「ねえ最近、何かないかしら」
「何もありませんよ。この時期に部活にくる三年生の合格が危ぶまれるくらいですかね」
「大丈夫。なんとかなるわよ」
「落ちたら、一面で発表しますからね」
「分かったわよ。一応、持ち歩いてはいるんだから」
「…まあ、気になることはあるんですよ」
「何かしら」
「手は動かして下さい。このところ紅薔薇のつぼみが本に読みふけってるんです」
「ふむふむ」
「ドリル大百科とかいう」
「ああ♪」
「おかげで、本物にちょっかいを出さなくなりまして。ネタにも影響が出てますし、本人もナーバスになってるんです。一体どこから手に入れたのでしょうね」
「え、えーと」
「文化祭の数日後くらいからなんですが。お姉さま、ご存知ありませんか」
「アピールしてあげるつもりだったのよ…」