「かしらかしら」
「たりないかしら」
放課後の椿組の教室、たりないというならお前らの頭・・・げふんげふん、ほわほわと美幸さん、敦子さんがやってきた。
「乃梨子さん、私達乃梨子さんに個性が足りないのではないかという結論に達しました」
「はぁ?」
しかも私の目の前に突然瞳子と可南子さんが現れこうほざきやがったのだ。
別に私はあんたらのような、ほわほわコンビやドリル頭、のっぽストーカーなんて個性は欲しくない!
と、叫びたいところだが我慢して先を促した。
「いきなり結論を出したってのはともかく、私のどこが個性が足りないって?」
「まず、その言葉遣いですわ。優雅さというものがありません。
リリアンの淑女としてもっと私達のように柔らかく、淑やかにお喋りできませんの」
「かしらかしら」
「できませんのかしら」
いや、お前らのは優雅というより古臭いって。
「私は庶民だからね。可南子さんも似たようなものじゃない?」
「私は乃梨子さんほどフランクではありません。常に礼儀正しくあるつもりです」
いや、あんたのは慇懃無礼ってやつだろ。
「というわけで、乃梨子さんにもより個性的な言葉遣いをして頂きたいと」
「瞳子さんのような旧時代の遺物になる必要はありませんが」
「可南子さんのように冷血漢になる必要もありませんわ」
おいおい、あんたら仲間じゃなかったのかよ。
「喪前らもちつけ」
『・・・・・・は?』
「個性的に喋れつったのは喪前らだろ(゚Д゚)ゴルァ!!」
「の、乃梨子さん?それはどちらの地方の言葉遣いなのでしょう?」
「お前らは本当に個性というものが解っているのかと問いたい。
問い詰めたい。小1時間問い詰めたい」
よしよし、瞳子達は混乱しているようだ。そうだろう、リリアンのお嬢様達がこんなネット世界のスラングなんて知るわけがない。
いつもいつも振り回されるだけじゃ芸がない。たまにはこいつらを困らせてやるのも良い気分だ。
って、あれ?なんで瞳子達は私の後ろを見てるんだ?
「・・・乃梨子」
「へ?しまこたん?ガ━━━━(;゚д゚)━━━━━ン !!!」
「乃梨子が壊れた・・・」
志摩子さんはクルリと身を翻らせると涙を流しながら走り去って行った。
おバカ連中に付き合っていて志摩子さんが来ているのに気が付かなかったとは、一生の不覚・・・il||li _| ̄|○ il||li