【3610】 明日はありますか落ちとるがな  (bqex 2011-12-25 23:14:41)


 【No:3608】の続き。
 令が今日のネタに悩みながらUFOを待っていると来客があった。

「ごきげんよう、令」

 思わず令は玄関ドアを閉めるがめげる相手ではない。

「失礼ね! それが助けにきた親友に対する態度なのっ!?」

 祥子はチェーンをかけるより早くドアを開けた。

「祥子、気持ちは嬉しいけれどお笑いなんて無理でしょう?」

「何言ってるのよ。私は小笠原グループの将来に貢献する人物よ。話題作りのため世界に通用するジョークの一つや二つ持ってるわよ」

「ダジャレや宴会芸は通じないけど」

「疑い深いのね。いいわ。披露してあげる。某人気女性アイドルグループには三人のキャプテンがいて一人は絶対的なリーダーで、一人はイケメンで、一人は腹黒い美人なの。あれは『マリみて』をパクったのね」

「……今、もの凄く一生懸命考えてみたけど何が面白いんだか全然わかんない」

「まあ、宇宙人向けの高度なジョークだから令がわからないのも仕方ないわ」

「いや、宇宙人でもわからないと思うけど」

「負け惜しみはよしなさい。今のところ一度も受けたことがないから金ダライがこんなにたまっているんでしょう?」

「たしかに笑わせてないのは事実だけど、もうちょっとオチとかなんとかあるでしょう」

 言い争っていると例のオレンジの光と共にUFOが現れドアを家の壁に当てるが二人の言い合いは続く。

「あなたみたいに笑いのセンスがない人間が言っても説得力ないわ」

「どっちがセンスがないって!? どうせなら祐巳ちゃんの方がよかったよ」

「ごきげんよう、令」

 ヤマダが挨拶するが言い争っていて気づかない。

「知らないの? 祐巳たちは由乃ちゃんが暴れたせいでUFOが不時着したのも薔薇さまのせいにされて謹慎中なのよ! 令が妹をしっかりしつけておかないからとんだとばっちりじゃない!」

「あの――」

「そんなことまで私のせいにしないでよ! あれが私の手に負えるとでも?」

「もし――」

「ヘタレたこと言ってるんじゃないわよ! あの青信号の悪名は大学まで噂になってるのよ。姉としてガツンと言いなさい、ガツンと!」

 ドカッ!!×2

 金ダライが降ってきて見るとヤマダが帰るところだった。

「また明日きます」

 一日無駄にしたーっ。
 身内の役立たずぶりに令は明日が不安になった。
 【No:3611】へ続く


一つ戻る   一つ進む