【短編祭りフライング作品】
紅薔薇コースを希望します
〜お姉様を探して〜
瞳子はいつもあなたを探しに駆け回ってばかりですわ
今日の昼休みもお姉様と弁当を一緒に食べようと思ってお姉様の教室に尋ねたけれどもいなくて学園中を探し回ったらお姉様は中庭のベンチに座っていた
「お姉様、ここにいたのですね」
「瞳子? どうしたの?」
「その……」
瞳子は弁当を後ろに隠した
「よかったら一緒に弁当を食べない?」
「お姉様がどうしてもって言うのでしたら構わないですわ」
「ありがとう、瞳子」
瞳子はベンチに座ると弁当の蓋を開けた
「瞳子のその弁当美味しそうだね、自分で作ったの?」
「そうですわ、お姉様の弁当も美味しそうですが自分で作られたのですか?」
「そうだよ、一口食べる?」
「そうですね……ではいただきます」
お姉様はたこさんウインナーを箸で挟むと瞳子の方に向けた
「あ〜ん」
「お、お姉様、自分で食べれますわ」
「あ〜〜ん」
「あ〜〜ん」
瞳子はお姉様が向けたたこさんウインナーを食べた
「瞳子のも食べていい?」
「はい、かまわないですわ」
「ありがとう、でも瞳子が食べさせてほしいな」
「えっ、瞳子が食べさせるんですか!?」
「そうだよ」
「その……」
「早くしないと昼休み終わるよ」
「うぅ……あ〜〜〜ん」
瞳子はから揚げを箸で掴むとお姉さまに向けた
「あ〜〜〜ん」
お姉様はそれを食べた
「うん、凄く美味しいよ」
「でしたら弁当を交換しますか?」
「ならお願いね、でも瞳子の弁当を私に食べさせてよ
その代わりに私の弁当は私が瞳子に食べさせてあげるから」
「本気ですか、お姉様!?」
「もちろん本気だよ、ほら早くしないと昼休みが終わるよ」
「わかりました、ここまで来たらやけですお姉様の言うとおりにしますわ」
お姉様に弁当を食べさせてもらって瞳子はお姉様に弁当を食べさせたそれは弁当が無くなるまで続いた
「ご馳走様、瞳子」
「瞳子の方こそご馳走様ですわ、お姉様」
「なら明日も瞳子もお願いね」
「まさか毎日続けるつもりですか!?」
「うん、そのつもりだよ、もしかして瞳子は嫌なの?」
「うぅ…お姉様はずるいですわ、そんな顔で見つめられたら断れるわけありませんわ」
「ありがとう、瞳子」
結局それはお姉様が卒業するまで続いた
瞳子はお姉様に振り回せてばかりだけれどもその代わりお姉様に色んな物をいただいてますわ
瞳子はお姉様に依存してると自覚してます
お姉様との日々がこの先も続く事を願わずにはいられませんわ
〜終わり〜