ここは私のいう、いわゆる『森の中のホテル』
「由乃さん!! 僕、あなたには絶対負けませんからね!! ぼ、僕は、来週にする心臓の手術、これが終わったら、貴方から令さんを奪いに行くんです、だから!!
その、あの、そ、そして、ゴニョゴニョ、なんですよ。」
心臓・・・ なるほどね。
「ふっふっふ!!・・・ オコチャマの分際で私の令ちゃんに横恋慕しているんだ?
身の程知らずとはこのこと、あなたに 私から令ちゃんを奪えるかしら? 片腹痛いは!! 私同様、健康体になったら掛かってきなさい!!
おっ〜〜〜〜〜〜 ほっほっほ、おほほ、ほっほっほっ〜〜〜い !!」
「クッ 負けるか!! あ〜〜〜〜はっはっはっは・はっ・・ ゲホゲホ!!」
あら!? 心臓だけでなく、肺の障害も併発してるのかしら・・・ ふん!! がんばってるじゃない!! 最高よ!! 本当にがんばりなさい!!
「でも、無理ね、 だ・め・よ・ ボクちゃん にひひ!! 令ちゃんは私メロメロなの、それになんと言っても、私は手術が終わってる、いい、貴方にとっては私はスーパー由乃なのよ、通常の3倍(?)なのよ、勝ち目があるとお思い? それに、あなた、手術怖いんでしょう?」
「チクショウ!! バカにするな!! 僕は手術なんか怖くない!! それに、手術が終わればボクは10倍になるんだぞ(?)絶対勝ってやるんだから!! そして、お前にも勝つんだ!! て、いうか、楽勝なんだからな!!」
ほんと、昔の私にも言ってやりたい言葉ね・・・
「なるほど、えらい、よく言った!! でも、ボクちゃん、貴方が帰ってくる頃には令ちゃんの全ては私のものになってるかも? そしたらどうする?」
「奪い取ってやるさ!!」
「あら、穏やかじゃないはね。」
「出来るのかしら?」
「絶対、出来るさ。」
「ホント、楽しみ ♪ 期待して待ってるはね。」
「 いつか『ギャフン』 と言わせてやる。 」 ギャフンとは、なんとも古典的でいいじゃないの。
「ホントに、令ちゃんが好きなのね?」
「・・・・・」
「あら? お顔真っ赤よ、照れちゃってホント、可愛いはね♪」
「・・・・・」
チュッ!!
私は小さな紳士の頬に軽くキスをした。
「な・な・な!! 何をする、です、うを!?」
「べっつ に〜〜〜 およ? てれちゃった、発情しちゃった、 こんな美人なお姉さんにチッスされて。」
「むっき〜〜〜〜 !! 」
「うるさい、こ、この、変態バカ女〜〜 !!」
「な、なんじゃと〜、この、色ガキ〜〜 うが〜〜!!」
まあ、そんなこんなもあったりなんたり、今は昔。
その後、私たちはとても力強い握手を交わし分かれた。
帰りの電車の中。本能が危険を告げた。 (ピコーン・ピコーン。 危険信号音発令中)
今更ながら物凄いことに気づいた、 そう言えば今日は菜々が居たんだ・・・ やばい!!というか、ほとんどほっぽといてました。(て、ゆうか完全忘却)
すごい目で睨んでいる 菜々!! かなり・・・ こわひ・・・
「な、 菜々・・・ちゃん?」 私は静かに語りかけた。 な・な・・・
「ごめん、菜々、本当にごめん。」 菜々はこっち向いてくれない。 なんだか身体をプルプル震わせている。
「由乃さまは・由乃さまは・・・」
「菜々!? 本当にごめん、 ね!! 落ち着いてお願い ・・・って !?」 んあ?
「由乃さまは・・・ 私より、あんなオコチャマがいいんだ〜〜 うわ〜〜ん〜〜 由乃・・・ 由乃さまの・・・ おヴァ〜〜〜 か〜〜〜〜〜 !! 」
わんわん泣きながら、竹刀を振り回し、(て、何処に隠してたのよあんた!!)まるで小型台風のように暴れまわる菜々。
「菜々・・・ お、落ち、ご、ごめ、やめ、 ぶ!! 」
菜々の竹刀を受け、ぶっ倒れる由乃を見ていた(たまたま乗り合わせていた数人)リリアンの生徒は、声を合わせていった。
『やっぱり、これって、黄薔薇ファミリーの伝統・・・なのかしら?』
なんてゆうか、それは誰も知ってはいけないことだと思うよ。たぶん。 (れ○ちゃんからのお願い。)
数年後・・・
世界剣道選手権大会決定戦・決勝戦(男女無差別級)
「今度こそ、今度こそ!! ギャフンと、言わせにきましたよ。 由乃さん。」
「ふん!! まだまだ、甘チャンな坊やには負けないはよ。」
「まったく、いつまで経っても、なんでこんなにオコチャマなんでしょう、この2人は」 ふう〜 と、ため息をつく審判。
「うるさい!! 開始の合図はまだなの!! 菜々!! 」 ギリギリ
「 お姉さま、私は、今は主審なのですから、名指しはおやめくださいな。 」
「だったら、早く始めなさい・・・ 」 ギリギリ
「判りました・・・ 」 始め!!
スパ〜〜〜ン
少しの時間の後、とても軽快な音と、声が響いた、
『 面!! 一本!! 』