【768】 行くべき道  (琴吹 邑 2005-10-24 21:38:48)


がちゃSレイニーシリーズです。

『舞台女優前後不覚応援キャンペーン  【No:748】』の続き。
『永遠と決めた明日につながる今日  【No:760】』にて、ROM人さんの示された分岐を表示。

     †     †     †

「結婚式ね。」
「ぎゃう。ゆゆ祐巳さまいきなり抱きつかないでください!」

. 〆 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ☆ さて、瞳子はどうする?

|    祐巳さまから逃げ出す。     → 『永遠と決めた明日につながる今日  【No:760】』
|  >.じっとしている。
|    悲鳴を上げ、警察に突き出す。
|    振り向いて、唇を奪う。      → 『恋は一瞬愛し合うデスティニー  【No:769】』
|    怪しげな踊りを踊る。.       → 『絢爛舞踏スキャンダラスな貴女  【No:763】』
|    白ポンチョミラクルターン。    → 『エチュードもう迷わない  【No:766】』 
|    泣き出す。

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 祐巳さまに抱きしめられていた。いつもみたいにじゃれ合い、という感じではなく、私を引き留めたいという強い意志を感じて、私はゆっくりと力を抜いた。


 何も話をしなかった。何か話をしなければいけないと思っているのだけれど、言葉が出なかった。
 もう決心したはずなのに。その決心した言葉さえ、祐巳さまに伝えることが出来なかった。
 祐巳さまも、何から話して良いのか、迷っているようで、ただじっと、私を後から抱きしめていた。

 だから、私たちは自然と、目の前で執り行われている結婚式の様子を見つめていた。

 参列者のおめでとうという声が、響く中、幸せそうな顔をする二人。
 ちらちらと雪が舞う中でライスシャワーがまかれ、新婦さんが一段高いところに立った。
 一呼吸置いてあたりを見渡した新婦さんと目が合った。すると、その新婦さん何故かとびきりの笑顔を私に向かって投げかけたのだ。
 そして、新婦さんは手に持っていたブーケを中空に放り投げた、それは綺麗な放物線を描き、雪を舞い踊らせながらぱさりと、私の手の中にすっぽりと収まった。

「あーいいな、いいなー瞳子ちゃんちょうだい」
「だめです。これは瞳子がもらったモノです」

 そのブーケは僅かな時間、この騒動が起こる前の私たちの関係を取り戻させてくれた。


 ブーケを受け取ってしまった手前、私たちは成り行きで、新郎新婦の出立を見送った。
 やがて、結婚式の参列者も、三々五々帰っていき、教会に私と祐巳さまだけ取り残された。
 雪が舞う中、私たちは向かい合って立っていた。

「遅くなっちゃったねえ……怒られちゃうかな?」
「そうかも知れませんね。祐巳さまは」
「え? 私だけ?」
「瞳子は早退届出していますから」
「そっか……カナダ……」
 そういって、祐巳さまは口をつぐんだ。そして、一度大きく息を吐くと、しっかりと私の目を見ていった。
「放課後時間ちょうだい。話したいことがあるから、どうしても、瞳子ちゃんに言わないといけないことがあるの」
「………」
 私は祐巳さまに背を向けた。
 多分今回の事件の話なんだろうなと思う。でも、今更だなと思う。だって祐巳さまは複数人妹を持っているのだから。
 そして、これは、瞳子のちっぽけなプライドでしかないのだけど、祐巳さまの本当の特別で無いのなら、祐巳さまの妹になりたいとは思わなかった。
 だからこそ決めたカナダ行きだった。
 それでもかまわず祐巳さまは言葉を続けた。
「放課後、古い温室で待ってるね。来るまで待ってるから」
 私は、その言葉に返事を返すことはしなかった。
「最後に一つだけ。私は、妹を作っていないから………それじゃあ、後でね」
 私はその言葉に振り返ったが、祐巳さまの背中は舞い落ちる雪の向こうに霞んでいた。

「祐巳さま……」

 私は空を見上げ、雪の舞い落ちる様をじっと見つめていた。


【No:774】に続く


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