これは、作者:水『狸の罠にかかったツンデレ【No:455】』の続きなのだった。
『単なる焼き直し』とも人(私)は言う……
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教室に入ると。
瞳子がまたまたイっちゃってた。
「あんた…… こりねえな……」
「あ、乃梨子さん! こちらへいらして!」
中庭へと連れ出された。
「何の用? どんな面白イベント?」
なんか寒さも気にならない。
「面白イベントではなく素敵なイベントですっ。 乃梨子さんに、ぜひともご報告させて頂きますわっ!」
うれしはずかしどころか目が血走ってる、といった風だ。
「ふーん、で、今日は?」
「これを、頂戴いたしましたあぁぁぁっ!!」
そう言って胸元から取り出した面白グッズは。 あれ? 割と『ロザリオ』っぽく見える。 やっぱでかいけど……
「今朝マリア様の像の前で祐巳さま、いえお姉さまとバッタリ出くわしまして、瞳子はもう諦めておりましたが、『これ瞳子ちゃんの首に掛けるね』とお姉さまがこれを瞳子の首に掛けてくださって――――」
夢よどうか覚めないで、って感じで語り続ける。 ホントに嬉しそうだ。 たぶん夢だけど。
「――ただ、その後『お姉さま』と呼んでも振り向かれなかった時は、泣きそうになりましたがって、聴きなさいっ!! 乃梨子さんっ!!」
「むしろ泣け。 それより瞳子」
「なんです?」
「ここのお猪口みたいの何?」
『ロザリオ』の下部を指し示す。
「あ、詳しく伺っても分かりませんでしたが、なんでも『LE−5B』のミニチュアが収まっているとか。 その説明書も一緒に頂きましたわ」
言いながらポケットから説明書を取り出し、おもむろに準備を始める。
「よっしゃ……」
瞳子の顔は期待に満ち溢れて。 乃梨子の胸の内も、めちゃくちゃワクワクしていた。
乃梨子が見てると、瞳子は『ロザリオ』を鎖の根元近くで分割して外し、地面にそっと立てた。 その後、鎖に残った部分を握り締めている。 おそらくリモコン。
「これで良いのですわよね……」
説明書を読みつつ瞳子がリモコンを操作すると、『ロザリオ』の下部から何か出てきた。
白煙。
「「うをっ?」」
声を揃えるふたりを尻目に『ロザリオ』は煙を上げる。 リモコンの『停止』も受け付けないようだ。
見守るふたり。 『ロザリオ』は勢い良く煙を上げて。
その場でいくらか振動した後。
「ドンッ!!」
天空へと一気に消え去った。
呆然と見上げるふたりの元に、何かがタシタシと歩いて来る。 小型の哺乳類のようだ。
獣は瞳子の靴のうえにチョンと前足を置いて。 その様子を窺っていると。
「ニャ〜ン」
と一声鳴いた。
そのあと夜のニュースで、気象衛星が太平洋上に墜落したと、キャスターが言っていた。
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作者:水『ロザリオを汗が伝う【No:470】』に続く