がちゃS・ぷち
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No.2658
作者:アリとキリギリスのキリギリス
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2008-06-21 23:34:25
萌えた:1
笑った:15
感動だ:21
『いつまでも沈まぬ太陽みんな目が輝いてる』
スーパー祐巳ちゃん 科学者編
【No:2646】→【No:2647】→【No:2652】→【No:2655】の続き
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水曜日の物思いA
「祐巳(ちゃん・さん)!?」
驚いたように一同は声を上げた。
そりゃ驚きもするわな。
倒れた祐巳を迎えに来たのが祐巳なんだから。
「イエ。ワタシハユミデハアリマセンヨ?」
何故か片言でおどける祐巳。明らかに挙動不審であった。
その上、変装なのか、帽子にマスクなどという格好をしている。
一見、変態だ。
しかしどう見ても祐巳にしか見えない。
「いや、祐巳ちゃんでしょう?」
「いえ。私は祐巳の妹のユウキです」
「いや、祐巳ちゃん。ユウキって弟さんだよね?」
「ど、どうしてそれを!?」
「昨日、祐巳ちゃん自身が言ってたじゃない。弟がいるって。
名前は聞かなかったから鎌かけてみたんだけど、やっぱり祐巳ちゃんなんじゃない」
「くっ・・・!」
聖の言葉に、祐巳は喉を詰まらせた。
その時。不意に、後ろから帽子とマスクが剥ぎ取られた。
「うわっ?!」
驚いて後ろを見てみると、そこには、帽子とマスクを握り締めながら満面の笑みを浮かべた蓉子がいた。
「どういうことなの?祐巳ちゃん。説明してくれないかしら」
優しい口調とは裏腹に、絶対逃がさないとばかりに蓉子は詰め寄った。
こ、こわい・・・助けて!
祐巳は周りを見渡すが、誰も助けてくれそうにはなかった。
それどころか、皆、祐巳に詰め寄ってきたではないか。
「どういうことなの?祐巳(ちゃん・さん)!」
「ひぃ!」
祐巳は恐ろしさのあまり、悲鳴を上げた。
基本的に祐巳はいい子だ。面と向かって嘘はつけない。
あぁ・・・逃げられない・・・・・・
祐巳は観念したかのように、ぼそぼそと説明を始めた。
これはYU-MIXx2TYPEと名付けたロボットである、と。
今日はうっかりと充電を忘れてしまったため、YU-MIxx2TYPEは電池がなくなり動かなくなったのだ、と。
実は学校に通っているのは、ほとんどYU-MIxx2TYPEであった、と。
・・・・・・
「祐巳ちゃんは学校が嫌いなの?」
色々聞きたいことはあるが、まずは、と蓉子が問いかけた。
「いえ、嫌いではありません。むしろ好きです」
「だったら何で?」
「何と言いますか・・・そのぉ、
制服を着たり髪を整えたりして家を出るのがめんどくさいと言いますか・・・
来たら来たで楽しいのですけどね。ははは」
気まずそうに笑う祐巳を、皆呆れたように見つめた。
「それにしても凄いわね。どう見ても人間よ」
褒める蓉子に、「でも重さは尋常じゃなかったみたいだけどね」と聖がおどけて言った。
「これ、本当に祐巳さんがつくったの?」
「あぁ・・・うん。そうだよ」
「どうかしたの?祐巳さん」
由乃の問いに歯切れ悪く答えた祐巳。
そんな祐巳の態度を不思議に思い、志摩子が尋ねた。
「あの・・・・・・皆さんにお願いが・・・」
祐巳は気まずそうに言った。
「あら、何かしら?」
「こんなこと、お願いするのはどうかとは思いますが・・・YU-MIxx2TYPEのことは誰にも言わないでほしいんです」
「そうね。バレたら停学・・・いえ、もしかしたら退学になるかも知れないものね」
「いえ、そういう意味じゃなくて・・・あ、もちろん退学なんてもっての外ですが。
人型のロボットってまだつくられていないんです。
もちろん、生活に役立ててもらうためだけに使ってもらえるなら私も発表しても構わないのですが・・・
世の中には悪用する人もいるわけでして・・・」
「祐巳ちゃん・・・」
しどろもどろの口調とは裏腹に、しっかりとした考えを持っている祐巳に一同は驚いた。
しかしだな、祐巳自身が悪用していなかったか・・・?
「蓉子、聖。ちょっと」
何故か今まで黙っていた江利子が手招きをした。
「何?江利子」
「いいから、耳貸して」
三人はこそこそと話し始めた。
何を喋っているのか・・・残された祐巳たちには聞こえなかった。
「いいわね。乗ったわ」
蓉子がそう言うと、三人は再び祐巳の方へと向いた。
そして、不敵な笑みを浮かべながら祐巳に詰め寄った。
「な、何でしょう?」
なぜか目を輝かせている江利子たちに、祐巳は恐怖を覚えた。
「祐巳ちゃん。やっぱり山百合会の人間として、あなたの行動は無視できないわ」
「黄薔薇さま!?それじゃあ祐巳さんが退学に・・・!!」
「そうね。黄薔薇さまの言うとおりだわ」
「お姉さま!?祐巳をどうなさるおつもりですか!」
「祐巳ちゃんには罰を受けてもらいましょう」
「白薔薇さま・・・?い、一体、何を・・・?」
祐巳は恐る恐る聖に聞いた。
それに答えたのは、蓉子だった。
「今後は必ず祐巳ちゃん自身が学校に来ること。ロボットは禁止」
「紅薔薇さま(お姉さま)・・・!」
蓉子の思いがけない一言に、祥子、令、由乃、志摩子は安堵の息を漏らした。
「それから、とりあえず祐巳ちゃんには劇に出てもらうから。
もちろん賭けは続行中。祐巳ちゃんは、賭けに勝っても負けても劇に出ること」
「えぇ!?」
どうしてそっちに話がいくのか・・・祐巳は引きつった顔で聖を見つめた。
「役柄はどうしようか」
「姉Bでいいんじゃない?」
「そうね。台詞も少ないし、丁度いいんじゃないかしら。
祥子も覚えておいてね。祐巳ちゃんを妹にできた時は、祥子に姉Bをやってもらうから」
「わかりましたわ、お姉さま。
いいこと。祐巳」
祥子はぴしりと祐巳を指差して言った。
「私は必ずあなたを妹にして見せるから。シンデレラはあなたがやるのよ」
「そ、そんなぁ〜・・・!!」
こうして祐巳の波乱万丈なスクールライフは始まった。
(コメント)
アリとキリギリスのキリギリス >科学者編、とりあえず終〜了〜!ということで・・・読んでいただき、感謝です ^^;(No.16605 2008-06-21 23:43:22)
K2A >え 続きはないんですかぁ もっと読みたいです せめてエピローグ編でもお願いします。(No.16606 2008-06-22 03:03:23)
24番 >続きを読みたいです。続編をお願いします。(No.16608 2008-06-22 07:46:06)
ケテル >”科学者編”が取りあえず終了なんですね。 と言うことは続編もあるということですね、”瞑想開眼編”とか”超速乱舞編”とか^^(No.16609 2008-06-22 13:18:45)
非魔人 >このまま終わってしまうのは惜しい…実に惜しすぎるぞぃ!可能な限り続けて欲しいもんじゃのぅ(No.16612 2008-06-22 23:39:16)
アリとキリギリスのキリギリス >ぞ、続編ですか?・・・うーん。いちおー考えてみます! 心温かきお言葉に舞い上がり、あっさりと前言撤回 ^^;(No.16620 2008-06-24 22:25:34)
通りすがり >おもしろかったです。ストパニクロスの話も期待してます(No.16834 2008-08-04 21:54:15)
ノクターン >ぜひとも、続編を書いてください!すっごく続きの気になるお話です(^−^)ノシ(No.17284 2009-01-30 20:35:10)
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