※ ネタバレ全開の宣伝というか恒例行事であります。
「光の君、事件です!」
花寺学院の生徒会室にアリスが駆け込んできた。
「『お釈迦様もみてる オン ユア マークス』が2013年8月1日に発売予定です! まんが王では『2月14日。仏教系の花寺学院では、バレンタインは関係ないはずだが、みんな気になっている。男子校なのに、山のようにチョコレートをもらう柏木先輩のような人もいたり、アリスがクッキーを焼いてきたり。祐麒も姉の祐巳を見て、どこかソワソワしていたが…。』と私が光の君にクッキーを焼いてきてラブラブになる展開が予告されて――」
「おかしいだろ、それ。どこに柏木先輩とお前がラブラブになる要素があるんだよ?」
祐麒はかぶせ気味に突っ込んだ。
「まったく、福沢の言うとおりだ」
アンドレが続ける。
「優さまにチョコを贈りラブラブになる展開は俺のために用意されているというのに」
「おかしいですよ、それ!」
「福沢、確かに烏帽子子のお前にはやきもちの権利はある。だが、この日だけは、このバレンタインデーだけは――がふっ!」
興奮のあまり舌を噛むアンドレ。
「やきもちとかないですって! だいだい男同士じゃないですか! 小林、お前も何とか言って――」
祐麒は小林に振りかけたが、やめた。というより止まった。
「……祐巳ちゃんがこの俺にチョコをくれるという一大イベント。こんなむっさい男子校の一室にこもってないでスマートに祐巳ちゃんが渡しやすいようにリリアン前にスタンバイしなくては……だが、あまりあからさまにスタンバイしていて『学園祭でお見かけた小林さまですね? 私、ずっとあなたをお慕い申し上げてましたの』なんて別の子が渡してきたら……しかもそれが一度お見かけした三薔薇さまのようなお姉さまだったら、俺はどうすればいいんだ? そうだ、こういう時こそ傷つけない断り方を柏木先輩にご教授いただかなくては」
「……む、無駄な心配を……」
「まったく、君たちは何の心配をしているんだ」
柏木が呆れたように言う。
「ユキチのように当日僕にくれるチョコがうまく作れるかどうかの心配をしたらどうだ?」
「絶対に上げません! 渡しません!!」
強く否定する祐麒。しかし、柏木は微笑んだ。
「いや、そんなことを言っているが君は僕にチョコを渡すね。それも手作りのやつを」
「な、何を言ってるんですか? 俺をホモにしないでください」
「『マリア様がみてる イラストコレクション』によると君は学校に祐巳ちゃんの手作り(ただし失敗)を持ってくることになっているのさ」
「な、何を言っているんですか。原作者さんなんて蓉子さまのクラスが3年生の時椿組だったの忘れて、映画特典の小冊子に蓉子さまは3年松組って書いちゃうようないい加減な人ですし、『マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物』にはそんな記述ないんですから。俺は先輩にチョコをあげたりなんかしないんです」
「じゃあ、賭けようか。もし君がチョコを持ってきたら君の負けだ。そうだなあ、そのチョコを口移しで僕に食べさせてもらうよ」
「俺がチョコを持って来なかったら柏木先輩の負けですよ。その時はどうするつもりで?」
「その時はお詫びのキスをしてあげるよ」
「同じことじゃないですか! 俺はバレンタインデーは休ませてもらいます!」
「ふっ、BLに大きく舵を切ったこのシリーズでそんなつまらない展開があるわけないだろう。君は僕にキスをするよ」
「や〜め〜て〜く〜だ〜さ〜い〜」
祐麒がどうなったかは2013年8月1日に発売予定の『お釈迦様もみてる オン ユア マークス』を呼んで各自確かめてください。
……おかしい。私、『マリみて』好きなのに、なんで一生懸命BL小説の宣伝してるんだろう……