「なーんちゃって、なっはっはっは」
「…それがどうしたの?」
「…それってゴロンタのこと?」
「…いや、なんでもない」
あまりにも冷たい仕打ちの二人、紅薔薇さまと黄薔薇さまの反応。
白薔薇さまこと佐藤聖は、思わず意気消沈してしまった。
「うーむ、ベタ過ぎたか。他には、猫が寝転んだ…一緒か」
“白いネタ帳”と名付けられた、最初のページ以外真っ白なノートを前に、普段はあまり使わない脳をフル稼働させる聖。
「さっきから、何をブツブツ言ってるの?」
前の席に座ったクラスメイトの佐々木克美が、呆れたような口調で尋ねてくる。
「うーん。いやさぁ、“猫が寝込んだ”って言っても、誰も笑わないのよ」
「…当たり前じゃないの」
「貴方までそう言う?」
「じゃぁ、とっておきを言ってみなさいな。私すら笑わせられないようなら、山百合会には通用しないわよ」
二人は、クラスメイトたちが様子を窺っていることに気付いていない。
「よし、それじゃとっておき。ヘソで茶沸かすんじゃないわよ」
「随分強気なのね。さぁどうぞ?」
「行くわよ」
何故か緊張とともに、静けさに支配される藤組。
「ゴロンタが寝ごろんた!!!」
ゴロンタではなく、聖を除いた藤組全員が寝込んだ。