作者:水『右手にロザリオゼンマイ駆動【No:374】』の、続きなのです。
単なる焼き直しとも言う……
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教室に入ると。
瞳子がまたイっちゃってた。
「あんた…… 今日はいったい……」
「あ、乃梨子さん! こちらへいらして!」
中庭へと連れ出された。
「何の用? ここ寒いよ」
朝晩かなり凍える季節。
「そうお手間は取らせませんわっ。 乃梨子さんに、ぜひぜひご報告したいことがっ!」
うれしはずかしイヤンバカ〜ン、といった風だ。
「ふーん、で、なに?」
「これを戴いたのですぅっっっ!!」
そう言って胸元から取り出したブツは。 そう、『ロザリオ』風の物。 左右の『腕』が薄い造りになってる。
「今朝マリア様の像の前で祐巳さまがお待ちになっていて何の御用かしらと思いましたら瞳子ちゃんにあげるよと祐巳さまが、あ、いえ、おおおお姉さま、がこれを瞳子の右手に握らせてくださって――――」
一心不乱に熱く語り続ける。 ホントに嬉しそうだ。 泣ける。
「――で首に掛けてくださらなかったのは信じられませんでしたけれどって、聴いてください!! 乃梨子さんっ!!」
「あんたが信じられないって。 それより瞳子」
「なんです?」
「このスイッチなに?」
『ロザリオ』の中心を指し示す。
「あ、詳しくは伺いませんでしたが、なんでも改良してモーター駆動なのだとおっしゃっていましたわ。 省電力長時間動作なのだそうです」
言いながらポケットから単四電池を取り出し、おもむろに取り付け始める。
「ほほう……」
瞳子の顔は期待に満ち溢れて。 乃梨子の胸の内も、ある意味ワクワクしていた。
「これで良いですわね……」
取り付け終わって瞳子がスイッチを入れると、『ロザリオ』の『機首』から何か生えてきた。
ちっさいプロペラ。
「「あ」」
声を揃えるふたりを尻目に『ロザリオ』は飛び立ってゆく。 ネックレスの戒めからも解き放たれて。
見上げるふたり。 『ロザリオ』は勢い良く高度を上げて。
上空でいくらか旋回した後。
「ブゥ〜ン……」
飛び去った。
呆然と見送るふたりの元に、誰かがスタスタと歩いて来る。 大型の女生徒のようだ。
彼女は瞳子の肩のうえにポンと手を置いて。 彼女が何か言うのを聞いてみると。
「いいの? あれ」
と空を指差した。
それから一週間後、乃梨子は真っ黒に雪焼けした瞳子に出くわして。
『ロザリオ』捜索中に槍ヶ岳で遭難した所を祐巳さまが助けに来てくれた、と熱っぽく語られた。
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作者:水『地球は青かった【No:456】』に続く