【No:3610】の続き。
由乃は全く目覚める気配がない。今日こそは笑いを取らなければ。
令はテレビで見たすべらない話を覚えながら帰宅する。
「……!?」
階段にあふれる金ダライ。
自室にたどり着くと。
ドカッ!!×2
江利子と祥子が頭上に金ダライを受けていた。
「丁重にお断りした二人がなぜ私の部屋で東方のコスプレして金ダライ落とされてるんですか!?」
「ごきげんよう、令。お嬢さん方に熱いメールで呼び出された結果がこれです」
ヤマダが代わりに答える。
「なぜヤマダさんのメアドを知っているんですか! それ以前に地球の通信手段が通用するんですか!」
「やかましいわね。お姉さまに相談したら『江利子が知ってるみたいだから相談したら?』と言われたからよ!」
「まあっ! 蓉子ったら私には『カウンセリング受けるか政府に相談して』って電話切ったのに!」
「それが普通ですって! 私もそう言われるのを覚悟で電話したんですから」
「安心なさい。私は妹が電波系の相談をしても見捨てたりしないわ」
「お断りしてるのに押しかけないでくださいよ」
「お姉さまが兎になることを前提にネタを仕込んだのに断ったせいでことごとくダダ滑りだなんて想定外だわ」
「蓉子さまがそんな役引き受けるって思ってる祥子こそ想定外だよ!」
「本当に蓉子は使えない女ね」
「お二人こそダメダメじゃないですか!」
「我慢しましょう。令、あなたが兎をやりなさい」
「我慢するなら誘わないでください! その衣装はどこで手に入れたんですか!?」
「兄貴に相談したらすぐ出てきたけど?」
令はがっくりと落ち込んだ。
「じゃあ着替えさせるわね」
「お姉さま服を引っ張らないでください!」
「『まあ、これが労働というものね』」
「いきなりネタに入らない!」
「『姫様に毎日労働の実演講習を行っているのにニート一直線。解せぬ』」
「『解せぬ』って過保護に世話してるから何にもできない子になっちゃったんですよ!」
「あんたが言うな!」
ドカッ!!×3
三人に金ダライが降ってくる。
「明日で最後です」
ごめん、由乃。
【No:3612】へ続く