【短編祭り参加作品】
注意・若干、由乃と笙子の扱いが悪いです。それぞれのファンの方ごめんなさい。
〜校内・廊下〜
「これ…何かしら?」
「ロサ・フェティダ」
由乃が気になって拾おうとしたのは、廊下に落ちている折られたプリントだ。
そこへ、笙子が現れ声を掛けられたのだった。
「ああ、笙子ちゃん。ごきげんよう」
「あっ、すいません。ごきげんよう、ロサ・フェティダ」
「どうしたの?」
「そのプリントを探していたんです」
「ああ、これね。笙子ちゃんのだったんだ」
「は、はい。そうです」
「ふーん…」
そのとき、由乃は見逃さなかった。
笙子の顔が、一瞬だけ困惑に変わったことを。
「ねぇ、笙子ちゃん。これ、何が書いてあるの?」
「えっ?い、いたって個人的な事です」
「ふーん。蔦子さんへの恋文とか?ふふ」
「違いますよ。ロサ・フェティダ、冗談がお好きですね」
(あれ、この線が一番濃いと思ったのに)
「そう…。じゃあ、これ。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
それでも、由乃には疑問が残った。
由乃がプリントを渡すと言った途端、より一層笙子の安堵感が増したように見えたからだ。
(もしかして…私に見られると困るのかしら?)
「やっぱ、止めた」
「えっ!?返して下さい!!」
「返さないとは言ってないわよ。何が書いてあるかを見てからね」
「!?返して下さいって!!」
「そこまでムキになると見たくなるってのが、人情ってもんよ。どれどれ」
「わーわー」
「何これ」
そのプリントには次の内容が書かれていた。
福沢祐巳 A
藤堂志摩子 A
島津由乃 B
松平瞳子 B
二条乃梨子 B
有馬菜々 C
「ねぇ、説明してくれるわよね」
「…しないとダメでしょうか?」
「まあ、嫌なら無理強いはしないわよ。ああ、そういえばこの前、とある光景を見たのよ」
「そ、そうですか…別に、私興味ないので……」
そう言って逃げようとする笙子を由乃は羽交い絞めにした。
「まあ、聞きなさいって。ある人がある人を隠し撮りしているのを見たのよねぇ」
「!?ロサ・フェティダ!!とても説明をしたくなったんですが、よろしいでしょうか?」
「そう?笙子ちゃんがそこまで言うならお願いするわ」
「…はい。これは、蔦子様へのリクエスト一覧なんです」
「蔦子さんという事は、写真よね?」
「はい、そうです。今までは、逐一、蔦子様が依頼者への写真の譲渡についての承諾を、ご本人に貰いに行かれていました。
ただ、最近はリクエストが多くなってきたので、今度からは予め包括的に承諾を貰いに行く形にしたほうが良いって話になり、
蔦子様からリクエストが多い人のリストアップを頼まれたんです。それで、大雑把ですがA〜Cに依頼数をランク分けしました」
「ふーん、なるほど。ん……っていう事は、つまりは人気投票みたいなもんよね?」
「えっ?い、いやぁ、そんな事はないと思いますが…」
「いいの…分かってるから……ごきげんよう………」
「ご、ごきげんよう、ロサ・フェティダ」
〜写真部・部室〜
「ああ、笙子ちゃん。遅かったわね」
「ごきげんよう、蔦子様。すみません、ロサ・フェティダに捕まってしまいまして」
「そう。…って、もしかして例のリスト見られた?」
「すみません」
「ああ、別にいいわよ。ただ、由乃さんが勘違いしてなかった?」
「勘違い…ですか?そう言えば、要は人気投票よね?とか言って落ち込んでました」
「やっぱし」
「違うんですか?単純に考えると、ある程度は反映してそうですが」
「そうね、ある程度は反映しているわね。ただ、由乃さんだけじゃないけど、
キャラクター的に写真とかを頼み易い人の分は、依頼が少ないってのもあるのよ」
「なるほど。そう考えると、菜々ちゃんは1年生ですし、キャラクター的にも頼み易そうですね」
「そういう事。ちなみに、志摩子さんと祐巳さんの依頼数が多い理由分かる?」
「ああ、ロサ・キネンシスは、キャラクター的に頼み易そうですから、ちょっと不思議ですね。
ロサ・ギガンティアは、イメージ的に話しかけづらいのが影響していると思います」
「志摩子さんは、その通りね。祐巳さんが多い理由は、瞳子ちゃんがいつも一緒に居るせいね。
あの姉妹は、まだまだ新婚だから近付けないみたい」
〜薔薇の館〜
部屋には、まだ黄薔薇姉妹しかいなかった。
「うわぁーん、みんなが、みんながイジメるの。キャラが変わりすぎで詐欺だなんて言うの」
(お姉さま、実は気にしてる!?)
「お姉さま、よしよし。私はお姉さまの味方ですし…わ、私はお姉さまの事全部ひっくるめて大好きですから安心して下さい」
それぞれの場面の登場人物は2人なので、テーマはクリアしているという事で、
お願いします。