がちゃS・ぷち

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No.3626
作者:ケテル
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2012-02-10 02:23:15
萌えた:3
笑った:0
感動だ:5

『マリア達の大和』

 宇宙戦艦ヤマトとのクロスです。

【No:3084】>【No:3089】>【No:3100】>【No:3437】>【これ】


 ときに2199年――銀河系の外、大マゼラン星雲から飛来してきたと思われるガミラス星人の艦隊は、冥王星に前線基地を築き地球を攻撃してきた。
 ガミラス軍が使用した遊星爆弾の影響で、地球の表面は放射能に汚染され、人類は地下都市に追いやられてしまった。 しかし、遊星爆弾の発する放射能は、地下都市をも蝕み始めていた。


 人類が生き延びるために残されている時間は、あとおよそ一年。


 一方、ガミラスと同じ大マゼラン星雲にあるイスカンダルの女王 栞から救いの手が差し伸べられた。

”―『私の元には放射能除去装置 ”コスモクリーナーD”があります。 残念ながら、もう私の力ではこの装置を地球に送り届ける事は出来ません。 ……私は、貴方方がイスカンダルへ来る事を信じています』―”

 ……それさえあれば地球は救われる………。

 九州 坊の岬沖――
 干上がった海底で骸を曝していた鋼鉄(くろがね)の墓標”大和”。
 秘かに宇宙戦艦に改造されていた”ヤマト”は、放射能除去装置”コスモクリーナーD”を受け取るために、銀河系を隔てること15万7千光年彼方のイスカンダルへ向けて旅立とうとしていた。




S−26 マイナス55分 地球防衛軍指令本部


「未確認飛行物体接近中! 冥王星付近から飛来してきた物と思われます!」
「なに?!」


 制空権を半ば取られてしまっている現状、索敵範囲を広げるために偵察衛星等を月軌道外へと打ち上げても、すぐに撃墜されてしまうため、索敵は地球上のレーダーと軌道上の数機の衛星のみとなっていて、遠距離の自発電波を発信していない物を捕らえるのは、きわめて困難な状態になっている。

 月面基地の再建は、ガミラス側の妨害でなかなか進んでいないが、防空飛行隊の努力でなんとか月軌道内への侵入は阻止できている。 元々地球側のパイロットの方が腕が数段上なのだ。


「推定全長500m…、超大型ミサイルと思われます! 地球着弾の確立99.9%。 あと55分で大気圏に突入します!」
「着弾予想地点はどこになる?!」

 このタイミングで聞くまでも無いと思いつつ、優は自分の前のコンソールを操作しながらオペレーターに問いかける。

「着弾予想地点、九州坊の岬……ヤマトです!!」
「ヤマトの発進準備を急ぐよう連絡を! 全天監視体制を強化する! ミサイルに気を取られている隙に敵が侵入してくる可能性もある、防空飛行隊に待機命令を出せ!」

 指示を飛ばしてから、大スクリーンに映し出されている模式化された超大型ミサイルの予想軌道図を見上げる。

「平穏に進宙させてはくれないか…」





S−27 マイナス54分 ヤマト第一艦橋


「通信のあった超大型ミサイルをレーダーでキャッチしました。 右15度 秒速75Km/S、精密着弾のための減速をしているようです。 秒速68Km/S」

 地球防衛軍指令本部からの連絡を受けて索敵レンジをアップさせた志摩子が、ヤマトの3D超次元レーダーでもキャッチした事を告げた。

「超大型ミサイルの予想軌道データ確認。 瞳子、取り合えず予想データで迎撃ポイントを絞り込んで」
「祐巳さん、波動エンジンにエネルギー注入中だから主砲に回すエネルギーなんか無いわよ」
「ちなみに…後どのくらいなの?」
「融合炉は正常作動中、補助エンジンはアイドリング状態だけど……令ちゃん?」
「波動エンジンの最終チェック終了。 エネルギー充填100%完了」
「え? 100%って、じゃあ、波動エンジン動かせるの? …波動エンジン始…」
「待ちなさい」

 艦橋の最上部にある艦長室から席に座ったまま降りてきた蓉子が、波動エンジンの起動シークェンスを実行しようとしていた由乃を止める。

「波動エンジンの始動は一発で決めなければならないわ、万が一失敗すると取り返しがつかないことになるのよ」


 波動エンジンは、溜め込んだ基礎エネルギーを波動空間ジェネレーターに送り込み、高位空間から相転移させて得た莫大なエネルギーでタキオン粒子を大量に発生させ動く。 
 相転移を促すための基礎エネルギーさえあれば、無限に運転させ続ける事が出来る波動エンジンだが、そのための基礎エネルギーが少ないと始動させるのが極端に難しくなる、万全を喫する為には少しでもエネルギーを充填しておきたいのだ。

 そして、大きなエンジンを始動させるには、そのためのエンジンが必要になる。


「でも蓉子さま、グズグズしていると、超大型ミサイルに吹き飛ばされてしまいますよ。 補助エンジンだけでも主砲は撃てますよね? 最大射程で超大型ミサイルをまず撃墜して…」
「エネルギー充填中の今、ヤマトを動かすわけにはいかないのよ。 補助エンジンだけでの武装系のパワーはかなり落ちるし、超大型ミサイルにはエネルギー擾乱装甲が施されているわ、波動エンジンを起動させてタキオン波動から励起させた衝撃波を使った方が確実に撃墜できるわ。 令、エネルギー注入は続行、目一杯注入して」
「了解」


 ”2157式空間機関改”=57式改エンジンは、核融合炉をパワープラントとするイオン圧縮加速流式準亜光速エンジンで、波動エンジンが作成されるまで地球側宇宙艦船の主力エンジンだった。
 ヤマトも補助エンジンだけで地球重力圏を突破する事は出来るのだが、武装動力は波動エンジンからエネルギー供給される時の60%の出力になってしまい、同時使用時には運行速度が低下してしまうのだ。 
 主力エンジンではなくなったものの、57式改エンジンは通常空間での補助推力として、艦体各所に設けられている姿勢制御用機動バーニアの動力として使われ、核融合炉は人工重力を作り出す慣性制御装置と艦全体の生命維持装置のバックアップとして使われている。


「蓉子さま、地球防衛軍指令本部より入電。 『ヤマトはまだか?』と言ってきています」

 地球防衛軍指令本部からの通信を受けていた真美が蓉子に告げる。 ポップアップには地球防衛軍指令本部側のオペレーターの顔と電波状況のパラメーターが表示されている。

「『待て』と伝えて」
「了解」



・・
・・・・
・・






S−28 マイナス11分 地球防衛軍指令本部


「超大型ミサイル地球到達まで、あと600秒!」
「あと10分しか無いぞ、ヤマトはまだ始動しないのか?!」
「先程の『もうしばらく待て』以降、連絡が入りません!」





S−29 マイナス09分 ヤマト第一艦橋 


「エネルギー充填120% フル充填完了。 エネルギー伝導チューブ回路閉鎖」

 これ以上の充填は危険になる、回路を閉鎖してエネルギーの流入を止める。 ただし伝導チューブの切り離しは、波動エンジン始動失敗によるエネルギーの損失が起こった場合に備えるため始動確認の後に行われることになっている。

「由乃ちゃん、補助エンジン始動。 波動エンジン始動シークェンススタート」
「はい! 補助エンジン始動! 波動エンジン始動シークェンススタート!」

 パワープラントの核融合炉からエネルギーが送られ、補助エンジンが艦体を震わせて力強く始動する。
 由乃は出力計を睨みながら三本あるエンジンスロットルの左側2本を同時に上げていく。 由乃も出力計は見ているのだが、同じ表示が出ている副操縦士席の菜々が数値の読み上げをする。

「補助エンジン出力、100…200…300…600……1200……2000……2500…2900…3000…」
「出力3000 波動空間ジェネレーター始動!」

 出力の上がった補助エンジンのスロットルから、手を波動エンジンのスロットルに移しフィンガースイッチの1つを押す。


 強力な負荷が掛かったため、補助エンジンの出力が停止するほど一気に落ちる。

 静寂に包まれた第一艦橋、電子機器の作動音が妙に大きく聞こえる。


「よ、蓉子さま…動きません!」
「もう一度点検して。 令、エネルギーの損失は?」
「…5%以下です。 始動に問題はありません」
「あ…お姉さま、これ…」
「なによ菜々…え? あ!」

 蓉子の『もう一度点検…』を受けてすぐ検索を始めた菜々が、慌てて自分の前にチェックリストを多面で開き出した由乃の前の右端のスイッチが1つ ON にされていないのに気がついた。

「すみません、蓉子さま! 連動スイッチの1つがOFFになっていました!」
「もう、しっかりしてよ由乃さん!」
「大丈夫よ、落ち着いていきましょう」

 蓉子の言葉に深呼吸をひとつしてから、由乃は再びスロットルを操作する。

「補助エンジン出力3000です」
「……ありがと、菜々…。 出力 3000! 波動空間ジェネレーター始動!」

 波動エンジンのスロットルに手を移し、フィンガースイッチを再び操作する。


 出力の上がっていた補助エンジンの振動と出力が再び一気に低下する。















「…う、動かないの?!」
「 静かに!! 」

 蓉子の声に第一艦橋内は静まり返る。




 静かに、湧き立つ様に起こった振動は、徐々に艦体を揺らし始める。

 

「動いた!」
「うごいた…動いたわ!」

 波動エンジンのパワーインジケーターが上がってゆく。
 艦橋だけではなく、ヤマトの全乗務員が歓喜する。

「波動空間ジェネレーター相転移確認! タキオン粒子発生装置 ”I””G”接続!」


 ヤマトには”I(イスカンダル型)”と”G(ガミラス型)”2種類のタキオン粒子発生装置が搭載されている。

 ガミラスと戦いの最中、偶然鹵獲できた敵の巡航艦が徹底的に分析され、武装やエンジンのコピーが製作されて、老朽化して廃艦扱いにされていた戦艦『 セッツ 』に搭載され無人実験艦として武装も含めてさまざまなテストが行われた。
 当初ヤマトには、この時に作成された地球版波動エンジン(デットコピーではあるが)が搭載され、種を乗せて宇宙へ旅立つという”ヤマト計画”は進められていった、そこへもたらされたのが、イスカンダルからのメッセージと詳細な波動エンジンの設計図だった。
 相転移で得た波動エネルギーを推進力に変換するという基本原理は同じ物なので2種類の波動エンジンの違いが地球側の技術者には分からなかったのだが、笙子によるレクチャーにより1つ決定的な違いが有ることが判明した”タキオン粒子発生装置”の違いによって、生成されるタキオン粒子の性質に大きな違いが現われるのだ。

 『 生成されるタキオン粒子の波動には ”旋波=回転方向”がある 』

 イスカンダル式のタキオン粒子の波動は、右旋波で拡散していく性質があり、エンジン内のタキオン粒子密度が低くなる。 しかし、この拡散作用によりエンジン内のタキオン粒子の密度が均一になり、安定した出力を得やすくなるのである。 その反面、急激な出力変化は難しくなるが、低密度で一様な分布であるため出力の微調整が容易にできる、時空位相とタキオン波動の高精度の同期が要求される長距離ワープに適している。

 ガミラス式のタキオン粒子の波動は左旋波で、発生するタキオン粒子はピンチ効果により収束していく作用があり高密度のタキオン粒子を得ることができる。 このため単位体積あたりの出力が高く、旋波の角速度を変化させることで容易にタキオン粒子密度を制御でき、小型で大出力かつ制御応答のいいエンジンが出来、頻繁な急加減速を要求される軍用艦艇には都合がいい。

 そしてヤマトでは、これの両方を搭載する研究がなされ実行された。

 賭けに近いものだったが、結果としてこのことが、ガミラスの戦闘艦よりも長い長距離航行を可能にし、大きく凌駕する戦闘力となって現われるのである。


「タキオンエナジージェネレーター作動。 波動エンジンシリンダー内エネルギー還流及び艦内電源系統、エネルギー系統 艦内出力へ正常移行」


 大量に生成されるタキオン粒子の流れからタキオンエナジージェネレーターで使いやすいタイプのエネルギーに変換され、波動エンジンシリンダー内に戻された膨大なエネルギーは、波動空間ジェネレーターに回され再び相転移を促すために使われる。


「艦外エネルギー伝導チューブ、電源ケーブル、パージ。 …パージ完了!」

 電源、エネルギー系統に異常が無い事を確認した令は、艦内のエネルギー、波動エンジンのエネルギー注入やその他のシステムを維持するために接続されていた外部ケーブル類を切り離す。

「コネクター収容、気密装甲板閉鎖。 第一装甲板、第二装甲板閉鎖。 艦内気密再チェック完了!」

 伝導チューブのパージを受けた祥子は、8カ所設けられているケーブルコネクター部をロック、二重の装甲板を閉鎖する。


 まだ推力は発生させていないが、波動エンジンのノズルが淡く光りだす。




 すべての準備が整った。



 艦長席の集中コンソールを確認した蓉子は、目を閉じてゆっくりと大きく息を吸い込み短く瞑目した。 そして…。





  「 ヤマト、発進!! 」





「艦体浮揚! 方位125° 両舷全速 面舵いっぱい!!」

「自動懸垂装置正常作動、艦体浮揚!」

 艦底部の起動バーニアを点火させた由乃は、垂直上昇モードになった事によって追加表示されるポップアップウィンドウに目を向ける。 右側の副操縦士席でも同じ画面が浮かび上がり、その数値を菜々が読み上げる。

「高度60…70…85…100……120……150!」
「安定翼展開、補助エンジン点火! 上昇角+15° 方位125°! 両舷全速、面舵いっぱい!!」
「高度300、速度800…900…1020! 高度500…700…1000!」

 高出力にチューンナップされている57式改補助エンジンは、67000tのヤマトをそれまでの地球艦船以上の加速率であっけなくマッハ3を突破させ、さらに上昇加速させる。

「3000………4000……………5000。 速度1700!」

 波動エンジン点火予定高度の10000mが近づき、菜々は高度読み上げ数を細かくする。

「高度8000……8500……9000……9500……9800…9900…10000!」
「フライホイール接続 点火!」

 由乃はフィンガースイッチの1つを押しながら、波動エンジンのスロットルを大気圏内モードでロックされる一杯まで押し進める。

「波動エンジン大気圏内出力一杯!」



 メインノズルに爆発にも似た光芒が生まれ、圧縮整流されたタキオン粒子がヤマトを一気に加速させる。



「高度12500! 第一宇宙速度…突破します!」
「上昇角+85°!」

 由乃はコントロール・ホイールを引き艦首を引き起こす。

 急激な上昇角の変化により艦首や安定翼、センサーウィングの先端、そして艦体を頂点にして円錐状に発生した白いベールのようなベイパーを纏いながら、ヤマトは急上昇して行く。

「超大型ミサイル進路を修正、左15.7°秒速28Km/S! 速度さらに減速」


 弾体の重量と速度で、標的にダメージを与える質量兵器と異なり、強力な熱と衝撃波で目標を破壊する熱核反応弾の超大型ミサイルは、精密攻撃をするため目標に近づくにつれて徐々に減速する。


「ショック・カノン、最終セーフティー解除!!」
「最終セーフティー解除! データアップロード。 主砲ターレット回路接続、作動スタンバイ!」
「祐巳さん、主砲回す時は言ってね」
「了解。 最終迎撃ライン確認」
「最終迎撃ラインまで、あと40秒」
「由乃さんいくよ!」
「了解!」
「距離285Km、秒速27Km/S!」


 戦艦大和の主砲は、一門の長さ20.7m(46cm×45口径)重さが165t、一基あたり2510t、ほぼ駆逐艦一隻分の重量あった。 材料の進化とシステムの違いはあるものの、ヤマトのショックカノンは一基1350tあり、砲身も23m(46cm×50口径)と長く、三基動くとなると重心に影響を及ぼす。


「ショックカノン旋回! 照準セット!」
「軸=0.3、y軸=0.45。 修正値入力、自動追尾装置セット!」
「…第二宇宙速度クリア! まもなく成層圏を突破、中間圏に入ります」
「10秒前! 8,7,6,5,4,3,2、発射!!」

 斉射トリガーを祐巳が引く。 発砲遅延装置による極僅かなタイムラグを施されて放たれた9本の強烈な青白い光の矢が、超大型ミサイルをエネルギー擾乱装甲ごと貫いた。


 主砲へのエネルギー供給による推進力の低下を防ぐため、メインエンジンのタキオンエナジージェネレータからだけでなくワープデバイスのタキオンエナジージェネレータからも、主砲だけでなく各兵装部へエネルギーが供給される。 そのため主砲発射時に左右両旋波により誘起された衝撃波が非常に複雑な時空間の歪みを発生させる。 この時空間の歪みは、衝撃波とともに目標に到達すると、目標とその周辺の時空間を強烈に歪ませる。
 ヤマトの主砲が、ガミラスの戦闘艦を遥かに凌駕する桁違いの破壊力を得た理由である。


 高度75km、 中間圏の上層、熱圏との境に近い”中間圏界面”。
 ヤマトから25kmの距離でショックカノンに貫かれた超大型ミサイルは、10kmの距離まで突進してきたから大爆発を起こした。





S−30 マイナス00分20秒・ヤマトの一斉射によりタイムアップ 地球防衛軍指令本部



「「「 きゃっ?!! 」」」

 超大型ミサイルが爆発した時に発生した強力な電磁波が、レーダーや近傍の衛星のセンサーが拾い、ショートして沈黙したり酔っ払った。 ノイズキャンセラーが間に合わず、数人のオペレーターがインカムを引き千切るように耳から外す。


 800kmの地球大気圏を突き破った直径1000kmの数百万度に及ぶ紅蓮の火球が地殻を焦がし、爆煙とプラズマ化した大気が激烈な衝撃波と爆風を伴って大気圏内を吹き荒れる。


「…ぁ、ヤ、ヤマトは……、ヤマトは無事か?!」

 ノイズの影響で2/3がブラックアウトしてしまった集合ディスプレーを凝視していた優が問い質す。 最後の希望でもあるヤマトの発進は全世界に中継されている。

「バックアップ、三系統テスト中! まもなくレーダーが復帰…映像も復帰。 接続します!」

 交代したオペレターの操作によって、ブラックアウトしていた集合多面配置の中央大型ディスプレーが再び正常作動すると、スーパーブルームが起こった様な爆煙の塊が、ディスプレーを埋め尽くすように映し出されている。


 ―― A140-F5-SB-Y ――


 レーダーの再調整に当っていたオペレーターは、復帰した画面が黄緑色の光点と認識番号を映し出しているのを見たが、それが何を意味しているのか一瞬思い出せなかった。

「ぇ…A…140? ……ヤ…ヤマト……ヤ、ヤマト健在です!!」

 光点の位置へと画像が動く。


 天を衝くドス黒い灼熱の柱を切り開き、粘るように纏わり着く黒煙を振り払いつつ、劫火にその身をさらしたヤマトが不死鳥のように飛び立つ。

 コンソールに両手をつき、大きく安堵の息を吐いた優は、改めて姿勢を正す、そして今だ荒れ狂う禍々しい黒雲をバックに、大気圏を離脱し星霜の彼方を目指して上昇して行くヤマトが映し出された大画面ディスプレーを見上げて敬礼する。


「たのんだぞ…ヤマト…」





 ヤマトはついに地球の未来を背負い、遥か彼方 大マゼラン星雲に在るイスカンダルを目指し、往復31万7千光年と言う前人未到の旅へと飛び立った。

 しかし、残された時間は限られている――


             地球の運命は―――― あと 363日 ――




                〜 * 〜 * 〜 * 〜 第五話 完 〜 * 〜



  ―――  ―――  ―――  ―――  ―――  ―――


 波動エンジンの設定は、web上に在った物を大いに参考にさせていただいたんですが……正直書いてても十分理解している訳ではありません。
 波動砲とワープはどうしましょうね……ってこんだけ間が開いてて、まだ続ける気でいる私。

 続きは…………一年後で、もう帰ってきちゃってたりして。



 無人実験艦『 セッツ 』――作中で老朽廃艦扱いになっていた宇宙戦艦。

 モデルは1912年7月1日に竣工した、旧日本海軍の河内型戦艦の2番艦「摂津」。
 第一次世界大戦に参加後の1923年のワシントン海軍軍縮条約で、戦艦「陸奥」を保有する代わりに標的艦と言う事になって主砲等をはずして武装を解除。
 1928年に、無線コントロール装置を設置された。
 艦船による砲撃訓練時には、まず有人で操艦して訓練海域へ移動、到着してから僚艦である駆逐艦「矢風」に乗組員全員が移動してから無線でコントロールされていたようです。 航空機の雷撃爆撃訓練の時は有人だったようで、太平洋戦争初期の海軍航空隊の活躍に貢献したとされ、雷撃爆撃訓練時、担当した艦長の躁艦技術の向上につながったと言われています。


(コメント)
ケテル >ちょっと惜しいですけどね”大和”が。(No.20489 2012-02-10 02:24:15)
ケテル >倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(やまこも)れる 倭しうるはし(No.20490 2012-02-10 02:24:35)
きはりん >お待ちしてました!エンジン始動のプロセスが細かく描写されてすごいなーと感心させられます。この時、蓉子様「エンジンのかからぬ船など、瀕死のタヌキだ。」 祐巳「えっ、わたし?」というやりとりがあったとか(笑)。(No.20491 2012-02-10 21:50:03)
オリビア >これまでのお話と違ってヤマト色が強くなっていますね。ヤマトをそのまま読んでいるようです。(No.20492 2012-02-10 22:50:45)
ケテル >きはりんさま > ここの整合性をいろいろいじっていて時間掛かってしまいました。 まあ、いいタイトルに当らなかったってのもあるんですが。(No.20493 2012-02-12 00:27:42)
ケテル >オリビアさま > ヤマト色が強めですね〜、ハード目じゃなくて軽めのSF目指してるんですが、この次はショートワープの試験と空戦・・・・またハードですかね。(No.20494 2012-02-12 00:32:14)
くま一号 >わ、すんごいオリジナル設定が増えてるし。本家ノベライズ版もこんなに書きこまれてなかった……と思います(記憶で言ってる) たしかタキオンが五次元にたたみ込まれて程度で説明はなかったと思うので気にせずにつっぱしっていただきたく。ただ、蓉子さまの声がじじいで再生されるのが超個人的にアレですけど……。(No.20496 2012-02-14 07:58:10)
ケテル >くま一号さま >今ワープの事と、戦闘機の発進方をどうしようか考え中です・・・・・・相対性理論とか特殊相対性理論・・・今現在推測されているワームホール、ホワイトホールの性質。 空母の発着艦方・・・。 もうお腹いっぱいです。(No.20497 2012-02-15 00:44:34)

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