【3705】 一発芸をしたいお願い事お一ついかが?  (Rosshi 2012-09-30 00:43:27)


【短編祭り参加作品】

「一発芸?」瞳子は訝しげに乃梨子に言った。
「最終的に学園祭での山百合会の催しが演劇になるのは構わない。でも私は敢て提案したいのよ」
「で、何をするの」
乃梨子はニヤリと笑って、
「由乃さまを先頭に祐巳さま、お姉さまの順に並んで、前の人に抱きつきながら大声でこう言うの、『薔薇のミルフィーユ!』」
薔薇さま3人を重ねてミルフィーユに見立てるとは。3人がきゃっきゃ言いながら押し合いへし合いしているところを妄、いや想像して・・・。遠のく意識の中で瞳子は言った。
「それ、本当に講堂でやったら、血の海になるわね」
「もちろん、薔薇の館限定よ」

 筒井環は、白薔薇の蕾・二条乃梨子を探していた。百が風邪で休んだため、プリントを貰いに行ったところ、白薔薇の蕾が準備していたと担任の先生が教えてくれたのだ。
薔薇の館へ行こうと非常階段の扉を開くと、紅く染まる踊り場で白薔薇の蕾と紅薔薇の蕾が、はなぢを流しながら沈んでいた。


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