじゃない?」
「ぶんむくれてなどいませんわ! お姉さまが鈍感でのーてんきだっんたんですっ!」

「マリみて側が『短編だけ』で釈迦みてが追いつくのを待ってる理由が、今回わかったような気がしてなんか安心したわよ」
「すごーく意味ありげに『マリア祭直前』でストップして、コバルト誌掲載短編でどうやら過去話で世界観を固めなおしながら釈迦みてを待ってる理由も、なんとなくわかったような気がします」
「……すごーく希望的観測だね」
「……それくらいの希望は持たせてくださいませ」

「それにしても『長き夜の』や今回新刊の優お兄さまは、めいっぱい情けないです」
「ウンウン。でもね、祐麒視点から見た柏木さんがいくらしおらしく見えても、そんなことで好感度は上がらないわ。ギンナン王子はどこまで行ってもギンナン王子!」
「そ、そうお姉さまがおっしゃられると瞳子、複雑なんですけど……でも、あのときにお姉さまは優お兄さまにちょっと敗北感を味わい始めたという重要なシーンですから、いいんですの」
「瞳子! お姉さまと柏木さんとどっちが大事なの?」
「ふえぇっ。お、おねえさまですっ」
「よろしい。寒いからもうちょっとくっつこうよ」
「はっ、はい……」

「でもさあ、祐麒視点でさあ、私って、あんなにのーてんきだった?」
「お姉さまは、ま・ち・が・い・な・く・のーてんきでしたわ! のーてんきに冒される前の祥子お姉さまがあんなに凛々しいじゃありませんか」
「ひどい……」
「ぽて、ぽて。瞳子と二人でぽてぽて帰り道っていうのもいいわね」
「はい♪ お姉さま」
「さて、このへんで百行くらいになったかな?」
「怪盗紅薔薇は、マクラ最低百行がデフォ、ですもの。読者無視してオチもない長話をするのが恒例ですわ」
「そろそろ、ついてくるヒトもいなくなったと思うから、本題行こうよ」

「はーい。じゃあ行きます。今日のテーマは、○風さまの名前がコバルト誌に載ってました記念」
  (イミのない伏せ字は読みにくいだけなのでやめませんか)
  (あーー、ちょっと怖いけどそうするわ。海風さまの話題+αでクリスマスイブを乗り切ろう! という無謀な企画なのよ)
  (bqexさまからも、掲示板なんだからお互い絡んでナンボ。遊んでください。いぢって。いぢめて。もっとぶってぶって、と言われていることだし)
  (うそです!! ほんとに言われたのは最初の2つだけでしょうが!!)
「お祝いとやっかみを兼ねまして」

『海風さまで遊っそぼー!!!』


 †  †  †


「って、いくらなんでもこの掲示板でこういうのは初めてじゃありませんの? なにか恨みでもありそうですわね、お姉さま?」
「そうよ。短編祭の時に海風さまがハードルを上げたのっ! だからハードルを下げにきたのよ」

「一応内輪ウケネタの背景として交流掲示板の投稿者どものだだ話を読んでいない方のために簡単に説明しますと〜」
「短編祭企画の『参加作品はひとり一本』という規定を海風さまも私も完璧に忘れていたのよ。それでネタ短編を大量投下しようともくろんでいたわけ」
「そこをつっこまれて、あわてた海風さまが、一本だけなら某合同誌の時くらいの力を入れるって暴走した結果……」
「……bqexさまが口火を切って……海風さまあたりまで投稿が来たところで……」
「……ヤバイ、レベル高すぎる……」
「それで、去年のクリスマスに出すつもりで全然間に合わなくて、今年のクリスマスイブまで温存するつもりだった【No:3554】をつい出してしまいましたの」
「内輪的に怪盗紅薔薇かパエリアかってプレッシャーもあったから、越えられないハードルはくぐるっていう選択肢もあったことはあったけど勝負に行ってみたのよ。『怪盗紅薔薇』はきっと読む人が誰も覚えてないし。そしたらQBがあ! 『てっきり笑いを取りに来ると思っていた【No:3558】』って!」
「それって大ボケしたお姉さま自身が悪いのですよ、どこをどう見ても」
「もちろんそうよ。だから自分のせいは人のせい、人のせいも人のせい、という大原則にしたがって海風さまのせいなのよ」
「そんな原則ありえません」
「え−−−−」

 †

「というわけで、海風さまの【No:3550】ですね」
「最大のモンダイ。果たして、聖さまが志摩子さんに滅殺されずに済む限界はどこまでか?」
「えーーー、下着? 粉砕ですわ。ブルマ? 今のリリアンにそんなものありません。時代はスパッツ? 5年は遅れてますわ。スク水? 聖・即・斬。なにか問題でもありまして?」

「大ありよ。黒のレオタードってぶっちゃけどうなのよ」
「あ」
「エアロビクスな昭和の話じゃないんだから、私たちのレギンスにレオタードにレッグウォーマーってスタイル自体がそもそもアレなのはわかってるわ。でも、それはリスペクトしているキャッツとドーナッツが元になっているんだからいいのよ」
「ドーナッツって読んでいる方はなんのことかわかるのかしら? とにかく、平成の現在聖さまが黒のレオタードではぁはぁしてアレ的にアウトかどうかってことですね」
「怪盗紅薔薇としては大問題でしょう? 今世紀も10年以上過ぎて、もし今キャッツがいたら……」

「いますわ」
「へ?」
「『キャッツ愛』というタイトルで、北条司原案ってことで連載されていますわよ」
「へええ、そうなんだ。三女の愛ちゃんが主人公なのね」
「ええ。あのキャッツアイの2年後、美大に進学した愛ちゃんの物語って設定になっています」
「喫茶店はそのままなの? 俊夫さんは?」
「俊夫さんとかネズミ小僧さんは今のところ出てきませんね。それに……ヒロインで二女の瞳さんは(キャラは似てないけど瞳子ちょっと親近感があります)最後に記憶喪失っていう物語的最終兵器を使って設定的矛盾を強引に叩きつぶしてエンディングになったと思いますし、場所も逃亡先のアメリカだったと思うのですが(今、キャッツが手元にないので違ってたらごめんなさいっ)……そのへんは全部スルーみたいです」
「キャッツの正体って最後はばれちゃったんだもんねえ。でも実時間で30年経ってるんだもん、その辺はしょうがないかな。で、問題の衣装なんだけどどうなのかしら」

「……あんまり、言いたくないんですけど……」
「ほえ? どうして?」

「『ボンデージ』です」
「ボンデージぃ!?」
「ぼ・ん・で・−・じ・ですっ!」

「え、えーと、瞳子? その、パンク風とか女王様とか、いやそれもやだけど、表現の仕方があるんじゃないかと……」
「いーえ。愛ちゃん自身が、自分の衣装を『ボンデージ』とはっきりくっきり言ってしまってるんですっ!」

「海風さまぁ、コレは、聖即斬ですよね?」
「斬ですわね」

「うーーーん。怪盗紅薔薇としては、ドーナッツリスペクトに戻るってことでいいのかなあ」
「そもそも、ドーナッツ三人組が夜の隠密行動にどうして黒のレオタードを着ていたんでしたっけ?」
「あれは、メンバーのひとりの今野さんが『独特の突っ走った美意識』で強引に決めちゃったんだったよね? 『怪盗はレオタード!』って」
「『紺野さん』です。お姉さま」
「おっとうっかり。私ねえ、後半に出てくる雪さん……お雪ちゃんと合わせて『今野緒雪』っていう筆名そのものがドーナッツのリスペクトだと信じていたのよ。ウィキペディアとかの記述を見ると全然違ったみたいで逆に驚いたわ」

「こうなると、少しストーリーも紹介しておきましょうか。設定としては、札幌のどこかに中高一貫教育の私立女子学園がありました、と。主人公は三年生になるときに、父親の仕事の都合で寮に入ります。この中等部の寮の名前がクララ寮といいます」
「高等部の寮が別にあって、これがアグネス寮。麗しのお姉さま方がお住まいなの」

「クララ白書(無印とぱーと2の二冊)、アグネス白書(無印とぱーと2の二冊)でシリーズ全4冊。氷室冴子著。コバルト文庫で今でも普通に手にはいるので、ネタバレはなるべく避けたほうがよろしいですわね? 素で鈍で百面相で誰にでも好かれて生徒会役員で愛読書は『花物語』で語り部の『しーのちゃん』こと桂・木忍先輩?」
「変なところで人の名前を切らないでよ。それから『しのぶ』はひらがな! 西尾維新さまの『花物語』のロリ忍ちゃんとは別人でしょうが! だいたい西尾維新さまはまだ生まれてもいないかもしれないじゃない」
「桂さまが実はしーのちゃんで、15年の時を経て祐巳さまにバトンを渡して消える役目なのです、ってSSを書いたことがありましたわね(現在公開していません)」

「そーすると瞳子は、自分がひとつ年下でツンデレの『アレ』ってことを認めるのかなー? にやにや」

「い、いっ、イヤですっ、違いますぅううううう!! あれはツンデレとは認めませんわっ! 21世紀の基準ならヤンデレですヤンデレ!!  そもそも1980年にツンデレなんてコトバないですっ!」
「そうだよねー、寮の物干し場に干してあるお姉さまの××××が欲しくて持って行っちゃったり、なんと××××を奪い取るためにお姉さまを襲って押し倒して、とうとう骨折させてしまったりというとんでもない……」
「都合のいいところだけ超拡大して抜粋しないでください! その上、なんのこともないアイテムをものすごく意味ありげに伏せ字にしないでくださいぃぃっ!! それじゃまるで18禁百合エロゲじゃないですかああ!」
「これくらいは伏せ字にしておかないとネタバレだもの。1980年に百合エロゲも乙女ゲーもなかったと思うし」
「そうなんでしょうかねえ? てゆーかちょっと可南子さんも入ってますし」

「怪我させちゃった『祐巳』に謝りたいのに素直になれなくてツン全開の『瞳子』が、困り果てて頼ったのが近くの大学に通う従兄の『光××君』だったのよ」
「だから都合のいいところだけ超拡大してしかも2文字だけ伏せ字にして抜粋しないでくださいっ!」
「嘘は言っていないでしょう? これだけ書いただけでもマリみてがクララ・アグネス白書のリスペクト、と言われる理由の一端がわかってもらえると思うよ」
「『嘘は言っていない、でも言わないことはある』 アガサ・クリスティー以来伝統の『おじいさんといっしょ型』語り部依存叙述のトリックの基本ですわね」
「瞳子の場合なら『ジョアナ』みたいなものよ。ほんとに瞳子には苦労させられたわ。延々文庫30冊以上、アニメにして総計44話。ドラマCDにして一冊あたり2枚組だから、何百時間かかるの? それに比べてあの子はデレたら早いのよ?」
「変な比べ方をしないでくださいってば! だから1980年にデレるとか言いませんっ!」

……声を当てるならやっぱり釘……さまだよね?
……そこは異論ありませんわ……デレたとたんに出番がなくなるところに異論がありますけど


 †  †  †


「さて、ここで懺悔のコーナーです。そ・う・で・す・わ・ね? 何年経ってもマリア様は見ていますの」

「え? なんのことかなー?」
「さっき、リロードを叩いていたとき、三回連続で『カナダからの手紙』を引いたのはどこの誰でしたかしら?」
「ねえ瞳子、リロードするっていう意味で『リロる』って言う? しかも『リロってた』っていうのを『ロリってた』とかボケられてもうかつに突っ込めないと思わない?」

「話をそらさないでくださいっ! 三回連続で同じキーワード引くなんて、パエリア空間に封鎖されるのと同じ確率なんですよ?」
「いやあの、二回目は『加奈陀からの手紙』だったから。カナダを漢字で加奈陀って書くとか初めて知ったわ」
「さらに確率低いじゃないですか!」
「うっ」

「わたくしをカナダまでかっ飛ばそうとしてリレー小説の投稿者の皆さんにご迷惑をおかけした上に、カナダルートを中断したままトンズラこきましたわね、お姉さま」
「何年前の話よ。いまさら誰も覚えてないって。あのときのリレーは、他のルートでちゃんと完結したからめでたしなのよ。脇の小枝がひとつくらい切れてたって……」
「ありがたくもかしこくも、三年間くらいはリクエストをいただいてましたわね。それも来なくなって逃げ切ったと思っても、マリア様とがちゃがちゃの神様は見逃さないのですよ」
「ごめんなさい」

「どうして、中断したの? 祐巳お姉ちゃまぁ、怒らないから言ってご覧なさい? ね?」
「ううっ、瞳子ぉ、あのねあのね、祥子さまと瞳子と柏木さんの関係ってややこしいじゃない? なのに、ちゃんと家系図を書いていなかったの。それでちょっと致命的なミスを……」
「瞳子のことをちゃんとみてないんじゃないですか〜〜〜〜!!!」
「怒らないって言ったのにぃ〜〜〜。松平財閥を作って瞳子ちゃんのお祖父さんが当主ってことにしちゃったじゃない? でも、松平家のお祖父さんって麓の松平病院の山羊院長先生なんだよね? お医者さんは母方のお祖父さんだって誤認しちゃったので間違えたの。てへ」
「そ・う・で・す! 実業家は母方の柏木の祖父です! それで、どうにも続けられなくなって放棄したと?」
「うん。そうなの。それを白状するかどうか、リレー小説への影響が出るとまずいなあと思って、後ろ髪を引かれつつ黙っていたの」
「何年経っても、マリア様は見ていますわね」
「ROM人さまぁ〜、そういうことだったんですぅ〜」
「ぶっちゃけ、今でも派生ストーリーを書いている方はいらっしゃいますのよ?」
「えーと、そういう方にはわかる限りで自白したんだけど……」
「甘いですね。ぐーでぶってやってください、みなさま」

「だから『ステップ』が出たときには読みながら系図を書いたわ。そうでないと、あの人には実は高校生の若さで亡くなった叔母さんがいた、とか、すぐにはぴんとこないじゃない」
「最初から、緒雪さまが系図を書いてくださればいいのに……って、そういえばおにぎりタマちゃんとモモっちの時には、本文中にしっかり家系図が出てきましたね」
「ステップで家系図書いちゃったらネタバレだからねえ。でも、誰の関連の話かはわからなくても、昭和のお話だってことは最初の2頁で一目瞭然だっていうのよ、うちのケット・シーが。そう言われて三回読み直しても気がつかなくてめっちゃバカにされた」
「見開き? マリア様の庭に集う乙女たちには〜〜しか書いてないじゃないですか」
「そうよ。みんな、いつも同文だと思って読み飛ばしてるでしょう? 相方は、マリみての雰囲気に入り込むために、最初の定型文から丁寧に読むそうなの。そしたら」

「えーと『ごきげんよう』『ごきげんよう』……」
「もうちょっと先」
「十八年で箱入りのお嬢様が自動的に出荷される……」
「行き過ぎ」
「明治から元号が、あ−−−−−『二回』しか変わってない−−−−!! や、やられましたわ……」
「こういうところでしゃらっと仕掛けてくるから、緒雪さまには油断できないのよ」

 †

「で、お姉さま、また話をそらしましたね? ましたね? 私がカナダへ飛ばされそうになったのは、ど・う・し・て・なのですか? ほれ、吐け」
「うーー、瞳子が恐怖モードだ……」
「『カナダ』の伏線自体は『子羊たちの休暇』に出てくるのですわね。わたくしが『なぜか』両親のカナダ行きについて行かずに祥子お姉さまの別荘に現われた」
「この伏線は『クリスクロス』で回収されているんだけど、柏木さんの科白三行であっさり片付けられたときには泣いたわ」
「優お兄さまは、三行で済むくらいわたくしのことをよくわかっているということですよ。それに『神回』とさえ言われるアニメ第4シリーズ11話『ハートの鍵穴』では、この科白、見事に決まっていましたわ」
「む。瞳子、お姉さまと柏木さんとどっちが」

「それはもういいですから話をそらすなっ! ど・う・し・て、わたくしはカナダへ飛ばされたんですか」
「えっと、その、1980年の『瞳子』がどうしてクララ寮にいるかっていうと、『親の海外出張』について行かずに××××を盗むために『祐巳さま』を追っかけて強引に入寮しちゃったからなの」
「盗むためとちっがーう! なんですか、カナダも実はドーナッツネタだったんですか」
「うん、4年目の真実。誰か気がついてくれるかなあと思ったのになあ」
「1980年当時、出向とか言っても女子中高生には通じなかったでしょうから……日本企業の海外進出が本格的になる前のお話……出張といっても長期の赴任なのね。ストーリーを追っていくと3年後にも帰国してないのよ、『瞳子ちゃん』のお父さん」
「だから、『カナダ』ネタに飛びついちゃったのね、お姉さま」

「でも、マリみて自体、『子羊』以降クララ白書を踏襲しなくなったしねえ。だから、怪盗紅薔薇プレゼンツ『7つのマリみてパラドックス』シリーズで(黒歴史はあえてりんくしないの。7つなのに4つしかないし)、リクエストいただいた『クララな怪盗紅薔薇のドーナッツ作り』というお題を一度は書いたのよ」
「書いたくせに、お姉さま原稿ひっちゃぶいたじゃないですか」
「あんたんとこの部長のせいよっ!」
「典さま?」
「そうよっ。三十何冊も経って祥子さまが卒業するときになってから、『奇跡の人を演じる高城典さん』略して『奇跡の高城さん』って、今更どうして出てくるのよっ!」

「いやあの、そのネタはクララ白書直撃世代の方以外からは『そんなこと誰も考えない』ってさんざんだったんですけど。氷室冴子先生と同世代のお姉さま方からさえ言われましたわ」
「うーん、そうなのかなあ。これは解説が必要よねえ」
「はい。『奇跡の高城さん』というのは、クララ白書・アグネス白書における『祥子さま』です。高等部でアグネス寮にいる麗しのお姉さま。ですからビジュアルは『祥子お姉さまそのまんま』の黒髪ロング、髪はさらさらサヨコヘヤーです」
「山口小夜子さんっていう当時世界的に活躍したモデルさんがいたのよね。そもそも小夜子→祥子説もあるくらい」
「『奇跡のように美しい麗しの高城さん』略して『奇跡の高城さん』という、まるで海風さまの異能シリーズに出てきそうな通り名ですの」
「1980年のコバルト文庫の少女小説としては結構過激な展開もあるのよ。最後のクライマックスに近いちょっとネタバレだけど、『祥子さま』が『私は祐巳ちゃんが好きなの!!』と公衆の面前で大告白。『祐巳ちゃん』大パニック、なぜか(逆ハーレムヒロイン視点は鈍感が基本です)光xx君が大激怒っていうシーンまであったりしてね。その真相は……」
「はい、そこまで。つづきはweb、じゃなくて文庫でどうぞお読みくださいませ」


「中三とつきあう大学生って、どう見てもロリコンだよなあ……」
「そのツッコミはちゃんと作中にありますのよ。そりゃあ当然、正体を隠して偶然を装って近づく大学生男子を中三女子が警戒しないわけないじゃありませんか」
「30年前はロリコン、30年後はBL疑惑、今も昔もギンナン王子は……『長き夜に』の襖の向こうでどたばたしてた時に、柏木さんってば祐麒になにしようとしてたと思う?」
「げふんげふん。お兄さまはほっといてくださいませ」
「しかもシスコン」
「だからほっといてくださいませっ!! 1980年にロリコンって言葉はあったのかしら」
「あったわよ。私がロリコン呼ばわりされるようになったのは中等部一年生くらいの頃で普通に通じてやがったし……えーと計算すると、80年よりかなり以前からヲタ方面だけじゃなく一般に普通に通じたと思うわ」

「ロリコンだったんですか」
「違うわよっ! 13歳が高等部の可愛くてちょっとロリっぼいキャラを好きになったからって、なんでロリコンなのよ。21世紀の基準だったら全然違うわっ!」
「三次元ですの?」
「二次元よ。悪い? 悪いのは江口寿志とか……」
「しかも男の娘だあ。この人、世紀を越えてなんとかしてください」
「ひばりくんはロリキャラじゃないんだけどなあ……」


「……それにしても緒雪さま、どうしてここまで来てから『奇跡の高城さん』を出したのかしら。ちょっと不思議です」
「……憶測に過ぎないんだけど、末期ガン闘病中の氷室先生へのエール、いいえ、時期から言って追悼かもしれないわ」
「……宮廷社コスモス文庫の時代を超えた旗手同志、少女小説本流の正統な後継者、ですものね」
「……これは私の言い出したことではないんだけど、大正時代の『花物語』を含めて、少女小説の正統三代だと思うの」

「……そこにいろんな小説家が関わってくるのですわね。戦前の川端康成からコバルトの赤川次郎まで」
「……うん。今のコバルト文庫は、栄光の作家番号一番が氷室冴子先生なの。でも、リニューアル前、集英社文庫コバルトシリーズの時代の一番は赤川次郎先生だった。クララ白書の初版の時は、まだ『コバルトシリーズ』になっているわ」

 †

「そういえば、緒雪さまがコバルトノベル大賞を取った作品が来週、年末27日に新装版で出ます。これはほんとにおすすめしますの。緒雪さまのデビュー作ですよ」
「そうそう、マリみてトリビアとして注目なのは、だいぶ前なんだけどbqexさまが『パイロット版の情報を知っている方は教えてください〜』って呼びかけたのに誰も答えなかった事件、があったんだけどね」
「お姉さまもスルーしたんですか?」
「だって、問題の『パイロット版のキョウコさん疑惑』の答はぐぐればわかるもの。『銀杏の中の桜』で出てくる恭子さんがパイロット版では『蓉子さん』だった疑惑」
「ふっ、まだお姉さまが創造される前、わたくしの方が先に存在した時代のことですから、お姉さまの知らない世界ですわ。緒雪さまどんだけ芙蓉好きなの? というお話ですね。あれ? ということはデビュー作に出てくるんですか? 蓉子さん」
「大賞受賞作の『夢の宮 〜龍の見た夢〜』ではないのよ。応募作だから文庫一冊ほど長くはなくて、もう一篇がカップリングになっているんだけど、そっちにね。夢の宮シリーズは基本的に前後つながりなしの一話読み切りなの」
「ちょっと待ってくださいませ? 『夢の宮』って中国の春秋時代みたいなイメージの国籍不明アジア世界、ごく大ざっぱにくくってしまえば『十二国記』とか『彩雲国物語』とかそういう系統ですよね? このまえ5年ぶりに新刊が出たあのシリーズ、『蓉子さん』は変ですわ」
「もちろん。『芙蓉王子』、のちの『芙蓉王』が出てくるのよ」
「うわっ、王子様ですか。文庫デビュー作から芙蓉にこだわってたんだ……」

「他にもね、シリーズのどの巻かは内緒! だけど、パイロット版と同時進行で、おそらく1997年頃書かれていた物語で、摩椰《マヤ》、梨果《リカ》の姉妹の物語があるわ(『梨』の字は本当は正字というか旧字体なんだけど、この掲示板では表示できないので乃梨子の『梨』と同じにしてあります)」
「ふーん。ふんふんふんふん。摩……梨……、ってえーーー、わたくしは? わたくしは出てこないのですか?」
「梨果の前に突然現われる、きゃぴっとしたツンデレっちい妖精みたいな謎のお姫様がいるんだけどね、『桃弧』って書くんだけど」
「え゛? そのお名前、なんて読むんですか!?」
「もちろん『とうこ』よ。この謎解きは『夢の宮 〜(教えてあげない)〜』のあとがきに書いてあるわ。緒雪さまが意識するしないにかかわらず、パイロット版が書かれた1996年前後にこの三人の物語を組み立てたりばらしたり、きっといろいろ考え詰めていたのでしょう。マリみて成立前後のことを知るには必読よ」
「え〜〜、お姉さまの意地悪〜〜」
「うん。私だって、某RSさまからこれくらいの情報を聞いて必死で調べたんだもの。自分でお調べなさい。まんが王倶楽部には情報はないわよ」

(※2011/12/30追記。
 夢の宮シリーズは品切れというか事実上絶版状態の巻が多いみたいで、調べたらコバルト文庫の公式サイトでも情報が少ないので書きます。『夢の宮 〜叶の果実《かのうのかじつ》〜』です。 )

 †

「えーー、それならわたくしだって。お姉さまが創造される前の情報で反撃しちゃいます」
「な、なによ」
「ふっ、さっきの、『銀杏の中の桜』の恭子さん登場シーン、思い出せますか?」
「……私出てないしなあ、恭子さんって『通行人A』だしなあ……忘れてる……」
「乃梨子が志摩子さまと親しいのを見て追求しに来た人がいたでしょう? ツッコミ専門家にツッコミを入れる役ですの」
「白薔薇さまとお親しいのですか? ってあれだっけ」
「通行人Aとはいっても、薔薇さまって何者? ということを史上初めて解説したのが恭子/蓉子さんですから、あまり邪険にもできませんよ」
「あ、そうか」

「そのちょっと前に『お励みなさい』『あーあ、瞳子さんってば、声が裏返っちゃってるよ』というシーン、これはお解りになりますか」
「わかった。家庭科で裁縫室に移動する途中で、志摩子さんに会うシーンね」
「そうです。このときの私の台詞をパイロット版から引用してしまいます。ほとんど入手不可能ですから、一行くらい許してね」
「何事なの?」
「まあ聴いてください。マリみてファンならば、ましてマリみてSSを書こうなんておっしゃる方ならば『この一行で二時間は語れないと』ですわよ」
「どきどきどきどき」

「行きます。志摩子さまが『次の時間はお裁縫? 何ができあがるのかしら?』と問いかけたのに答えたわたくしの台詞

  『スカートです。白ばらのお姉さま』

 『白ばらのお姉さま』にはルビはついていませんの。『ばら』が平仮名なのも原文ママ。称号としては『白薔薇さま《ロサ・ギガンティア》』ではなくて『白ばら』なのですわ。ですから乃梨子語りの地の文に至っては『紅ばら』、『黄ばら』は『呼び捨て』なのですよ。おほほほ、どうですか? お姉さま?」

「えええ? ほんと? っていうか、ほんとにこれ、緒雪さまが書いたマリみてなの? この掲示板で瞳子の台詞としてこんな文書いたら、袋だたきになって瞬殺されるよ? これじゃあ『私がお姉さまと呼ぶのはお姉さまだけです!』っていうマリみて世界の超基本設定さえできないじゃないの!」
「ほんとですって。まぎれもなくコバルト誌1997年2月号、『マリア様がみてる(副題なし)』の中の一文ですわ。思わず異能で白ばらを手折りたくなりませんか?」
「……なるほど……マリみてのシリーズ成立過程って、思ったより複雑なのかもしれないわね」
「言っておきますけれど、内容そのものは用語の置き換えとかを別にすれば99%同じ、というか文庫収録版の方がパワーアップされているので、物語としては必死で探してきて読む価値はないと思います。とはいえほぼ全文に渡って手が入っていて『元のワープロデータが壊れてしまったのでコバルト誌を見ながら書き直した』というあとがきがリアルです(全文書き直しの理由はそんなことじゃないと思いますけどね。これだけ手が入っているのに意味が変わらないように、しかも無印以後の新設定ができる限り入り込まないように、ものすごく慎重な書き換え方をしているの)」
「私みたいに、あーだこーだと命名の由来とかを考察するにはおもしろい材料ってことね。よし」

「書きますか?」
「ネタがSSの文章になるまでに、一年はかかるよ?」
「あーあ、いつものお姉さまだよ。もうひとつ付け加えますとぉ、これは現物未確認なのですが、1996年12月号の予告では『マリア様が《みている》』だったそうなのですわぁ」
「そ、それはいやあああああああああああ」


 †  †  †


「さあ、話を戻すわよ」
「だ・れ・が・こんなに回り道をしろって言いました?」
「あら、回り道しないでまっすぐ帰った方がよかったのかなー? かなかなかな? 瞳子ぉ?♪」
「そっ、それはまた別の話ですわ。 って何してるんですか。わざわざ手袋を外して手をつながなくたっていいんです。いいんですってばあ、お姉さまの意地悪〜〜〜〜!」
「るん♪ あったかいよ、瞳子♪ で、なんの話だっけ?」

「『レオタード』ですっ!」

「そうそう、そのタード」
「意味不明です!」
「ドーナッツ三人組って、どうしてお揃いの黒のレオタードなんか持っていたのかしら? 三人とも体操部とか?」
「いいえ。しーのちゃんが生徒会、鉈振りのマッキーこと紺野さんは帰宅部、じゃないですわね帰寮部、菊花ちゃんは……禁則事項です♪」
「禁則事項って、ネタバレ回避なのね? しっかし鉈《なた》振りって……」
「鉈振って暴れた前科がある、らしい、のですが……これ以上は禁則事項です♪」
「……鉈振りの今野緒雪さんネタはここのコメントで見た覚えがあるなあ……mimさまでしたっけ?」

「それじゃあ、どうしてレオタード?」
「平成の現在、そのためにレオタードを全女子生徒に購入させるような学校があるのかどうかは存じませんが、体育の授業のためですわ」
「なんか、専門的だねえ」
「花寺高校だって、わざわざ種類の違う古語辞典が試験前に必要になるくらいの、どこの大学国文科だよ? っていう謎設定ですからね」
「ああ、そういえば須加星さまの『いばらの森』を読んで涙でべろべろになってるときに、わざわざ古語辞典を交換に来たわね、祐麒のやつ。そんな伏線だったんだ?」
「ええ、その伏線の理由の『妄想的憶測』は、また今度なのですわ。ぶっちゃけこれも名字ネタだと思っているのですが。そして、レオタードを全員が購入する理由は……たぶんですけれど……女子なら誰もが持っているトラウマですから、男子が見ているところではぜっったいに書けないのです。『つばさキャット』の羽川翼さんだって、佰物語(西尾維新)でそう言ってますから」

「今回は、化物語のシリーズにまで走ってるわね。『花物語』のところで予想はしてたけど、あんまり手を広げると収拾がつかなくなるわよ?」
「収拾がつかないのはいつものことですから、そこで打ち切れば大丈夫です♪」
「羽川さんってば、あれを男子に見られるくらいならブルマで体育をやる方がまし、とまで言い切ってるもんね。猫耳猫しっぽ黒下着で徘徊してたやつには言われたくないけど」

「結論が出ましたわ。西尾維新さま的にも、ブルマよりレオタードの方がとっても見られたくないのですよ。それどころか猫耳猫しっぽ黒下着よりも見られたくないのですわ」
「あー、わかるわ。っていうか、羽川さんも言ってるけど、昭和の女子高生ってあの授業をブルマでやってたのよね」
「トラウマの拡大再生産以外のなにものでもありませんわね。悪夢を思い出したお姉さま方、ごめんなさい」
(でも、演劇部なら表現の創作には慣れてるんじゃないの? うちのケットシーなんて『猫』ってお題を出されて床で丸くなってうにゃあああ、うにゃっとかやったらしいんだけど……)

「と、いうことで、次回からの怪盗紅薔薇はボンデージ……」
「いやあああああ、なんてことを言うんですかお姉さまあぁぁぁ」
「……次までに、考えてきます。こういうのって、30年後まで通用する設定は難しいわ」


「1980年だと、たとえば幼女が裸でいても別にエロくないからテレビに映っても大丈夫、という時代のギリギリ最後くらいでしょうかしら?」
「金だらいが落っこちてくるような番組だったら、素っ裸の小学校低学年くらいの女の子がでででーっと舞台を通り過ぎるのがオチで、すかさずあの方が『次行ってみよーっ!』っていうのもよくありましたもの。ちなみにその不世出のベーシストさんの自伝『だめだこりゃ』によれば、『洗面器といえばクレージーキャッツ』だったので金だらいを使った、洗面器は絶対に使わなかった、のだそうですわ」
「その代わり、女の子の下半身の毛髪が一本でも映っちゃったら放送禁止、だったり。そうそう、おっぱいは堂々と映ってたのよ。もっと後の時代、バカ殿番組なんて腰元が大量に素っ裸で映ってたりしたわ。だいたい『ポロリもあるよ水泳大会』が放送できたんだもん」

「時代と環境のギャップだったら、釈迦みてですんごい違和感があって、クララ白書で逆方向の違和感があるのが、タバコだよね」
「バイクとタバコと喧嘩のない男子校って信じられませんわ。わたくし男子校の中身を知っているわけではありませんが……」
「うん、リアルに明治三十年代創立の旧制高等女学校の流れを汲む学校の出身だからね、私。花寺よりリリアンの雰囲気の方がとっても近いんだけど……あの花寺はなんかなあ……」

「逆に、1980年はまだ受動喫煙の害そのものがほとんど知られていませんでした。タバコを吸っているところを見つかったら即停学レベルの処分なのは今と変わらないと思うのですが、高校生にとって通過儀礼みたいなものだったかもしれません。だからアグネス寮のお姉さま方のいる談話室なんかとっても以下禁則事項ですわ♪ 80年だったら多分『ハタチの禁煙』なんて言葉がまだ存在してたでしょう」
「緒雪さまってクララ直撃世代なんだよね、当然? でも1997年ならば公共の場所が全面喫煙になっていくのは分かり切っていた時期だと思うのよ。だから、書きたくても書けないことは多分あったと思うのよ?」
「JR中央線三鷹駅、下りホームの高尾方向一番端、『白き花びら』で聖さまが待ちぼうけしてた場所にあの頃喫煙所があったのを覚えていらっしゃいますか? 聖さまがクリスマスイブに下校する生徒や先生たちにどうして見つからなかったかって、ごく少なくなった喫煙所は通勤時間帯には煙がもうもうでした。たとえ暴走した聖さまがタバコを吸っていたとしても女の子は怖くて近づけるような場所ではなかったんです。喫煙する女性が近づけなくて困っていたくらいですもの」
「階段やエスカレータが逆向きっていうのもあるけどね。アニメは演出上階段が見えているけど。(M駅=三鷹駅というわけではないけれど、アニメが三鷹駅で決め打ちしてたから……)」
「現実の高校のことは知りませんが、リリアンのまじめな生徒たちなら近寄れませんから先生方が巡回していたとしてもあんまり近づかなかったのではありますまいか。でも、そういうことは書けなかったと思いますの」

「私の出身校って『ごきげんよう』って普通に通用しましたよ? そういえば、今住んでいるところは『マリみて』よりも『青い花』の方が近いんですけど、駅で近くの修道院の老シスターさんの荷物を持ってあげたりして、ご挨拶は普通に『ごきげんよう』なんですよ。青い花のお嬢様学校で、あこがれて入学してきた新入生が『ごきげんよう』なんて言いませんよ、って突っ込まれるシーンがありますわねえ? でも、駅で周りの女子高生たちを見ていると、逆にその方が信じられなかったりしますわね。そういう学校出身のSS作家さんにお聞きしても普通に『ごきげんよう』みたいなのですが」
「相方に聞いた話なんだけど、同じように駅でシスターと世間話をしていたんですって。それで映画の話をしたらしいの。そしたら『私たちは楽しみのためにテレビや映画を見ることはありませんわ』。うわああああ、久保栞さまや志摩子さんの目指してるのってこういう世界なんだって驚いたよお」
「ですから、リリアンみたいな世界は実在するらしいのですが、本当のところは外からはうかがえません。だからといって、その辺のお嬢様女子高生に黒のレオタードとブルマを比べてどっちがやばいか、とか直撃しないでくださいね、その場でタイホされますから」
「……」

 †

「ま・た・む・だ・ば・な・し・を・し・ま・し・た・わ・ね」
「てへ、でも、一応次のネタにつながるんだけどなー。三十年前と今で、女子高生を一目見てまるっきり違うところってなーんだ? スカートの長さでしょ」
「『けいおん!!』でお姉さま、ずいぶん感心してましたわねえ。高等部時代にベースを弾いていたから、けいおん!のネタってほとんど分かるんだけど、ひとつだけ経験したことがないネタがあったって」
「そーぉなのよ。あのね、真冬に澪ちゃんがベースの練習をしてるでしょ? 冷え切ったベースのボディが生足に、びたんっ!! ってきて『はうぅっ!』 あれだけは実体験したことないのよ」

「『あれだけは』ということは、毛糸の手袋をしたままギターを弾こうとして自爆したこと、あるんだ?」
「うん、ある。あれは弦にひっかからないガットギターでもムリ。すべっちゃうから、ピアノでもムリだったなあ」
「そ、それでは、スラップ、びしばしぶっ叩いてて、『私の恥骨も叩いて〜〜っ!』って声がかかったことも、あ、あるのでしゅか?」
「……恐ろしいことに……ある。ネタで、だけどね」
「って、それは世界がちがーうっ!」

「自分で振っておいて突っ込まないでよ、瞳子」
「だ・か・ら・は・な・し・を・も・ど・せ」

「海風さまの異能のシリーズで一番エロいと思った衣装はね、実は久保栞さまなの」
「あー。真っ白なリリアンの制服ですね? 深い緑のリリアンのセーラー服を色反転した、純白に一滴の黒を落としたウンディーネ。天野こずえさまって白で体の線が出て艶めかしい衣装、好きですよね」

「瞳子にはわかっていますけど、男子にも判るように説明しないといけませんから進行上あえて聞きます。ロングスカートなのにどうしてエロいんですの?」

「透ける。夏服で逆光だったら、着ていないも同然に透けるわ」

「当然、下になにか穿くでしょうけれど、そこでお聞きしたいのです。今の女子高生って、ペチコートとかパニエとか持ってます? なんだか一枚も持っていない子がいてもおかしくない気がするのですわ。現役女子高生の方、いらっしゃいますかー?」

「そこで、男子からスパッツやレギンスじゃダメなの? という質問が当然来るでしょう。 ダメです。透けた状態を考えてみて」
「下に黒いスパッツを穿いていたら下着にしか見えませんわ。だいたい『時代はスパッツ』とか言っている方になんてこと。白か肌色だったら……透けたときの見え方は『はいてない』のとおんなじ! 脚の線が透けて見えたらぜっったい生足より恥ずかしいですっ! って、栞さまなのですから、普通にペチコートをはいてくればいいじゃありませんか。無理やりエロに持って行くお姉さまなんてキライですの」

「ううん、ダメよ。異能戦なのよ? ロングスカートでさえ相当邪魔なのに、ペチコートなんて穿いたら足に絡みつくわ。昭和のスケバン何とかじゃないんだから、あんなオカルトありえません。攻撃されなくても自分の動きでひっちゃぶけてボロボロになるわね」
「……女の子はいろいろ大変なのですけれど……白いスカートが内側から汚れたりしたら恥死しますけれど、でもリリアンには男子はいないから……ひょっとして?」

「そういう状況で、栞さまが49人、白いロングスカート一枚で舞い踊ったらどういう絵になるかしら?」

「うわああああ、凄いですっ! ええ、体操服ブルマの死装束よりも絶対こっちの方がエロいですっ! しかも栞さまですもの、聖さま暴走しますわ。アタマに血が昇りますよ、えらいことになっちゃいますのよ」
「そういうこと。ブルマもスク水もレオタードも、下着露出でさえかなわないわね」
「斬ですっ! 斬!」

「つまり、今日の結論は、海風さまの色反転リリアン制服が一番エロい、ですのね?」


「違うわ。結論は

  『海風さまは、エロい』

でしょ?」

「決まりましたね、お姉さま」
「決まったわ、瞳子」


 †


「結局無駄に長くなりましたのね。『降誕祭』の難航っぷりが忍ばれて哀れですわ、お姉さま。あっちのSSが難航して逃避のためにこっちのSSを書いている最低っぷりがさらに哀れですの」
「哀れまないでくれる? その上、海風さまの【No:3601】で『黒須(十架《クロス》)さん』って出てきたじゃない。これってひかりさま?」
「そうじゃないんですか?」
「だったら、令さまとクラスメイトなのだから、2年生のはずじゃあなかったの? どうして3年生なの? え? わたしの勘違い?」
「きゃあああああ、それはまずいです! タイムパラドックス破りもアリバイ崩しも全部の前提がぜんぶぜ−−んぶ崩壊してしまいますぅ〜」
「ぱにっく〜〜。ということで、続・降誕祭、三田・黒須編がクリスマスイブに間に合わなかったら、海風さまのせいなのです」

「……最後までそのネタで押し通しますか……」
「……オチがあっただけでも幸運なのよ……」


 †  †  †


「うちについたよ、瞳子。あらためてもう一回謝っておこうよ」
「はい。せーのっ」

『ごめんなさいっ』
「問題がありましたら、特に筆名を事前の了解なしに出してしまいましたみなさま、クレームがありましたら即削除するカクゴなのであります」
「ムカシはよくやってましたけれど、今は掲示板の雰囲気が違いますから、怒る方もいらっしゃるのではないかと、びくびく」
「……あやまるならやるなよ」
「……はい」


「はあー、今度こそ終わった〜。冷えちゃったねえ、瞳子、一緒にお風呂はいろっ♪」
「斬られたいですか? マリみてにサービス回なんて、そんなオカルトありえません」
「パラソルでシャワーシーンがあったり、チャオソレッラ! で入浴シーンを描かれちゃった私はなんなの?」
「お姉さまの入浴シーンのどこがサービスになるんですの?」
「瞳子、ひどい」


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