がちゃS・ぷち

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No.1707
作者:琴吹 邑
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2006-07-20 00:48:29
萌えた:1
笑った:1
感動だ:10

『未来の夢クリティカルヒット!』

がちゃSレイニーシリーズです。


このお話は琴吹が書いた「【No:1705】素朴な疑問」の続きとしてかかれています。



 お姉さまは私の目をじっとのぞき込んだ。
「えっと………瞳子ちゃん。私のことをお姉さまという資格が無いって。」
 その言葉にお姉さまの綺麗な眉がぴくりとつり上がった。
 誤解がないように、あわてて、私は言葉を続ける。
「瞳子ちゃん。志摩子さんのロザリオをちゃんと返していなくて、だから、そのロザリオを返すまでは、私の妹になる資格はないって」
わたしは、お姉さまの顔をじっと見つめていった。
「瞳子ちゃん言ってましたから。『そのロザリオは後で必ず返してもらいますから』って。だから、大丈夫です」
『志摩子さんのロザリオを返したら』心では納得しているし、瞳子ちゃんとしっかりと約束はしている。でも、この場に瞳子ちゃんがいなくて、お姉さまにちゃんと報告できないのは本当はとっても寂しかった。でも、あの時の瞳子ちゃんの言葉は信じられる。あの時、あの瞬間はまだ、私の妹だったのだから。
「祐巳はそれでいいの?」
 少し固い声でそう聞いてきたお姉さまの言葉にしっかりと頷く。
「そう、祐巳がいいのならいいの」
 お姉さまはそう言って、いすに座った。
「一人分無駄になってしまったわね。まあ、とりあえずお茶にしましょうか」
 そう言いながら、いつの間に準備したのか、机の上のティーコジーを取って、カップにゆっくりと紅茶を注いだ。
 紅茶の香りがゆったりとあたりに広がった。

 しばらくの間、二人の間には、おだやかな沈黙の時間が訪れていた。
 その沈黙を思い出したかのように破ったのはお姉さまだった。

「で、瞳子ちゃんは、いつカナダに出発するのかしら?」
「え?」
「妹になるのに、何も聞いていないの?」

 お姉さまが何でそんなことを言っているのかわからなかった。瞳子ちゃんは私の妹になる。だから、カナダに行かない。私はそう思っていたから。

「どうして、そんなこと聞くんですか? 瞳子ちゃんは私の妹になるんですよ?」
 その言葉にお姉さまが眉をしかめる。
「瞳子ちゃんはあなたの妹になって、なおかつ彼女はカナダに行く。私はそう考えていたけど、違うのかしら?」
「そんなことって………」

 考えもつかなかった。いや、それは、触れないようにしていた話題だったのだ。
 確かに、瞳子ちゃんは私の妹になるといってくれた。でも、カナダに行かないとは一言も言っていなかった。

 瞳子ちゃんはカナダに行ってしまうのだろうか………。

 私はただ、ロザリオを握りしめることしかできなかった。




(コメント)
ROM人 >……やっぱり、カナダなんですね……。 (T−T)つ【No:865】 (No.11588 2006-07-20 03:43:46)
joker >ここまで来たら、王道で行って!奇をてらった終わり方なんて、ナンセンスだ!(No.11591 2006-07-20 07:05:12)
琴吹 邑 >あれ? 行き先の対象になってるのカナダじゃなかったでしたっけ?(No.11592 2006-07-20 07:23:57)
琴吹 邑 >自分の中では【No:865】の展開とは違った方向性を考えてはいますが・・・そこは乱入してくる人次第なので、何とも・・・。(No.11593 2006-07-20 07:25:48)
ROM人 >なんか、原作も雲行き怪しいし……こりゃ、くま一号さんが謎解きしてくれないと原作でも瞳子ちゃんがどっか(カナダ?)行っちゃいそうです(T-T)(No.11599 2006-07-20 10:01:15)

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