【663】 陰謀弱肉強食  (ケテル・ウィスパー 2005-09-29 11:45:25)


瞳子
「と言うわけで、なかなかよさそうなのが出ましたので、こっちで乃梨子さんの霊視をお送りしますわ。 何人が期待しているか分かりませんけれど」
乃梨子
「帰ろうか?」
瞳子
「そういうわけにもまいりませんでしょう? え〜と、信康は家康に対する不満、憤りがあったとのことですわね? と言うことは、武田勝頼と内通していたのですか?」
乃梨子
「……してないね。 『この人が生きていれば、歴史が変わったかも知れないって言うくらい聡明な人』とも言ったでしょ? 勝頼の器は見抜いてるよ。 殺されたのは……内部事情かな?」
瞳子
「内部事情ですの?」
乃梨子
「今川の血を引いていて、武将としての風貌も器も申し分ない信康の周囲には、反・信長グループが集まるでしょ? 家康の親・信長を支持する家臣団は警戒を強めるわね。 徳川としては武田氏や北条氏と言った強敵に対抗するためには、信長との同盟は最優先事項でしょ」
瞳子
「と言うことは……織田方からの圧力ですの?」
乃梨子
「言葉にされていないけれどね。 もう少し徳川が強かったら。 あるいは信康が周囲に目を向けて、うまく立ち回ったら命を落とすまでには到らなかったかもね。 母親譲りの貴族的プライドの高さが死に至らしめたのかもね。 …………母子の恨みって強いわ……。 信長って結局天下を取れなかったはずだわ」
瞳子
「あら、本能寺の変は母子の恨みも含まれていますの?」
乃梨子
「強いよ〜〜、この恨み……」

参考:ソノラマMOOK『霊能者・寺尾玲子の新都市伝説 闇の検証 第四週』


一つ戻る   一つ進む