「ごっきげんよう」
「ごきげんよう、三奈子さま」
「真美はいるかしら」
「いえ、ちょうど取材中です」
「そう。……………ときに、日出実さん」
「はい」
「先だっての茶話会で、参加者として取材するのが不満だったそうね」
「だ、誰がそんなことを?」
「真美から聞いたのよ♪」
「!」
「わたしはあの娘の判断は正しかったと思うわよ」
「別にお姉さまが間違ってるなんていうつもりありません」
「ふふ。じゃ、どんな…」
「何いってるんですか、お姉さま」
「あら、帰ってきたのね」「お姉さま」
「日出実にかまうのはやめてください」
「かわいい孫のことを気にするのは当然じゃないの」
「大体、あのときのことは…」
「お姉さまは口を出さないでください。これはわたしと三奈子さまの問題です」
「日出実…」
「あら、いいのかしら?日出実ちゃん」
「お姉さまの話なら二人のときにきいたらいいじゃないですか。大体、三奈子さまは、去年の三奈子さまのふるまいで取材にどれだけ支障が出て、お姉さまが心を痛めているかご存知なんですか?」
「そうだったの?真美」
「え、いや、それは…」
「だから、そこでお姉さまに聞くのは卑怯です」
「ふう…」
ため息をつくと真美は、現在リリアン中の同様の事態の原因たる今回の記事へと目が向いてしまった。
『黄薔薇のつぼみ奮闘記〜妹(予定)をこうしてゲットした』
「まさか、三年生のほうが食いつくなんて…」
「祥子お姉さまの意地悪ー」
折しも、風の運んできた叫び声をききながら、
「三年生が一年生に甘いって伝統もこれで終わりかな…」
そんな考えにふけるのだった。