がちゃS・ぷち

[1]前  [2]
[3]最新リスト
[4]入口へ戻る
ページ下部へ

No.2
作者:柊雅史
[MAIL][HOME]
2005-06-05 00:19:17
萌えた:39
笑った:31
感動だ:3

『謎のバストアップ考察』

最近、祐巳には気になることがある。

「ふひひゃま、ひゃひほひゅるほへふひゃ……」

祐巳がぎゅむ〜と頬を引っ張ると、瞳子ちゃんが物凄く剣呑な目で文句を言った。
張りのある頬の感触と、崩れた瞳子ちゃんの表情が面白かったので、しばらくぐにぐにと楽しんだ後、祐巳は両手を離してう〜むと唸った。

「……いきなり何をするんですか」

頬を押さえながら涙目で抗議してくる瞳子ちゃんに、祐巳はいぶかるような目を向ける。
そんなことはあり得ない――認められないはずなのに、瞳子ちゃんの頬の張りは、変わらずにぱっつんぱっつんだった。

「祐巳さま。どういうつもり……」

何か言ってくる瞳子ちゃんを身振りで押しとどめ、祐巳は瞳子ちゃんの背後に回る。
ちょっとぷんぷんしていた瞳子ちゃんも、祐巳の動作に口をつぐんだ。

「ひゃあ!」

祐巳がむんずと脇腹を掴むと、瞳子ちゃんが妙な声を上げた。

「な、何をするんですか!」

身をよじる瞳子ちゃんを無視し、祐巳はぎゅっと瞳子ちゃんの体に両手を回す。

「ゆゆゆ、祐巳さま!?」

焦っているような瞳子ちゃんの声。
けれどそれ以上に、祐巳は焦っていた。

「あり得ない……そんなこと、あり得ないっ!」
「な、何がです!?」

祐巳が体を起こしてビシリと指を突きつけると、瞳子ちゃんが目を白黒させる。
両肩を抱くようにしてサササと身を引く瞳子ちゃんの顔は真っ赤で、普段ならからかう場面であるのだけど、今日の祐巳はそれどころではなかった。

「どうして……どうして、瞳子ちゃん、太ってないの!?」
「はぁあ!?」

祐巳の悲痛な叫びに瞳子ちゃんがやっぱり目を白黒させる。

「だって、変だよ! 瞳子ちゃん、胸……胸大きくなってる! バストアップしてる!」
「んな!? そ、そーゆうことを大声で言わないで下さい!」
「他に誰もいないんだし、いいじゃない! それより、今は瞳子ちゃんが太ったわけでもないのに、明らかに大きくなってるのが問題だよ。ひどいよ、同じ貧乳トリオの仲間だったのに」
「人聞きの悪いことを言わないで下さい! 瞳子は背が低いから標準ですわ! 第一、トリオってなんですか!?」
「私と瞳子ちゃんと由乃さん」
「ああ、なるほど」
「それなのに! それなのにここに来てワンランク成長するなんてっ!」

くわー、と頭を抱える祐巳に瞳子ちゃんが溜息を吐く。
けれど祐巳だって多感な女子高生なのだ。後輩に追い抜かれるのはちょっと――否、かなりショックなのだ。

「全く……くだらないことを」
「くだらないって」
「いいですか、祐巳さま。今の世の中には、バストアップブラという、便利なものがあるのです」
「え……」
「この間発売された新製品を試してみたのです」

こほん、と真っ赤な顔をして咳払いする瞳子ちゃんに、祐巳は「な〜んだ」と呟いた。

「そうだったんだ……良かった」
「全く。――ところで祐巳さま。先ほどは随分と好き勝手してくださいましたわね?」
「う……」

剣呑な目で詰め寄ってくる瞳子ちゃんに、祐巳は一歩引いた。

「とりあえず、お返しします」
「うひゃあ!」




「……で。何してるの?」
「えーと。乙女の秘密の調査と検証?」

ビスケット扉を開けたまま、入り口で呆れたように聞いてくる由乃さんに、祐巳は困ったように答えた。
暴れる瞳子ちゃんを羽交い絞めして、襟元を引っ張って中を覗こうとしていた祐巳の姿が由乃さんにはどう映ったか。そして祐巳の答えでその場を上手く誤魔化すことが出来たのかどうか。
聞いてみる勇気は、祐巳にはなかったのだった。


(コメント)
弥生 >乙女の秘密は確かに気になりますね。(No.17563 2009-05-16 04:39:47)

[5]コメント投稿
名前
本文
パス
文字色

簡易投票
   


記事編集
キー

コメント削除
No.
キー


[6]前  [7]
[8]最新リスト
[0]入口へ戻る
ページ上部へ