ツンツンがお好きなお方
Aコース 【No:861】→【No:860】
デレデレがお好きなお方
Bコース 【No:860】→【No:861】
「るんるんるん♪」
薔薇の館から蝶ごきげんな鼻唄が聞こえてくる。
「今日の瞳子ちゃん、可愛かったなぁー♪」
その正体は紅薔薇のつぼみこと、福沢祐巳である。今日も後輩である松平ドリルンをおちょくってきて、テンションMAX、ご満悦じゃ〜、という感じで蝶ごきげんであった。
「ごきげんよう、祐巳さま。今日は一段とごきげんですね。」
「あっ、乃梨子ちゃん。ごきげんよう♪」
そこに、白薔薇のつぼみこと、二条乃梨子がやって来た。
「今日は何かいい事があったんですか?」
乃梨子がたずねると、祐巳は元気一杯に話始める。
「うん、さっきね、瞳子ちゃんに抱きついたんだけど、少し低い位置で抱きつく形になっちゃってね。その時に私のほっぺと瞳子ちゃんのほっぺがくっついてね、その時の瞳子ちゃんたら、顔真っ赤にしちゃって、それがもう可愛いくて、思わず瞳子ちゃんのほっぺを、つんつんってしたら、また真っ赤になってね、それがホントに本来に可愛いくってねー」
脳みそが半分溶けております。
そんな祐巳に乃梨子はため息をついて、(そんなに可愛いなら妹にすればいいのに)と心の中で呟く。だが祐巳はそんなのおかまいなしに「ねっ?乃梨子ちゃんも可愛いと思うでしょ?」と聞いてくる。
「瞳子はツンデレですからねー」 半ばやり投げぎみに答える乃梨子。そんな乃梨子の言葉に、祐巳は何やら考え込んでいる。
「ツンデレかぁ〜。じゃあツンドリな瞳子ちゃんもあるのかな〜」
ツンドリ…一体何処からその発想が出てくるのだろうか。
「あのツンドリな瞳子ってなんですか?」
「いっつもツンツンしながら、ドリドリ言ってる瞳子ちゃんだよ。」
言われて少し想像してみる。
(ツンツンしててドリドリ言ってる瞳子かぁ)
ツンツンドリドリ
「くくっ」
「ねっ、面白いでしょう?」
思わず笑ってしまった乃梨子に祐巳が笑顔で聞いてくる。
「ええ、とても面白いですね。」
「だよねー。」
そして二人は皆が来るまでツンドリ話に花をさかせたという。
ドリュン!
「ん?」
「どうしたの、乃梨子ちゃん?」
「今、何か音が……」
「そう?私は何も聞こえ無かったよ。気のせいじゃない?」
「そうですね。」
「でさー、そのツンドリな瞳子ちゃんは―――」