【No:1021】の続き
昨日はいきなり志摩子さんが教室を飛び出したり、二・三年の教室の方が騒がしかったのだけど、何かあったのかな?
たぶん何かあったのは間違いない。
でも、何だか朝からじろじろ見られてる気がしてこそばゆい。
私のほうに近づいてきた人もいるんだけど、何故か途中でいなくなるし・・・・・・
もう、私が何をしたのーーーーーーーーーーーーーーー????!!!!
「こうしてはいられないわ、今すぐ祐巳にロザリオを渡しに!」
聖の言葉を聞いて立ち上がる祥子を引き止める。
「お姉さま! 何故引き止められるのです? 祐巳が、私の祐巳があぁ〜〜・・・・・・」
「ちょっと落ち着きなさい、祥子。あなたが突然現れても引かれるだけよ。」
ちょっとそこの聖と江利子! 笑ってないで少しは役に立ちなさい!
「祐巳〜〜〜〜〜・・・・・・」
「祥子、あなたが祐巳ちゃんと出会ったのはどこだったかしら?」
祥子ははっとした顔で私を見る。ふふふ、せっかくもう一度リリアン生活ができるんだから楽しまないと、ね。
あら、いつの間にか私も聖たちに影響されてるみたいね。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
「あぁ、祐巳、可愛いわぁ〜」
私は今、もう一度あのタイ直しという素晴らしくエクセレントでビューテホーな出会いをすべくマリア像の裏で祐巳を待っているのだけれど、
アレは何? あの集団は何故祐巳をそんな熱い目で!
ちょっと麗奈さん! あなた妹がいないからって・・・・・・はっ! そう、そうなのね、みんな祐巳がまだ私の妹でないからといって自分のモノにするつもりなのね。あぁ聖さま、今回ばかりは感謝します。
――ピッ ・・・・・・カークさん、ケースさん、やっちゃいなさい。
ふっふっふ、さすがは小笠原特殊部隊ね。
さぁ祐巳! あなたのお姉さまがタイを直してあげるからネエェェェ!
「あら、祐巳さん。ごきげんよう」
「あ、静さま! ご、ごきげんよう」
な、先を越されたっ・・・・・・てあれは蟹名静・・・・・・くっ、彼女もなの?
ちらっとこちらに視線を向けニヤリと勝ち誇った表情になる。
ま、ままままままさか! 負けていられないわ!
「あら、タイが「ごきげんよう。あらあなた、タイが曲がってるわよ」・・・・・・ちっ」
「え? え? わ、私ですか?」
口をパクパクさせている祐巳。すぐにでもかぶりつきたい衝動をノミよりも小さい理性で何とか抑える。
「えぇ、間違いなくってよ」
隣で行き場の無くなった手をさまよわせている静さんが睨みつけてくる。ふん、私の祐巳は渡さなくってよ。
と、その間にタイを直す。
あぁ、昨日はできなかったからいつ禁断症状がでるかヒヤヒヤしたわ。
後ろでカメラの音が二つする。ふふふ、確か蔦子さんだったかしら。ナイスよ! まぁ、隣に邪魔者がいやがりますから小笠原の者にしっかりとツーショットを撮らせましたが、あなたならしっかりと期待に答えてくれると信じていますよ。もしそうでなかったら・・・・・・ふふ。
「あら祥子さん、ごきげんよう。ほら、『祐巳』もあいさつは?」
「え? うぇ? ご、ごごご、ごきげんよう、祥子さま!」
「えぇ、ごきげんよう。祐巳さん。」
私の祐巳を呼び捨てなんて何て図々しい。
「あら、静さん、あなた祐巳のことを妹でもないのに呼び捨てなんて。ちゃんとお姉さまに躾してもらわなかったのかしら?」
「あら、いいのよ。これから妹にするのだもの。」
「あら、奇遇ね。私も祐巳を妹にしようと決めてるのよ。」
バチバチと火花が散る。
その二人の間でオロオロしている祐巳の肩を叩く者が!
一言二言話した後に祐巳は争ったまま気付かない二人に一礼してその子と共に立ち去った。
祥子と静は気付かない。
・・・・・・気付かない
・・・・・・気付かない
・・・・・・気付かない
「「・・・・・・はっ、祐巳がいない!」」