がちゃS・ぷち

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No.1099
作者:ケテル・ウィスパー
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2006-02-09 01:01:57
萌えた:3
笑った:3
感動だ:2

『使用上の注意妹をバックアタック』

【No:1074】
 ↓
【No:1081】
 ↓

〆―――――――――――――――――――
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|☆さてどうする?
|
┣ 『気づいた時には     【No:1074】
┣ 『負けじ魂増殖      【No:1081】』 (めにゅう)
┣ 『ためらわない君の首筋に【No:1091】
|  ????
|  ????
|>抜刀する
|

☆〔抜刀する〕

――――†――――†――――†――――

「分かったわ」

 菜々の、止めと言える台詞を聞いあ後、由乃はそう呟いた。
 その表情には、さっきまでの戸惑いはない。そして、何らかの決意を秘めた表情で、こう続けた。

「それにしても、貴方も大した事ない人だったのね。」
「は?」

 明らかに攻撃的な言葉に、菜々は眉をひそめて、少し睨みつけるように由乃を見る。だが由乃はその視線を無視して、続ける。

「大した事ない、って言ったのよ。たかがスール程度の環境に置かれたぐらいで、自分の世界が狭くなるなんて、底が知れてるわね。」
「……………」
「私も見誤ったわ。アドベンチャー好きって言うだけで、貴方を過大評価していたみたい。ごめんなさいね。貴方、案外普通の人だったのね。」

 強い口調で続ける由乃に、菜々は由乃を本格的に睨みつける。

「ええ、私は案外普通の人なんです。だから、普通じゃ無い事にこだわるんです。それが何か?」
「別に。ただ、私は貴方にだけは文句を言われたくないと思っただけよ。」
「……どういう意味ですか?」

 由乃の言葉に、菜々は怪訝な顔をして問掛ける。

「私だって、自分の事ぐらい薄々感じてはいたわよ。 だから、変わろうとしているのよ。親友を支えて、親友に支えられて、もっと強くなる為に、令ちゃんが居なくてもいいように。 たとえ今は、私のそんな様子が虚構であったとしても、私はいつか必ず、実軸にしてみせるわ。 だけど、貴方は、自分が普通である事を認めて、それ以上成長をしようとしていないじゃない。 普通でない事を周りばかりに求めて、普通でない周りに身を置く事で自分を安定させている貴方に、とやかくは言われたくないわ。」

 そう言って、由乃は静かに竹刀を取り出す。

「私は変わるわ。貴方を妹にして。」

 そう言って、水平に竹刀を構える。

「力ずく、でもですか。ですが、貴方程度の腕で私を倒せると思っているんですか?」

 由乃に問掛けながら、菜々も竹刀を取り出す。

「倒してみせる。そして、菜々を、妹にする。」

 由乃の言葉を火蓋に、菜々が疾走する。一瞬で由乃の前まで間を詰めて、由乃の突き出されたままの竹刀を掻い潜ろうとした、その瞬間

「……bayonet」

 由乃がそう呟くと同時に、由乃の竹刀の剣先が光り、そして、菜々の意識は薄れていった。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「……ここは?」

 菜々が目を覚ますと、そこは見慣れない真っ白な部屋だった。

「やっと目を覚ましたわね。」

 不意に声がして、ドアの方に顔を向けると、そこには由乃が林檎と果物ナイフと皿を持って入ってきた。

「あの、ここは何処ですか?」
「ここは高等部の保険室よ。まったく、貴方を運ぶのに苦労したわ。」

 そう言って近くにあった椅子を、菜々のいるベッドの方に引き寄せて、腰をかける。
 そして、皿を机に置いて、林檎をたどたどしく剥きはじめる。
 しばらく、林檎の皮を剥く音がだけが聞こえた後、菜々が言葉をきりだす。

「私、負けたんですね。」
「そうよ。勝者は私。負けたのは菜々。」

 ちっとも気を使わずに言う由乃に、菜々は少しだけ苦笑する。

「ところで、私は一体どうやってま―――」
「それにしても、これは黄薔薇の運命かしらね?」

 菜々の言葉を遮って、由乃が菜々に問掛けるように言う。菜々は何の事だか分からず、きょとんとして由乃を見つ続けていると、由乃が少し顔を赤くして、菜々の胸元を指差す。

「ベッドで寝込んでいる相手にロザリオ享受だなんて、変な伝統が出来ちゃったわね。」
「あっ…」

 由乃の言葉に、慌てて胸元を見ると、そこには綺麗なロザリオが首にかかっている。

「いい、菜々。貴方がなんと言おうと、今から貴方は私の妹よ!分かったわね!?」

「……はい。」

 顔を真っ赤にして、目を反らして言う由乃に、菜々は小さく微笑んで、応えた。

 私はこの人となら変われるかもしれない。と菜々は、林檎と同じくらいに真っ赤になった由乃を見て、そう心のなかで呟いた。



(コメント)
ケテル・ウィスパー >jokerさんの代理投稿です。 ちょっとだけ手を加えています。(No.6258 2006-02-09 01:04:00)
マリみて放浪者 >あの呪文は何なのでしょうか?それにしても面白い伝統ですね。(No.6260 2006-02-09 01:14:55)
joker >訳してみましょう。(No.6263 2006-02-09 01:29:37)
にゃ >bayonet……そういうことなのね……高校入学したての菜々ちゃんは、あまり経験がない筈……(No.6264 2006-02-09 01:34:26)
風 >bayonetって魔法ですか? 構えが水平って聞いたことないですし…。
 ところで。この話は【No:1074】の続きなんですよね? 前書きのリンクが変ですけれど。(No.6266 2006-02-09 02:09:48)

joker >【No:1081】の第二分岐。 bayonet、辞書で調べてみましょう。素敵な答えが返ってきます。(No.6277 2006-02-09 10:04:18)
風 >いえ、意味はたぶん…。でもそれだと。日本では剣先のぶれを吸収して、力,速度,命中率を上げるために構えは斜めだし。外国では水平なのでしょうか…イメージが定まらないんです。(No.6281 2006-02-09 12:12:43)
くま一号 >「乃木大将」と結びつくとなあ、どうも悲劇のイメージしか……というのは別にして、強引なよしのんが好き(No.6282 2006-02-09 12:47:05)

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