【699】 猫が寝込んだ猫が寝込んだ  (朝生行幸 2005-10-06 22:19:09)


「なーんちゃって、なっはっはっは」
「…それがどうしたの?」
「…それってゴロンタのこと?」
「…いや、なんでもない」
 あまりにも冷たい仕打ちの二人、紅薔薇さまと黄薔薇さまの反応。
 白薔薇さまこと佐藤聖は、思わず意気消沈してしまった。

「うーむ、ベタ過ぎたか。他には、猫が寝転んだ…一緒か」
 “白いネタ帳”と名付けられた、最初のページ以外真っ白なノートを前に、普段はあまり使わない脳をフル稼働させる聖。
「さっきから、何をブツブツ言ってるの?」
 前の席に座ったクラスメイトの佐々木克美が、呆れたような口調で尋ねてくる。
「うーん。いやさぁ、“猫が寝込んだ”って言っても、誰も笑わないのよ」
「…当たり前じゃないの」
「貴方までそう言う?」
「じゃぁ、とっておきを言ってみなさいな。私すら笑わせられないようなら、山百合会には通用しないわよ」
 二人は、クラスメイトたちが様子を窺っていることに気付いていない。
「よし、それじゃとっておき。ヘソで茶沸かすんじゃないわよ」
「随分強気なのね。さぁどうぞ?」
「行くわよ」
 何故か緊張とともに、静けさに支配される藤組。

「ゴロンタが寝ごろんた!!!」

 ゴロンタではなく、聖を除いた藤組全員が寝込んだ。


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