【3763】 頭が痛いのたうち回りました現在進行形で  (紫豆腐 2013-09-19 03:44:07)


【短編祭りフライング作品】

瞳子と一緒に薔薇の館の階段を上がると、おいしそうなにおいがする。
「ああっ、祐巳さん来ないで!」
「そうよ、祐巳さんは来ちゃだめ!今すぐ帰って!」
志摩子さんと由乃さんが叫ぶが、この状況では逆効果だということがあの二人にはわかっていないようだ。
瞳子と目配せして心を通じ合わせて、さっそく扉を開けて現場を押さえ…
テーブルから機械の腕のようなものが伸びてきて、あっという間に私と瞳子を拘束し、
強制的にテーブルの前の椅子に座らされてしまった。

「何これ」
志摩子さんと乃梨子ちゃんの前にはうどんの器が、由乃さんと菜々ちゃんの前にはラーメンの器が並んでいる。
「私たちにもわからないわ」
由乃さんはヤレヤレといった感じで目をそらした。
乃梨子ちゃんが説明してくれた。
「私たちも今の祐巳さまと瞳子のようにテーブルに捕まったんです。
そうしたらこれが出てきて、食べたら拘束が解けたんです。」
「乃梨子、うどんの方はかなりたくさんあるようだけど、そこまで食べなくてはいけないのかしら」
瞳子の疑問にも乃梨子ちゃんが答えてくれる。
「いや、1杯目を食べ終わっただけでその輪っかは外れた。たぶんノルマはそれだけで、
あとはおかわり自由みたい。食べたいと思ったら次のが出てくる仕組みらしくて、
私もおかわりしないといけないのかと思って1回やったところ」
すると乃梨子ちゃんの分が2杯だから、残りの7杯は全部志摩子さんか。
まだ食べるのに忙しいようで、会話に加わってこない。
根底は少食の由乃さんが1杯だけ、菜々ちゃんも2杯だが、
これはラーメンとうどんの1杯の量の差の問題もあるだろう。

「よし、じゃあとにかく食べちゃおう。私も瞳子も小腹がすいているから大丈夫だよ」
四人は不安そうに顔を見合わせる。
「何か心配があるの?すごくまずかったとか」
「いえ、とてもおいしかったです。ただ問題は、お二人に対して何が出てくるかなんです」
「菜々ちゃん、意外に心配性だね。このパターンからすると次は蕎麦が大本命でしょ。
違ったとしても変な物は出てこないと思うよ」
「その方向だったらいいのですが…」

部屋の奥の陰から別の機械が腕を伸ばして、私たちのメニューを運んできた。
唐辛子の粉をたっぷり練り込んだ、真っ赤な麺が…
私たちの地獄は今始まる。

・・・・・・おまけ・・・・・・

そのころイタリアは朝だった。
「おはよう、静。あれ、どうしたの。イカ墨パスタなんか食べて」
「突然出てきたのよ。あるからには食べないといけないような気がして」


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