がちゃS・ぷち

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No.2696
作者:さおだけ
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2008-07-07 18:30:12
萌えた:1
笑った:0
感動だ:36

『気付かなければ』

由乃、という外野視点から輪廻の流れを。

祐巳の章  【No:2692】(再会編) 【No:2694】(過去編)
蓉子の章  【No:2687】(始り編) 
祥子の章  【No:2680】(再会編) 【No:2684】(過去編)
乃梨子の章 【No:2672】(始り編) 【】(現世編)
志摩子の章 【】(再会編)
由乃の章  【ここ】(前世編)

本編 【No:2663】【No:2664】【No:2665】【No:2666】【No:2668】【No:2669】【No:2673】
    →【No:2674】【No:2675】→(【No:2676】)→【No:2679】【No:2682】【No:2683】
    【No:2686】【No:2695】→【】





幼い時からずっと令ちゃんが一緒だった。
高校へ進学しても【お姉さま】になるのは令ちゃん以外にはいないって思ってたし、別にいい。
中等部では身体が弱いために友達も少なかったけど、それでもいい。
だって、今の私には親友が2人もいるのだから。

紅薔薇系列の福沢祐巳さん。
小動物チックというかタヌキ顔の百面相。考えている事が筒抜けな人。
でも考えている事が筒抜けだからこそ、祐巳さんがどれだけ【優しい】人なのかが伺える。
人の失敗にはさりげなくフォローする事はあたりまえ。
自分に関係性の薄い事件であろうとも【自分の過失】を考えるというお人よしさ。
それもたまには欠点になるけれど、そういう優しいところは好きだった。
私が暴走しても「はいはい」って頷いて笑ってくれる、とても温かい人。

次は白薔薇系列の藤堂志摩子さん。
マリア様の化身と歌われる、ちょっと臆病な美人さん。
人とは違うことを負い目に感じるような人だけど、言いたい事も黙ってしまうけど。
それでも、やっぱりこの人も【優しい】人だった。
人の痛みをしっかり理解できて、出来る事をしようと頑張る人。
祐巳さんと一緒にいるとボケが2人だからちょっとツッコミで忙しいけどね。
いつも私と祐巳さんがじゃれてると、後で微笑んで見ていてくれる、そんな温かさ。

私はこの2人の親友。
それは未来永劫変わらない事実だし、2人もそう思ってくれている。
迷惑を遠慮なくかけられる存在である2人が、私は好きだった。



  ■ ■ ■



泣いている。
どうしてこんなに悲しいのか、分からないくらいに泣いている。
泣いているという事を認識できなくなるくらいに、私達は泣いていた。

「□□ぉ………」

どうして、□□■■は死んじゃったんだっけ。
聖さまが柩にすがり付いて泣いている。
祥子さまが祐巳さんに抱きついて嗚咽を漏らしている。
江利子さまが手を握りしめて聖さまと2人を見つめている。

事故なんて、世界のどこにでも転がっている。
歩いているだけで低いながらも死の危険がついてくるもの。
だけど、一体どれだけの人が【今日死ぬかもしれない】と思って生きているだろう。
昔の私はいつも【今日は生きられるかな】と考えていたものだけど、健康になって【死】を忘れていた。
 死を思え。
誰だ。そんな上手い事を言った奴は。

こんな時にふと思う。
どうして人は死ぬのだろうか、と。
生まれたからには死ぬのが運命なのだけど、分かっているけれど、【どうして】だろう?
運命というものは【どうして】【存在】しているのだろうか。
ここで□□■■が死ぬのは運命なのか。逆らえない、決まりごとなのか。

世界は冷たい。

だから、私はこの世界が嫌いだ。



  ■ ■ ■



私は止められなかった。
祥子さまが■■□□を突き飛ばして、トラックに撥ねられたのに。
宙に浮いた祥子さまを見て、■■□□は叫んだ。
地面に落ちてきた【それ】を胸に掻き抱いて、■■□□は謝り続ける。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

私も、隣にいた志摩子さんも声すらあげられなかった。
この冷えた空に、【それ】から上がる湯気が生々しさを伝える。
あれでは、即死ではないか?
自分の理性がそう訴え、同時に救急車を呼ぼうとする。
だけど足が動かなくて。声が出なくて。

ごめんなさい。

私が、貴女を殺しました。

待って。それは違う。
そんな気休めを言うことも叶わずに、私は固まっていた。
■■□□の手が自らの首に向かったのを、スローになった視界で認識する。
けれど、【何】をしているのかは分かっていなかった。
鬱血する顔。青白くなって、暫くして、【気がついた】。

「く、ぅ………っ」

■■□□の、呻くような悲鳴。
私は人生の中で一番に叫んだと思う。
だけど、私の【声】は気づかなくて。

「やめて、■■□□!」





私はまた失った。
そして全てを思い出して、私はまた思うのだ。

世界なんて、なくなってしまえって。

私は全てを忘れる。
じゃないと、【次】に生まれても意味がないから。

私は叫ぶ。
叫ぶ意味すら、分からない。



  ■ ■ ■



泣いた。

■■□□の居ない世界で。
聖さま達にとっては、□□■■が居ない世界で。

なのに、私達は全てを終えるまで気付かない。
大切な人が居ない事にすら気付かない。


乃梨子さんが■■□■■に抱きついて泣いている。
不思議。だってどれだけ泣いても、この雨は止む事を知らない。
もぅ【死】の意味を問う事すら疲れてきた。
そして思うのだ。
【どうせ死ぬのなら、皆で一緒に死にたい】って。

世界に寿命があるのなら。
早く来ればいいのに。
笑えば笑うだけ、泣くはめになるこの世界。
喜べは喜ぶだけ、嘆く事になるこの世界。

滅びてしまえ。

私は嘆く。
嘆く意味すら、分からないまま。



  ■ ■ ■



私は忘れていた。
大切な人という存在が居たという事を。
そして、この世界がどれだけ残酷なものなのかを。


「祐巳さま、今日は機嫌がいいんですね?」

「あ、由乃さん!聞いて聞いて、さっき祥子さまがね、」

「はいはい、じゃぁ歩きながらでいいですか?」

「うん!」

祐巳さまは【無邪気】に笑った。
ううん、違う。無邪気じゃなくて純粋に、ただ嬉しそうに笑ったんだ。
どれだけ世界が冷酷なのかを知っているのに。
この人は笑う。

「祐巳さまは祥子が本当に好きなんですねぇ〜」

「勿論!祥子さまもお姉さまも大好きだよ」

だから、私も【今】を満喫しようって思えるんだ。
ありがとうございます、祐巳さま。

「あ、勿論由乃さんも大好きだよ!」




ううん、違うわね。

ありがとう―――祐巳さん。






伏字修正しました。………何か間違ってる気がしますが、どうでしょうか?
【さま】や【さん】はひらがなで当て嵌めて考えてみてくださいね!


(コメント)
通りすがり >あれ、(No.16722 2008-07-07 22:07:00)
K2A >これはちょっと難解かな まぁ伏字に誰がはいるかは解るけど... 悲惨な世界がすべてのはじまりなのね(やっぱり)(No.16723 2008-07-07 22:48:30)
K2A >でも 初めての人用に 全部同じ伏字でなく名前ごとに違う伏字にすれば読みやすかったかも(No.16724 2008-07-07 22:49:00)
さおだけ >分かりました!ちょっと伏字に工夫を、ですね。(No.16726 2008-07-07 23:00:04)
さおだけ >修正したつもりなのに分かりにくくなった…あれ?(No.16727 2008-07-07 23:04:46)
K2A >たしかに難しいですね これは試行錯誤していくしかないかなぁ (No.16729 2008-07-08 01:46:40)
K2A >この場合、対象が3人ですから □□ □□□□、■■ ■■■■、★★★★★ って感じはどうでしょう(あくまで一案ね)(No.16730 2008-07-08 01:52:23)
K2A >いい案があれば 何方か投稿を ぷりーず(No.16731 2008-07-08 01:53:29)
さおだけ >もはや@■■、A■■っていう国語の問題のように……なんかおかしいですか…(No.16733 2008-07-08 17:33:43)

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